「第103話」土産
夏休みの7月末のある日の夜、美雪と長老とさよは死者の村を訪れた。
3人で雪の家に行く。時間のズレのため、死者の村は午後2時だった。
美雪「みんな午後2時たからね。忘れないでね。一応23時間後にアラームセットする。」
さよ「美雪さん。今日は雪さんの家に泊まって、明日の朝食の後に私の両親のところに行きたい。」
美雪「もちろん両方行くつもりだから、それで大丈夫。」
長老がノックする。
雪「あら。おばあちゃんに美雪。久しぶり。。ん?誰?」
さよ「あの。さよです。」
雪「えっ!さよなの。。すごい綺麗というかかわいいというか。。あれ?あなた足は?」
さよ「美雪さんと先生が治してくれた。」
美雪「今日、お母さんのところに泊まって、明日の朝はさよさんの両親のところに行くつもり。」
雪「入って。」
雪「あなた。前に話した、さよさん。美雪が足を治したって。すごいわ。」
純一「美雪はみんなを幸せにするな。長老、お元気ですか。」
長老「美雪のおかげで毎日楽しいわい。雪。特別じゃぞ。今日の夕食はウナギだ。」
雪「本当に?すごい!」
純一「えっ。あの村の外れの店?」
長老「そうじゃ。美雪。鍋あるか?米持ってきたから、ごはん炊く。」
雪「えっ!鍋で米を?」
長老「ああ。彩菜に教えてもらった。」
純一「いや〜。米か。こちらは芋だからな。」
美雪「あとね。2人の家に引っ越しするから畑で作ったメロン持ってきた。今から切るね。」
純一「えっ。メロン栽培してるの。すごいなー。」
雪「さよは何してるの?」
さよ「村長の許可もらったから、美雪さんの家に住んでる。今は弁護士さんの手伝いしてる。美雪には内緒よ。弁護士試験受けるの。」
純一「日本で一番難しい試験じゃないか。。」
さよ「昔と違って法律改正されたから、日本国籍と戸籍取ったの。弁護士さんの養子になった。私は人間になったの。法的にはね。」
雪「すご〜い。幸せそうね。お互いに妖怪村では辛かったからな。あなたが幸せならいいわ。そうだ!おばあちゃん呼んでくる。」
雪がおばあちゃんを連れて帰ると、メロンが出てきた。
おばあちゃん「母さん。久しぶり。メロンってこれ?」
長老「わしのお気に入りじゃ。食べな。」
おばあちゃん「うわっ。何。。すごいじゃない。」
雪「このメロン。。すごいわね。」
純一「これ自分で作ったの!すごいな。美味いよ。」
おばあちゃん「みんな食べなさいよ。」
美雪「私達はいつでも食べれるからいい。」
長老「そうじゃった。少しくれ。じいさんのところに持って行く。」
長老が出かけると、おばあちゃんは美雪に興味津々。さよは雪と純一と話す。
おばあちゃん「美雪。同時に妖力出すってどうやるのよ。」
美雪「風と氷ならこう。」
おばあちゃん「すごい!美雪の妖力って遠くまで届くわね。すごい力ね。」
美雪「なんか、若いから。。おばあちゃんって抵抗あるな。。あの。私の妖力じゃないの。空中の妖力を集めて飛ばしているから同時に出せるの。あと遠くまで届くのは黒の妖力で重力無効化してるから。あと、印つけたら、逃げても追いかけるんです。」
おばあちゃん「何それ。。そんなこと出来ないわ。」
美雪「おばあちゃん。妖力粒をバラバラに出来ますか?」
おばあちゃん「無理無理。」
美雪「長老は出来るようになったけど。これが出来ると空中から直接妖力を取り込めるんです。」
おばあちゃん「えっ!背中から妖力入れてもらうか、食事で吸収するしか無理。あなたすごいわね。」
美雪「そうだ。少し使っちゃったけど、サプリをあげます。」
おばあちゃん「何?」
美雪「緊急の時に使って下さい。妖力が一気に溜まります。1個飲んで下さい。」
おばあちゃん「ウソでしょう!雪。妖力が一気に溜まる。飲んでみて。」
雪「薬?。。うわっ。すごい!これあったらお母さん死ななくて済んだじゃない。」
おばあちゃん「確かにそうだけど。。そんな昔のことはどうでもいいわ。」
さよ「美雪さん。あれ見せたら?1円玉。」
美雪「特別よ。この1円玉は9年前に作られた1円玉ね。今から妖力かけます。」
