「第102話」把握
彩菜の父は夜に自宅に彩菜を呼び出した。
彩菜の父「たまには帰れよ。」
彩菜「勉強と畑が忙しくて、村のほうが良かったから。。夏休み終わったら戻るわ。」
彩菜の母「あのね。いくら大輝さんが1人600万円くれるって言っても、採算合うとは限らない。私達だけで収入がどうなるか考えないといけない。」
彩菜の父「あちらでの私達の収入は今のところ畑だけだ。貯金は祖母の土地売却の残金3000万円と私の退職金など2000万円くらいだろう。彩菜の大学費用の1000万円は別で蓄えてある。もし温泉無かった場合、国民健康保険と年金で毎月3人で10万円。ガソリン代や車の費用を月割りすると2万円くらい。生命保険が3人で月6万円。携帯代が3人で2万円。多少多めに考えている。母さん今合計は?」
彩菜の母「月に20万円ね。衣料費は分からないけど1万円として。。電気、ガス、水道で5万円。更に食費と医療費、町内会費。最低30万円はかかる。おばあちゃんは自分の貯金でやりくりしてるみたいだから数には入れてない。」
彩菜「美雪の畑を手伝い、こちらも手伝ってもらうから、7人で2つの畑を均等割りになるわ。私達だけで畑の稼ぎをもらう訳にはいかないわよ。」
彩菜の父「当たり前だ。もちろん私達も両方の畑をやるつもりだ。ああ、温泉がない場合ね。温泉で手伝うのが無理な場合もあるが、それは温泉から収入があるということだから、今は考えない。」
彩菜「どうだろうね。畑が倍になるということ。実際は私達の畑のほうが広くなるから2.5倍かな。今は2月が一番落ち込む。7万円だった。つまり2.5倍すると17.5万円。メロンが終わった後から本格的。でも最大に有効活用始めたのは長老と祖母が引っ越して成果出た10月くらいから。」
彩菜の母「平均したら10万円。つまり25万円くらい?」
彩菜「そんなに少なくない。イチゴの時期は高いし、メロンの月なんて30万円。たぶん15万円くらいにはなると思うけど。。少なめに見て12万円かな。」
彩菜の母「つまり30万円ってことね。ギリギリよ。」
彩菜の父「不作の時は赤字か。安心な額ではないな。だが全くゼロにはならない。貯金もあれば何とかなるか。。どうにもならない場合は、この土地を売るが、その時は後がない。」
彩菜「私、グラビアやるからいいわよ。」
彩菜の父「何を言ってるんだ!その前に家を売る。」
彩菜「ねえ。コストダウンもしないの?私達は会社行ったりしないのだから携帯会社を大手にする必要もない。格安スマホなら2万もかからない。光熱費だって美雪に頼んだら、妖力発電とかで減らせるわ。トイレやお風呂は川の水を引けば安くなる。」
彩菜の父「切り替え装置とかで費用かかるぞ。」
彩菜「電気と水は、既に美雪に頼んであるわ。制御も美雪は頭の中で出来ている。ガスは無理だって。オール電化なら出来たけど、もう遅かった。けど、今の中から3万円は下がる。生命保険要る?外で死んだら仕方ないけど。私の妖力で治るのよ?電車にひかれたりしたら無理だけど生命保険の価値は引っ越したらないんじゃない?食費下がるし、服なんて都会ほどは要らないし10万円は下がるでしょう?それに私は税引きされた額よ。個人事業主になったら節税もある。今は美雪に雇われた形だから、収入は増える方向だからね。」
彩菜の母「あんた。頭いいわね。」
彩菜「一応、京都の大学の経済学部受験しますので。行かないけどね。」
彩菜の母「お父さんの大学に決めたの。」
彩菜「まあ、目的は合格することだけね。農業をいかにやるかのほうが重要だし。ねえ、美雪に言われたんだけど。。」
彩菜の父「何だ。」
彩菜「あのね。お父さんの技術で、ホームぺージで直接販売したら手数料かからないって話が。」
彩菜の父「集客に問題あるんじゃないか?」
彩菜「常連さんだけ誘導するの。」
彩菜の父「フリマの手数料は?」
彩菜「10%よ。」
