表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖女 美雪  作者: ぴい
103/131

「第103話」土産

 夏休みの7月末のある日の夜、美雪と長老とさよは死者の村を訪れた。

 3人で雪の家に行く。時間のズレのため、死者の村は午後2時だった。


美雪「みんな午後2時たからね。忘れないでね。一応23時間後にアラームセットする。」


さよ「美雪さん。今日は雪さんの家に泊まって、明日の朝食の後に私の両親のところに行きたい。」


美雪「もちろん両方行くつもりだから、それで大丈夫。」


 長老がノックする。


雪「あら。おばあちゃんに美雪。久しぶり。。ん?誰?」


さよ「あの。さよです。」


雪「えっ!さよなの。。すごい綺麗というかかわいいというか。。あれ?あなた足は?」


さよ「美雪さんと先生が治してくれた。」


美雪「今日、お母さんのところに泊まって、明日の朝はさよさんの両親のところに行くつもり。」


雪「入って。」


雪「あなた。前に話した、さよさん。美雪が足を治したって。すごいわ。」


純一「美雪はみんなを幸せにするな。長老、お元気ですか。」


長老「美雪のおかげで毎日楽しいわい。雪。特別じゃぞ。今日の夕食はウナギだ。」


雪「本当に?すごい!」

純一「えっ。あの村の外れの店?」


長老「そうじゃ。美雪。鍋あるか?米持ってきたから、ごはん炊く。」


雪「えっ!鍋で米を?」


長老「ああ。彩菜に教えてもらった。」


純一「いや〜。米か。こちらは芋だからな。」



美雪「あとね。2人の家に引っ越しするから畑で作ったメロン持ってきた。今から切るね。」


純一「えっ。メロン栽培してるの。すごいなー。」



雪「さよは何してるの?」


さよ「村長の許可もらったから、美雪さんの家に住んでる。今は弁護士さんの手伝いしてる。美雪には内緒よ。弁護士試験受けるの。」


純一「日本で一番難しい試験じゃないか。。」


さよ「昔と違って法律改正されたから、日本国籍と戸籍取ったの。弁護士さんの養子になった。私は人間になったの。法的にはね。」


雪「すご〜い。幸せそうね。お互いに妖怪村では辛かったからな。あなたが幸せならいいわ。そうだ!おばあちゃん呼んでくる。」



 雪がおばあちゃんを連れて帰ると、メロンが出てきた。


おばあちゃん「母さん。久しぶり。メロンってこれ?」


長老「わしのお気に入りじゃ。食べな。」


おばあちゃん「うわっ。何。。すごいじゃない。」

雪「このメロン。。すごいわね。」

純一「これ自分で作ったの!すごいな。美味いよ。」


おばあちゃん「みんな食べなさいよ。」


美雪「私達はいつでも食べれるからいい。」



長老「そうじゃった。少しくれ。じいさんのところに持って行く。」



 長老が出かけると、おばあちゃんは美雪に興味津々。さよは雪と純一と話す。


おばあちゃん「美雪。同時に妖力出すってどうやるのよ。」


美雪「風と氷ならこう。」


おばあちゃん「すごい!美雪の妖力って遠くまで届くわね。すごい力ね。」


美雪「なんか、若いから。。おばあちゃんって抵抗あるな。。あの。私の妖力じゃないの。空中の妖力を集めて飛ばしているから同時に出せるの。あと遠くまで届くのは黒の妖力で重力無効化してるから。あと、印つけたら、逃げても追いかけるんです。」


