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伝達

新章スタートです!

 王都での騒ぎより半年―――エルモアース領、新領主邸完成。

こちらの世界で建築というのは、魔法の補助もあってそう時間がかかるものではなかった。


 以前よりも広く、強く作られたソレの執務室の窓より外を覗く影が一つ。


 エルフの騎士、リーニャだ。



「二人、いつになったら帰って来るのでしょうか………………」


「さあな。家だってあんだ、戻らねえなんて事はねえだろ」


「にしても、遅すぎますよ〜」



 書類仕事を片付けながらも反応するラクルスと、それになんとも砕けた様子で返すリーニャ。


 貴族であるラクルスが、この様な無駄口を叩ける様になったのはつい最近の事―――このごろ国は、王都の一件から漸く平穏な日々へ戻ろうとしていた。


 元々国民の死傷者は撃退に少なく、住居などもマリーにより即日修復。

 そのため多い業務としては、イベリスと繋がっている者がいないかの捜査や、現状潜伏先の探索。

 幾度となく繰り返される、王都へ出向いての会談、面会などなど。

 

 騎士団長ベディヴィアの殉職や、魔人族との戦闘による冒険者の激減など問題はあったが、新たに騎士団長となった元副団長、スアレー・ジェムエルの活躍や、クロニクルからの聖七冠(セブンクラウン)派遣により、国民の心にはそれ程の影もない。


 今対面している問題といえば、今後の防衛策。

 既に決定している、計画が進められているものだと王都の外壁強化に加え、魔力障壁の完成が急がれている。

 

 外壁上部よりドーム状に、超高密度の魔力障壁を設置し、悪意を持った敵が接近すれば即感知。

 各所に設置された魔道具や、飛行型の魔道具より魔法が放たれ撃墜させるという仕組みだ。


 魔道具の魔力補充は、魔法を学ぶ学生や冒険者の生活費を稼ぐ手段として定着。

 長期的に、魔法文化の発展を支える事となる。


 魔道具の作成は先代魔導王であり魔導院現総帥である超大物魔女、マーリンが担当。

 世界でも指折りの魔道具技師である。



「私も、王都の騎士達の様に街を巡回でもしてみましょうか」


「要らねえよ―――何のために、私財投げ打って奴らを好きに遊び回らせてると思ってんだ」


「ですね…………あの二人がいる街なんて、よっぽどの事が起きても揺るぎません」



 現在エルモアース領には、聖七冠(セブンクラウン)のマリーとベネティクトが滞在中。

 それ故防衛力で言えば、王都と遜色ない程度には強固となっている。



「しかし、こうも落ち着いた時間が続くと落ち着きませんね………………嵐の前の静けさと言うか、なんと言うか」


「敵も今は身を潜めてる―――せめて今年一杯は時間が欲しいところだな」


「同意ですっ!」




 ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘




「……………………ねえベティー、あれ見えるかしら?」


「鳥…………じゃあなさそうだね。」



 エルモアース領、郊外。

 魔物討伐の任務にやって来たマリーとベネティクトが、遥か遠方の空を見て言う。

 少しずつこちらへ近づく黒い影。



「少し見て来るわ」


「気をつけるんだよ」



 箒に跨り、マリーが空を行く。

 残されたベネティクトがそれを眺めていると、後方より足音が。


 任務対象である魔物が現れた―――ハーピーである。



「ちょうど良かった―――僕の練習、マリーちゃんに見られるのは恥ずかしいからね」



 変わらぬリボルバータイプの魔銃に手を添え言う。


 無論、聖七冠が一介の魔物程度に苦戦する筈もなく。

 マリーがまだ目に見える距離にいる頃、幾度かの銃声が響いた。



「外したのかしら…………珍しいわ」



 ぼやくマリーの箒は、前方に風除けの魔法を維持しながら時速二百キロメートルまで加速。

 街中や森などとは違い、障害物のない場所ならばマリーは、聖七冠の中でも最高峰の移動速度を誇るのだ。


 どれ程の大きさなのか、先程見えた影は幾度進めど到着せず。


 暫く行った所で、地上に早馬を発見した。


 大きく旋回しながら減速して地上へと降りると、早馬に乗る騎士は随分と疲弊し、必死の様子。

 馬も休めていないのか、疲れ果てている。



聖七冠(セブンクラウン)二位、マリー・ジェムエルよ………………何があったのか、説明して頂戴」


「っ………………魔王がッ! 魔王、パルステナが攻めて来ました………………! 狙うはこの先…………エルモアース領ですッ!!!」

今日Happybirthdayなんやけど誰か祝ってや



(更新状況とか)

@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter

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