「第100話」付人
弁護士さんは、さよを連れて得意先を回る。
さよは節税の提案を次々と行い、わかりやすく説明する。
社長「これはいい助手を見つけたな。ちょっと綺麗すぎるな。。高校生か?」
弁護士「まあ、終活ですな。さよに引き継ぐつもりです。幼く見えますが大人ですよ。」
さよ「えっ!私なんかじゃ。。」
弁護士「東京遊びに行ったらスカウトだらけだったらしいですよ。まあ、当たり前だろうな。」
社長「このルックスなら億稼げるだろう。。」
さよ「私は経営を学ばないといけないし、ルックスでチヤホヤされるのなんて10年も続かないですから、ずっと続けられるほうがいいです。」
社長「天才で美人か。。旦那見つけるのは苦労するな。変な男にはつかまるなよ。」
弁護士「では、また来月に来ます。」
ファミレスで昼食を食べる2人。芸能事務所がスカウトに来るが、丁寧にお断りする。
弁護士「やっぱり輝いて見えるんだな。さよ。お前、弁護士試験受けるか?」
さよ「えっ?受けれるの?義務教育受けてない。」
弁護士「そこはたぶんクリア出来る。」
さよ「じゃあ。。私、頑張ってみる!ねぇねぇ、税理士は?」
弁護士「まず弁護士だな。その後に税理士だな。弁護士の仕事のほうが既に役立っている。ああ、昼からの法廷は任せるよ。」
さよ「えっ。。無理だよ。」
弁護士「大丈夫だ。負ける争いじゃない。危なくなったら助けるさ。相手が権利侵害したんだからな。まだまだ長くかかる訴訟だからな。。」
さよ「勉強たりない。。」
また、スカウトがやってきた。
さよ「今から弁護しに法廷に行くから邪魔しないで!」
弁護士「名刺だけいただきますが、別の分野で一流になりますので生涯年収で芸能活動は上回らないと思いますよ。へー。一流芸能事務所じゃないか。まあ、落ち着いたら彼女には話すよ。」
2人は裁判所に向かい、裁判が始まると、さよは生きるか死ぬかの日々を生きぬいてきたためか、持てる材料を駆使しながら絶妙な判断力で一気に相手を論破する。
弁護士は関心した。もう、相手はかなり苦しくなったな。。値切るために和解してくるかな。
さよは最後通告をすると思いきや、突然、情に訴え始める。
さよ「裁判長。和解の話し合いを開始しますので、裁判は当面保留して下さい。和解交渉決裂後に改めて争います。」
弁護士は予想外の展開に戸惑う。本当に話が出来る相手なのか?内心困惑した。
裁判官は了承し、場所を変え争う同士の話し合いを始める。
話し合いの結果、権利侵害分を支払うことで合意したうえで、侵害相手の得意分野での共同開発を提案し、原告被告ともにウインウインにしてしまった。
まだまだ長く続くと思われた裁判は今日で終わった。
原告「話にならないと思っていたが。。案外まともな会社だったな。しかし、弁護士さん。すごい助手見つけたな。。ヤバいくらい魅力的だし。独身だったら求婚してるな。」
弁護士「確かにすごいな。保護者として。。それは、認められないな。」
さよ「あの会社は勝訴しても無駄よ。内部留保ないから。倒産して逃げるわ。だから勝つだけなの。お金も取って、更に相手を助けるしか勝ったことにならないのよ。」
弁護士「いや〜〜。ウソだろう。。負けたよ。負けた。負けて嬉しいのは初めてだ。」
相手の弁護士「いや〜、お見事です。あんなの初めて。すごいなー。とんでもない大物だな。」
弁護士「あのな?まあ、分かっているけどさあ。お前仕事選べよ。勝てるわけないだろう。」
さよ「労働が無駄にならなかったわね。」
相手の弁護士「えっ。何で?」