おばあちゃん「何それ。。そんなこと出来ないわ。」


美雪「おばあちゃん。妖力粒をバラバラに出来ますか?」


おばあちゃん「無理無理。」


美雪「長老は出来るようになったけど。これが出来ると空中から直接妖力を取り込めるんです。」


おばあちゃん「えっ!背中から妖力入れてもらうか、食事で吸収するしか無理。あなたすごいわね。」


美雪「そうだ。少し使っちゃったけど、サプリをあげます。」


おばあちゃん「何?」


美雪「緊急の時に使って下さい。妖力が一気に溜まります。1個飲んで下さい。」


おばあちゃん「ウソでしょう!雪。妖力が一気に溜まる。飲んでみて。」



雪「薬?。。うわっ。すごい!これあったらお母さん死ななくて済んだじゃない。」


おばあちゃん「確かにそうだけど。。そんな昔のことはどうでもいいわ。」


さよ「美雪さん。あれ見せたら?1円玉。」


美雪「特別よ。この1円玉は9年前に作られた1円玉ね。今から妖力かけます。」


おばあちゃん「なんかピカピカになったわね。」


純一「キレイにしたってこと?」


さよ「これからよ。」


美雪「更に妖力かけます。」


純一「えっ。金属。。どういうこと?何したの?」


雪「まさか。。まさか、10年時間を戻したってこと?」


さよ「さすが頭いいなー。」


おばあちゃん「えーっ。そんなの。。知られたらヤバいわよ。これ秘密にしないとダメだ。」


純一「戻せるの?」


美雪「出来ない。時間は進めることが出来ない。今の悩みなの。全くやり方が分からない。」


おばあちゃん「ちょっと雪、純一さん。なんて子を産むのよ。信じられない。」



長老「ただいま。。美雪!見せたのか!。。いいな。絶対に言ってはダメだぞ。」


おばあちゃん「言う訳ないじゃない。知られたらマズいわ。」


長老「まあ。知られても出来ないけどな。そろそろごはん炊くわい。じいさんも座れ。美雪。手伝ってくれ。」


美雪「うん。」



 2人で準備すると、美雪が妖力でウナギ丼を一気にテーブルに飛ばす。


さよ「何今の。。私、初めて見た。」


美雪「ああ。手で運べばいいから使う必要ないからね。」


長老「さあ。食べようか。」


純一「懐かしい。美味いな。」

雪「本当に。あなたに連れてってもらったわね。」


長老「じいさん。美味いだろ。」


長老の夫「川のあの魚が?こんな美味いもの初めてじゃ。」


さよ「長老。ごはん美味しいわね。」


おばあちゃん「なんて幸せな日なの。」



さよ「これ。私から。」


雪「あっ。私の名前のお酒ね。」


おばあちゃん「何?美味しいの?」


雪「すごいさっぱりしてるの。」



おばあちゃん「いや〜。最高。」


 

 楽しい宴の後、並んで眠った。おばあちゃんは遅くまで美雪に妖力の質問攻めになった。



 翌朝、長老の作った朝食を食べると解散となり、3人はさよの両親のところに向かった。庭先で母を見つけた。


さよ「お母さん。おはよう。」


母「あら。美雪さんに。。ち、長老。。わざわざお越し頂いて。どうぞ。」


長老「失礼します。もう村長じゃない。ただの年寄りじゃ。」


父「えっ。亡くなったんですか?」


長老「違うわい。引退したよ。」


母「引退出来るんですか!」


さよ「初めて生きたまま引退したの。ねえ、私達が作ったメロンを届けにきたの。」


父「へー。すごいな。さよが作ったのか。。」


さよ「うん。みんなで作ったんだ。」


美雪「切りますから食べましょうか。」



 美雪がメロンを切るとテーブルに置く。


母「美雪さんがさよの足を治してくれて、何とお礼したらいいのか分からないくらいで。」

父「本当にありがとうございます。」


さよ「お母さん。食べてみて?」



母「何これ。。あなた。信じられないくらい美味しい。」


父「どれ。。うわっ。。こんなに美味しいものあるんだ。。」


 夢中で食べる両親は完食してしまった。


美雪「さよさんは人間の世界で生きることにしたの。」


母「大丈夫かい?辛くないのかい。」


さよ「妖怪村のほうが辛かったな。今は幸せよ。お父さんみたいな優しい旦那さん見つけるんだ。」


長老「最近涙もろくていかんわい。ああ。酒持ってきた。また飲んでください。」


美雪「私はチョコレート。暑いととけるから、涼しいところに保管して下さい。」


さよ「このチョコレート美味しいよ。いっぱいあるね。1日1枚だけね。食べ過ぎはダメだよ。」



 さよは人間界での仕事や仲間との関係を話し、両親は熱心に聞いた。



 その間に美雪と長老は美雪の技を使い、妖力を排除した空間を作り、内部に別の空間を入れて妖力粒を観察する。


長老「やはり。。10倍じゃな。」


美雪「本当に闇の妖力だけが要因なのね。闇の逆の妖力が絶対にあるはずよ。。分からない。」



 美雪のスマホのアラームがなる。


 美雪は空間を壊し、帰る準備をする。


美雪「さよさん。そろそろ。そういえば写真は?」


さよ「忘れてた。。3人の写真よ。あげる。」


父「へー。嬉しいな。。一番嬉しい贈り物だよ。」

母「長老。美雪さん。本当にありがとう。さよをよろしくお願いします。」


さよ「また来るね。」



 笑顔で、両親の家をあとにした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