彩菜の父「んー。微妙だな。決済が入金になるだろう?生鮮食品には向かない。それに住所バレるぞ。だが温泉のホームぺージでなら。。いいかもしれないな。それに野菜とかは販売するより、形を変えて高い食べ物にしてしまう方が隣に座っているからな。温泉と話が混ざったな。」
彩菜「ん?ちょっと待ってよ。。違うじゃないの。私達3人が畑の収入あるのよ?3倍じゃない。採算合わない訳がないじゃないの!ただ、量が増えた分の全てが売れるとは限らない。自給自足で食費はかなり助かるでしょう?みんな収入あるんだから、ふるさと納税で2000円で米は手に入れられるのよ?けどさー。立地最高。ライバルいない温泉よ。すごく考えてある。採算合わないとは思わないのよね。あのね、治療の湯って温泉だけにわずかに治療妖力入れるの。治りが倍になる程度にね。」
彩菜の父「確かに収入3倍じゃないか。。しかし、そんなに売れてるのか。参ったな。温泉ない場合でもそれなら十分だな。逆に温泉続いたら、どうだろ。月に100万近い世帯収入があるんだ。要らないくらいだ。」
彩菜「実際に最近は平日は5個、金土日は10個以上売れてる。12万なら5人で60万円ってことよ。月に200個以上売れて、平均単価3000円で60万円。税引きされてるから実際は、もっと売れてるわ。価格設定は3980円か4980円になるように量調節してるから。。ざっと考えても妥当な計算って分かるでしょう?ほうれん草とかナスとか安価じゃないと無理なのはあるけどね。温泉に加えて更に畑の収入だよ?って考えたらホームぺージ販売のメリットはないな。手間かかりすぎね。」
彩菜の母「彩菜が結婚したら苦しくない?」
彩菜「養子で同居。無理なら私の身体は自由にならないわ。」
彩菜の父「それは条件キツイんじゃない?」
彩菜「結婚するということは、妖怪や妖力がバレるのよ。生半可な覚悟じゃ私の身体は好きには出来ないわ。他人より長生きしそうだしね。結婚の条件は厳しい。無理そうなら30歳になったら、適当に子供作ってシングルマザーになるわ。」
彩菜の母「あんたむちゃくちゃねー。」
彩菜「妹が兄に迫るほうがむちゃくちゃでしょう。」
彩菜の母「兄妹は設定だから。。」
彩菜「えっ!そういう設定にして楽しんだってこと?もっとむちゃくちゃじゃない。」
彩菜の母「違うわよ!愛してたから必死だったの。」
彩菜「まあ。今があるのは2人のおかげ。もちろんみんなも。だから幸せよ。」
彩菜の父「彩菜の入学のタイミングで退職しようか。。」
彩菜「予定通り12月でしょう?ボーナス2回はデカいわ。最後は有給休暇でしょう?10月には終わり。もう1年ちょっとよ。温泉営業開始まで1年あれば畑を学びながら温泉のアイデア考えられるからベストだよ。」
彩菜の父「世話になった会社だ。早めには伝えるつもりだ。社長の打診あったよ。大輝さんの会社のな。さすがに断ったよ。」
彩菜「それは体裁悪いわね。」
彩菜の父「そういえば、内装だけになったから、9月からは畑作業いいらしいぞ。建物は引き渡しまでは許可もらわないと入ってはいけないがな。」
彩菜「出来るかな?勉強あるしなー。」
彩菜の母「私は、地道に始めるから週末にみんなでやればいい。」
彩菜「お父さん。会社作って。弁護士さんに相談しておくから。」
彩菜の父「彩菜社長のほうが良くないか?まあ、任せるよ。」
彩菜「もしもし。美雪。今日は家に泊まるわ。9月から畑に入っていいって。。えっ!いいの?美雪抵抗あるって。。そういうこと!。。分かったわ。うん。おやすみ。」
彩菜の母「何?」
彩菜「畑の土地の改良は長老と美雪が一気にやるって。美雪って畑は人が食べる物だから、妖力は使わないこだわりなんだけど。土の整備は妖力でやるって。美雪の畑もそれはやってるらしいの。だから苗植えるところからね。。ナス、大根あたりからかな?違うものもチャレンジしたいのよね。」
彩菜の父「まずは無難なものからだろう。チャレンジはその後だ。」
彩菜の母「お風呂入って寝ようか。」
久しぶりに家族だけで過ごす夜になった。