「第123話」結果
月曜に武と2人で武の住む街に出かけた。弁護士は武に荷物の発送準備をするように伝え、弁護士は武の会社に向かった。
弱みを握る弁護士は駆け引きをすると、会社はあっさり武を手放した。
離職票をその場で受け取り、保険証などを渡した。
弁護士は、弱みの部分はとにかくとして、労務管理の問題は労働基準局に伝え、武の家に行った。
弁護士「武さん。もう自由だ。必要ないが離職票だ。」
武「ありがとうございます。私は、しばらく無給で働き、失業保険をもらってから給料を頂くつもりです。」
弁護士「失業保険もらうまで4ヶ月はあるぞ。」
武「遊ぶ暇もないくらいでしたから、貯金もあります。」
弁護士「取り引きしたから、あそこの悪事は責めないが、労働基準違反がひどい。不正に残業時間を減らしていた。君の労働実態と違う申告をしている。やがて労働基準局が介入するはずだ。知り合いの警察にも、調べると面白いことがあるとは伝えた。もう終わりだ。泥舟が沈むのを遠くから眺めようじゃないか。」
武「箱詰めは終わりました。引っ越し屋が2週間後しか取れなかったので、しばらくは荷物が運べないです。」
弁護士「会社に寮だろう。今日出ないとマズいぞ。あの会社ならぼったくる。引っ越し屋はキャンセルしなさい。」
武「はあ。」
弁護士「ああ、美雪さん。今日学校何時に終わる。。温泉と野菜の発送は任せて3時に武さんの寮に来れないか?。。ああ。荷物運ぶんだ。住所メールするよ。」
武「今日は夜6時から役員会じゃなかったですか?間に合わないのでは?」
弁護士「そうかな?」
3時10分に美雪がやってきた。
武「えっ!もう来たんですか。。」
美雪「授業終わったの3時だからキツかった〜。ん?荷物多いな。。ちょっと、真ん中に集めて積んで。ベットの上も積んで。。。いや、私がやるわ。」
美雪が一瞬で荷物をベットの上に乗せる。
武「えーっ。。すごい!」
美雪「ベットの上に乗ってるように見えるだけよ。重力調整してるから、簡単に持ち上がる。」
武「うわ。。軽い!」
美雪「板敷いて重力減らしてるからね。全て荷物あるよね?囲うよ?」
美雪は即席の移動装置を作り空間を囲う。
美雪「みんな乗って。」
武「これだと、入り口が通らないのですが。。」
美雪「ああ大丈夫。通過するから。そうね、面倒だから天井から飛ぶわ。弁護士さん。先生に荷物運ぶって連絡して。」
弁護士「武の荷物運ぶから。。分かった。」
美雪「どこ?」
弁護士「二階の空き部屋だって。」
美雪「ああ、前に一万円札があった部屋か。じゃあ出発よ。」
美雪は上空に上がるとゆっくり加速し、20分で病院に入った。
弁護士「間に合うだろう?4時か。片付けしなさい。私達は温泉に行ってから役員会に行くよ。」
美雪「ベットの上の荷物床に置くよ。全部解除するわ。」
医師「荷物多いな。おお、写真集本当に買ったんだな。」
美雪「ついでだから温泉まで飛ぶ?」
医師「楽をし過ぎだが。。まあいいか。武。留守番頼むぞ。」
それぞれの温泉の業務をこなすと、役員会に向かったのだった。
一方の武は、荷物の整理をする。
しかし。。考えられない。片道2時間が20分で。しかも大量の荷物。壁も通過するし。。相手には見えないって。。全く分からない。
あんな力が世の中にバレたらマズいのは確かだ。引っ越し屋が潰れる。航空会社も鉄道会社も。絶対に言えないのは当たり前だな。世話になった方々を困らせてはいけない。とにかくここで頑張ろう。
片付けが終わると、雄太と亮太のところに行き、温泉業務の勉強をして、夕食を一緒に食べる。
亮太「兄さん。驚くことばかりだろう。ゆっくり理解しな。最初は僕らも混乱した。未だに分からないことだらけさ。」
雄太「まずは、温泉で役に立てるようになることが先決だな。妖怪と会えて一緒に仕事なんて夢のようだ。」
武「東京から一瞬で荷物と飛んでびっくりしたよ。」
雄太「移動先が確実に空間か分からなかったのだろうな。分かる時は瞬間移動するよ。」
亮太「自分らの時は、瞬間移動で飛ばしたからな。でも僕らは移動装置で向かったな。」
雄太「長老に聞いたけど、瞬間移動は生き物には危険だそうだ。。どうも物質が混ざる危険があるらしい。移動先が完全に無じゃないと使えないらしい。」
武「そうなのか!瞬間移動出来なくても、あのスピードで移動したら旅行会社も潰れるな。」
亮太「彩菜に聞いたけど、美雪さんは一瞬で宇宙破壊出来るらしいよ。工学部の俺達でも分からない。特殊相対性理論と量子論の分野なんだって。」
武「いや、経済学部だから全く分からないな。」
亮太「彩菜は京都大学の経済学部、美雪さんは東京大学の工学部を蹴って、うちの農学部に来たからな。むちゃくちゃ頭いいんだ。」
雄太「教授が美雪さんに聞くぐらいだからな。教授がちんぷんかんぷんになってたから。それが農学部の生徒なんだからな。最初は農学部だからって馬鹿にするヤツいたけど、今では誰もそんなヤツはいなくなった。温泉の社長は未だにバレてないみたいだな。」
亮太「畑でむちゃくちゃ稼いでいるのは農学部では憧れらしいよ。」
武「しかし、ずいぶん遠回りな人生を送ってしまったな。」
雄太「とにかく焦らず学ぶことですね。あんなプロ集団には努力しないと追いつけないです。」
武「そうだな!驚いている場合じゃないな。僕は明日からは、無職で温泉を学ぶ。失業保険もらう半年は無給で学ぶ。でないと失礼だ。」
亮太「だけど。。社長に従うべきだよ。」
武「そうだな。話はする。けど、社長に従うよ。そろそろ帰るよ。」
雄太「兄さんは苦労してきた分、幸せにならないといけない。」
武「まあ、既に幸せは始まったけどな。おやすみ。」
病院に戻ると、先生の酒に付き合いながら、今までの話をいろいろ聞いた。さよの苦労も聞き、武にはさよの苦しみが痛いくらい理解出来た。
自分に幸せに出来るか分からないが、幸せにする努力をしようと固く誓った。