さよ「連結子会社を経由して複雑に赤字回してるわ。実質債務超過よ。共同開発で黒字確実。組むに決まってる。組まなかったら賠償金どころか弁護士費用も払わず会社倒産。」
原告「えー。私の会社は組んで大丈夫かな?」
さよ「あれなら、複雑すぎて銀行も気づかない。融資は受けられるし、利益出たら連結子会社清算して健全企業に戻るわ。倒産逃れるために利用したのよ。ずいぶんおたくの権利侵害で取り戻してる。」
弁護士「さよ。お前。。最初からそのつもり。。」
さよ「最初は違うわ。ファミレス出る前にふと気づいたから慌てて調べたの。裁判開始前には決めてた。一気に追い詰めた時に最後に相手が笑ったの。。あれね。殺される前の人間の顔よ。私は、何度も見てきたから分かる。会社倒産を覚悟したのが分かったから和解。特定分野では強い会社だから再生の可能性はあると思った。相手の債務補償とか契約しないことですね。でも、あの人は恩ある相手にそういうことはしない人のはず。根っからの悪じゃない。むしろ素直な方だと思う。あっ。そういえば、ファミレスの話しかけた人は何?」
弁護士「大手芸能事務所のスカウトだ。水着写真集出さないかって感じだった。」
相手の弁護士「俺買うわー。」
さよ「私の裸は愛する人だけ。そういえば弁護士さん見せちゃったわね。」
相手の弁護士「えっ。それって淫行じゃないか。」
弁護士「馬鹿者!25歳だよ。酔っ払って自分で脱いだんだよ!」
原告「えーっ。いいな〜。写真集私も買う。ちょっと待って。弁護士さんを愛してるってこと?」
弁護士「だから酔っ払って。。」
さよ「愛しているわよ。恩人だもん。まあ、愛している人は何人かいるけどね先生とか。。」
相手の弁護士「こりゃー魔性の女だな。名弁護士が女に狂うとはな。。」
弁護士「馬鹿者。娘のようなものだ!汚れた目線はやめろ。しかし、終わったな。今日終わるとはな。さよ。そろそろ帰ろうか。」
さよ「どうせ電車なら。。佳代さんの家にいきましょう。」
弁護士「なるほど!寄るか。じゃあ失礼しますね。」
最寄り駅から歩く2人。
さよ「弁護士試験受かるかな?」
弁護士「簡単じゃないぞ。」
さよ「美雪さんと彩菜さんの受験と一緒に合格目指す。」
弁護士「いや〜。間に合うか?ちょっと過去の試験とか集めるよ。」
さよ「10年分は既に終わったよ。」
弁護士「えーっ。ダメだ。。女神に見える。娘に見えない。」
さよ「弁護士さんなら、いいかな。。あっ!着いた。」
さよがインターホンを押す。
佳代「あら。玄関からなんて珍しいわね。」
さよ「お土産です。」
弁護士「お前。いつの間に。。」
さよ「弁護士さんがトイレ行った時だよ。ねぇねぇ佳代さん。弁護士さん、娘に見えないって。女だって。なんか嬉しいなー。」
佳代「えーっ!」
かよは先に入り大輝を見つけると隣に座ると、腕を組みスマホを覗き込みながら、楽しそうに建築の話を始めた。
弁護士「ヤバいな。。いよいよ魔性の女だ。」
佳代「いや〜。あれは負けても仕方ないわね。。食事は?」
弁護士「裁判終わって直接来たから。」
佳代「さよさーん。今日泊まる?」
さよ「いいの!泊まる。彩菜さんに連絡するわ。」
大輝「美雪達は向こうで勉強だろ?」
佳代「今日はこちらは4人ね。ごはん作るわ。」
食後、さよが風呂に入っている間に今日の出来事を話した。
大輝「しかし。。それは化けたな。」
佳代「いい人生になりそうね。」
弁護士「あの魔性はマズいだろう。。しかし、弁護士として初めて負けたと思ったよ。すがすがしい気持ちだった。共に勝つというのが法廷で実現するとは。。」
交替で風呂に入ると、恒例の宴会になった。街での仕事は、さよには刺激的になったようだ。