「第130話」呼出
1月3日。休みの最終日全員が昼過ぎに病院に呼ばれた。
弁護士「どうした。」
長老「紹介する。みよじゃ。佳代さんが手伝えないから病院の助手じゃ。」
佳代「それはいいわね。」
みよ「あの。分からないことばかりですがよろしくお願い致します。」
彩菜「ほう。なるほど!佳代さんじゃ役不足ってことか。」
亮太「えっ。どういうこと?」
大輝「そんなに腕がいいのか。」
美雪「お母さんは時間無いから仕方ないわよ。」
みよ「主人を亡くして何十年。。私やっと抜け出せました。先生が忘れさせてくれました。」
美雪「ウソでしょう!いや〜。先生やるわねー。」
彩菜の母「えーっ!だから役不足か。。あんた。あまりにも鋭いわね。」
雄太「いやー。凄いな。」
彩菜の父「掟は大丈夫なの?」
みよ「はい。長老が許可取ってくれました。」
武「私は病院出ないといけませんね。」
医師「それは大丈夫じゃ。今のままでいい。やがては2軒隣に引っ越しするんだろう?次は弁護士さんだな。」
美雪「先生が手出したの?」
みよ「いえ。私が。。病気治せる人は憧れなの。前から気になってた。気持ちが。。良く分からなくて、我慢出来なくなって。。」
美雪「えーっ。そうなの!」
さよ「長く落ち込んでたものね。良かったわー。」
長老「弁護士さん。妖怪村は女が余っててな。。1人幸せにしてやってくれんかのう。」
弁護士「いや〜。。しかし驚いたな。。」
美雪「えーっ。予知能力ある人が?」
弁護士「あのな。温泉経営に悪影響ないか把握する部分しか見ないようにしている。驚きのない人生はつまらないからな。」
美雪「先生凄いなー。そろそろ明日の開店の準備だけしましょう。」
雄太「そうだ!布団片付けないと。いっぱいあるからな。」
亮太「一気に片付けよう。」
美雪「それは、私とおばあちゃんで一気にやるわ。温泉のお湯の量の調整と品質確認をお父さんとお願い。夕方まで準備作業しましょう。夜は当然歓迎会よね。場所は病院?」
医師「宴会は美雪さんの家が一番じゃ。みよさん。私達は今から診療の準備とやる事の説明するよ。」
彩菜の父「武さん。調理の支度を手伝ってくれないか。」
武「はい。分かりました。」
佳代「さよさん。私達は全部屋の掃除ね。」
さよ「分かりました。サプリ持ってくから、派手に吹き飛ばすわ。」
美雪「雑巾がけロボットは作ったから。床も壁も天井もずっとやってくれてるから、玄関回りとか温泉との通路だけで大丈夫よ。」
長老「いつの間に。。」
美雪「正月休みに入る前に彩菜のお父さんと考えたの。2週間かかった。けど、音は完全に消せなかったから、お客さんいる時は難しいかもしれない。」
彩菜の父「発生する音に逆位相の音をぶつけると消音出来る。カバーして感知したら逆位相の音をぶつけるのなら可能だろうな。既に実用化されている。大輝さんは知っているんじゃないかな?」
大輝「存在は知ってます。あれば道路とかで使われるから、建設では使わないね。でも、それあるとデカいな。部屋の掃除は妖怪だと人が限定されたから。」
美雪「完成したら相当負担減るから実現するわ。そもそもロボットって簡単なのよ。機能組み合わせて安全装置つけるだけ。だから布団運ぶのも作れる。妖怪の仕事奪う装置は作らない。人間の手間が省けるものだけ。行こうか。」
全員がかりで温泉の準備を一気に終わらすが、膨大な作業のため夕方までかかった。
みんなで美雪の家に戻ると彩菜の祖母とみよさんが夕食を作っている。
美雪「うわー。美味しそう。」
彩菜「凄いわね!」
彩菜の祖母「みよさんは筋がいいぞ。」
亮太「やっぱり。妖怪って頭いいんじゃないですかね?」
雄太「これだけ優れていると、妖怪の存在は人間にはバレてはいけないと改めて思うよ。」
長老「どうじゃ。弁護士さん。うらやましいだろう。」
弁護士「いや、なんというか。。俺に幸せに出来るのか。。正直自信がないな。」
武「それは過去の話ですよ。今のお父さんは違う。大丈夫ですよ。」
夜になり歓迎会が開かれた。
みんな酔っ払う中、美雪は眺める。女からいかないといけないのかな。私。。あんなにも一生懸命じゃない。ダメだな。。
彩菜「美雪。あれはあれで素敵よね。みよさんゾッコンだねー。」
雄太も同じように自分を見つめ直していた。
雄太「凄いな。。あんな風には出来ないけど。。僕も少しずつ変わらないと。」
彩菜の祖母「雄太さん。自分のスピードで無理せずだよ。焦っても幸せは来ない。2人でなんだから。さあ、飲むわよ。」
雄太「ありがとうございます。」
雄太は気持ちを切り替えて歓迎会を楽しんだ。
※※※
温泉の営業も始まり、学校も始まった。
みよさんの積極さに刺激を受けた雄太は、通学時についに美雪と腕を組んだ。
2人は信じられないくらいドキドキする。
学校でも腕を組む雄太。堂々の交際宣言だ。
学校でも有名な美人の交際発覚は生徒にも教授にとってもサプライズだった。
美雪「雄太。すごく幸せ。」
雄太「僕もだよ。」
2人はゆっくりではあるが自分達のペースで親しくなっていった。