おばあちゃん「なんかピカピカになったわね。」
純一「キレイにしたってこと?」
さよ「これからよ。」
美雪「更に妖力かけます。」
純一「えっ。金属。。どういうこと?何したの?」
雪「まさか。。まさか、10年時間を戻したってこと?」
さよ「さすが頭いいなー。」
おばあちゃん「えーっ。そんなの。。知られたらヤバいわよ。これ秘密にしないとダメだ。」
純一「戻せるの?」
美雪「出来ない。時間は進めることが出来ない。今の悩みなの。全くやり方が分からない。」
おばあちゃん「ちょっと雪、純一さん。なんて子を産むのよ。信じられない。」
長老「ただいま。。美雪!見せたのか!。。いいな。絶対に言ってはダメだぞ。」
おばあちゃん「言う訳ないじゃない。知られたらマズいわ。」
長老「まあ。知られても出来ないけどな。そろそろごはん炊くわい。じいさんも座れ。美雪。手伝ってくれ。」
美雪「うん。」
2人で準備すると、美雪が妖力でウナギ丼を一気にテーブルに飛ばす。
さよ「何今の。。私、初めて見た。」
美雪「ああ。手で運べばいいから使う必要ないからね。」
長老「さあ。食べようか。」
純一「懐かしい。美味いな。」
雪「本当に。あなたに連れてってもらったわね。」
長老「じいさん。美味いだろ。」
長老の夫「川のあの魚が?こんな美味いもの初めてじゃ。」
さよ「長老。ごはん美味しいわね。」
おばあちゃん「なんて幸せな日なの。」
さよ「これ。私から。」
雪「あっ。私の名前のお酒ね。」
おばあちゃん「何?美味しいの?」
雪「すごいさっぱりしてるの。」
おばあちゃん「いや〜。最高。」
楽しい宴の後、並んで眠った。おばあちゃんは遅くまで美雪に妖力の質問攻めになった。
翌朝、長老の作った朝食を食べると解散となり、3人はさよの両親のところに向かった。庭先で母を見つけた。
さよ「お母さん。おはよう。」
母「あら。美雪さんに。。ち、長老。。わざわざお越し頂いて。どうぞ。」
長老「失礼します。もう村長じゃない。ただの年寄りじゃ。」
父「えっ。亡くなったんですか?」
長老「違うわい。引退したよ。」
母「引退出来るんですか!」
さよ「初めて生きたまま引退したの。ねえ、私達が作ったメロンを届けにきたの。」
父「へー。すごいな。さよが作ったのか。。」
さよ「うん。みんなで作ったんだ。」
美雪「切りますから食べましょうか。」
美雪がメロンを切るとテーブルに置く。
母「美雪さんがさよの足を治してくれて、何とお礼したらいいのか分からないくらいで。」
父「本当にありがとうございます。」
さよ「お母さん。食べてみて?」
母「何これ。。あなた。信じられないくらい美味しい。」
父「どれ。。うわっ。。こんなに美味しいものあるんだ。。」
夢中で食べる両親は完食してしまった。
美雪「さよさんは人間の世界で生きることにしたの。」
母「大丈夫かい?辛くないのかい。」
さよ「妖怪村のほうが辛かったな。今は幸せよ。お父さんみたいな優しい旦那さん見つけるんだ。」
長老「最近涙もろくていかんわい。ああ。酒持ってきた。また飲んでください。」
美雪「私はチョコレート。暑いととけるから、涼しいところに保管して下さい。」
さよ「このチョコレート美味しいよ。いっぱいあるね。1日1枚だけね。食べ過ぎはダメだよ。」
さよは人間界での仕事や仲間との関係を話し、両親は熱心に聞いた。
その間に美雪と長老は美雪の技を使い、妖力を排除した空間を作り、内部に別の空間を入れて妖力粒を観察する。
長老「やはり。。10倍じゃな。」
美雪「本当に闇の妖力だけが要因なのね。闇の逆の妖力が絶対にあるはずよ。。分からない。」
美雪のスマホのアラームがなる。
美雪は空間を壊し、帰る準備をする。
美雪「さよさん。そろそろ。そういえば写真は?」
さよ「忘れてた。。3人の写真よ。あげる。」
父「へー。嬉しいな。。一番嬉しい贈り物だよ。」
母「長老。美雪さん。本当にありがとう。さよをよろしくお願いします。」
さよ「また来るね。」
笑顔で、両親の家をあとにした。