02 ポイント
マガツキ・アマツ 10000/10000
つまりは、現在10000ポイント所有。
で、ボードにある各種情報にこれを振り分けて、俺の強さやら何やらを決めることができる、と。
「振り分けの際に知りたいことがあれば、どうぞ遠慮無く」
「私の役目はそのためのナビゲーターです」
はい、ありがと。
なるほど、種族やら年齢やら、いろいろ変えられるけど、もちろん今のままで変えなくても良い。
変更前の数値が、今の俺の素の状態。
「まさにそうです」
で、体力やら素早さやら容姿やらの、身体情報、
性格やら性癖やらおツムの出来やらに関連する、知能・知識・精神情報、
その下にズラっとあるのが、お約束のスキルってヤツ。
さすがにこれは聞かないと分かんないね。
えーと、とりあえず、ポイントがいっぱい必要な項目を選べばより強くなるって感じでOK?
「はい、ただし低ポイントのものでも使い方次第です」
「こちらで過剰にポイントを振り分け無くとも、あちらの世界で覚えることが出来たり鍛錬などにより成長させることが出来るものもあります」
「もちろん、高ポイントが必要な項目は、相応に取得難易度も高いです」
なるほど、変なポイント振り分けをしてあっちで後悔しないように、今のうちに詳しいところをイオタちゃんに聞いとかなきゃね。
ってか、イオタちゃんも一緒に来てくれると嬉しいんだけど。
「ポイント10000、"ナビゲーター所有"」
「私を連れて行くことが出来ます」
凄いな、全ポイント消費ですか。
さすがはイオタちゃん、お高いですな。
「私の全ての能力を利用出来ますので、かなりお得です」
だよね、あっちの世界のことも、何でも知ってるんでしょ。
凄い能力とかも使えちゃいそうだし。
「種族的に最上位ですので、不老不死で無敵です」
うわっ、最強ですか。
確かに一緒に行ったら心強いですな。
このままの俺でも無双出来ちゃいそうだよ。
「アマツさんはそのままですが、守護するために全力を尽くします」
いいね、それ。
そういえば、このままで行っても、あっちの世界で成長出来るんだよね。
もしかしてゲームみたいに経験値とかあったりする世界?
「はい、経験値もレベルも魔法もあります」
「経験値やレベルに関する肉体の改変は、あちらの世界で肉体を存在させるために必ず行われる処置です」
「ただし、この場所で魔法関連にポイントを振り分けなければ、魔法の無い世界の住人だったアマツさんはあちらの世界で魔法は一切使えません」
おっと、重要情報だね、それ。
あー、どうしよ。
今の俺のままアッチに行っちゃうと、魔法関連は習得も成長も絶対に無理、と。
「はい、今のままではあちらの世界でステータスボードを見ることすら出来ません」
だよねえ、そんなこと出来る人、いなかったもんね、俺のいた世界には。
考えろ、俺。
確かにこの手の物語りだと、アッチに行った途端に、美女や美少女や美魔女がわんさか群がってくるのがお約束。
でもさ、今ここでステータスをアレコレ小細工して、イケメンや細マッチョやインテリ魔法使いになってもさ、
イオタちゃんみたいな娘さんに必ず会えるとは限らないんだぜ。
そもそも、勇者ムーブとかイケメンムーブみたいな主人公ちっくな冒険しなきゃ、そういう娘さんたちには振り向いてすらもらえないだろうし。
……いや、見えてますよ、視界の隅の方。
ステータスボードのスキル一覧の中に、
"生まれつきのジゴロ"とか、
"ラッキースケベ"とか、
そっち方面にめっちゃ役立っちゃうんでしょ、この手のアレって。
でもそれよりもさ、
イオタちゃん、ずーっと見てるんだよね、俺のこと。
これでお別れしちゃうのって、なんか、ね。
……ヨシッ、決めた!
イオタちゃん連れてく。
ってなわけで、これからよろしくね、イオちゃん。
「こちらこそよろしくお願いします、アマツさん」
じゃ、後はアッチに着いてからのお楽しみってことで。
早速、行っちゃいますか。
「ポイント振り分けしていませんので」
「あちらには転移にて移動」
「出現場所は即死しない程度にランダム」
「所持品は現在のまま、となります」
はいよ。
「ボードの"ナビゲーター所有"にポイントを振り分けて、ポップアップした選択肢から"ハイ"を選択してください」
ポチポチポチの、"ハイ"をポチっと。
「それでは、行きます」