03 異世界
えーと、森の中、かな。
ってか、俺、マジで俺のままなのね。
「ここは、リヴァイスという大陸の北部に位置するアレノマ王国」
「"北の魔境"と呼ばれる深い森の奥です」
「水や食料は豊富ですが、原住生物はかなり危険です」
「まずは洞窟など避難場所となる拠点の確保を推奨します」
了解、イオちゃん。
これからよろしくね。
で、手ごろな洞窟とか、どこにあるか分かる?
「こちらです」
さすがはイオちゃん、頼りになるね。
「私の所有する地図データはリアルタイムで更新されています」
危ない動物の居場所とかも分かっちゃう?
「そちらの位置情報もリアルタイムで更新されています」
はい、食べられそうなの以外は、無視していこうね。
「了解」
ーーー
イオちゃんの案内で、大きな滝の裏にある洞窟に到着。
変な虫とか居ないし、風通しが良くて思ったよりジメジメしていないし、快適に暮らせそう。
さすがはイオちゃんだね。
それに、ここに来るまでに、うさぎっぽい動物を数匹仕留めたイオちゃん。
マジ強いっす。
ーーー
いや本当、イオちゃん無双状態。
用意した小枝を魔法っぽいので乾燥、着火、
あっという間に焚き火がいっちょあがり。
今は素手で、うさぎもどきを解体中。
スパスパやっちゃってるけど、アレも魔法かな。
そりゃうさぎもどきも瞬殺だよね。
って、空中から調味料っぽいのまで出してるけど、マジで何でもアリだよね、魔法。
俺、見てるだけで何もしてないけど。
「アマツさんは、疲れを取ることを最優先に」
ありがとね、イオちゃん。
本当、10000ポイントは伊達じゃない、だよね。
おっと、調理中だけど、話しかけて大丈夫?
「何なりと」
えーと、近くに人里とかって、あるのかな。
「最も近い集落は、徒歩で3日ほどの場所です」
ここって、文明はどんな感じ?
「中世ヨーロッパ程度、ただし魔法文明は順調に発展中」
「アマツさんの世界で特有の呼び方をされている、まさにアレです」
分かりやすいですね。
やっぱり冒険者ギルドとかあるのかな。
「いわゆる異世界ものテンプレ、でご理解いただけるかと」
本当分かりやすいよ、この世界を作ってくれた神様にお礼を言いたいね。
「伝えておきます」
あー、イオちゃんもしかして、神様とお知り合い?
「"天使"という概念が、私という存在を説明する際、一番近しいかと」
おっと、天使を連れて来ちゃったのね。
神様に怒られないかな。
「ポイント支払い済みですから」
……これからよろしくね、イオちゃん。
「はい、召し上がれ」
うん、食器も用意されてるってツッコんじゃダメだよね、今さら。
では、いただきますっ。