戦鬼
敵は三人―――それぞれを仮に、ABCと倒す順番を組み立てる。
皆拳銃を持っているが、突然現れた秋臥に反応し構えられた者は内一人、Aのみ。
それの手を真っ先に砕き、銃を没収。
そのまましっかりと接近した状態で、下顎に銃口を突きつけて発砲した。
続いてBの後方へと素早く周り、Cのと自分で挟み込む様な形に。
これによってCの斜線を切り、同時にBへのプレッシャー。
Aを即座に殺した奴が背後にいる―――その情報のみが、Bから冷静さを奪い去り、一瞬の硬直の直後に焦って振り返ると言う、後手後手の選択肢を選ばせた。
Bが振り返った瞬間、胸を強く殴打―――体外より心臓に強い刺激を与える事により、全生物共通に与えられる一瞬の停止。
その間に銃を奪い取り、マガジンを抜いてから、自身の飛び入って来た窓から外に捨てる。
武器を失ったBは自棄糞気味に。
大きく拳を振り上げるが、結果としては振り下ろす前に喉へ、ノーガードで中指による刺突を受けることとなった。
鋭く立てられた中指は喉に突き刺さり、呼吸器官を容易く破壊―――溢れ出した血が、必死に行われるか細い呼吸をも阻止。
その血を手に溜め、Cに向かい飛ばす。
目に的中―――視界を塞いだ一瞬、銃の有利が聞く間を潰し、Aと同じ様に下顎に発砲。
戦闘時間、僅か二十五秒―――一切の攻撃を喰らわず、香菜に向いた攻撃も零。
敵に冷静な思考を巡らせる猶予すら与えずに、場を完全制圧した。
「香菜、怪我は?」
「ありません―――すみません秋臥、ご迷惑をおかけしました」
「いいや、無事ならいいんだ…………本当に、いいんだ…………無事だったなら……………それで………………!」
その顔を見ると、どっと全身の力が抜ける―――総司と言い争ったときより今の今まで、全身に篭っていた力が消え失せる。
怒りも焦りも、全部一緒に消え失せる。
「言葉を間違えてしまいましたね」
言うと、脱力し床にへたり込んだ秋臥の手を取る。
両の掌で包み込む様に、優しく。
「助けに来てくれてありがとうございます、秋臥」
「どういたしまして」
安心し切っているが、ここはまだ敵地―――この、今自分の手を包む暖かな手を護らねばと、秋臥は再度全身に力を漲らせる。
「香菜、折角の外だ――― この後近くで観光でもして行こうか」
「いえ、帰りましょう。今日は肉じゃがを作って差し上げる予定でした」
「それは………………最高だ。急いで帰ろう」
スッと立ち上がると死体より銃を広い、それから静かに扉を開けて部屋の外を覗く。
敵はいない、当然だ―――もし居たならば、今の戦闘の発砲音で気づかれている。
だがここで騒ぐなどと言う事は決してせず。
ハンドサインで香菜を近くに呼ぶと、三本指を突き立てる。
ここは三階、外に出るまで階段二つ。
その最中、確実に敵は潜んでいる。
香菜にはもう暫くこの部屋で待って居てくれと伝え、部屋を飛び出した。
第一関門、早速通路脇よりABCが現れた。
戦闘中に奪った銃と、今さっき拾った銃二丁で同時に発砲―――AとCの頭を撃ち抜いた。
自分を挟む左右の見方が死んだ事により、Bは一瞬の動揺。
その隙に再度二丁同時で、Bの胸目掛け発砲した。
第一関門突破―――決して足を止めぬまま、階段は真っ正面から降らずに、手すりを越え真上より飛び降りる。
案の定階段には第二関門。
降り口一段目目掛けて銃を構える新たなABCと、四人目のDが。
真上より脳天目掛けて一人一発ずつ発砲。
二丁の内一丁が弾切れ―――階段への着地前に、先程投げ捨てた銃よりしっかり抜いておいたマガジンをリロード。
降りた階段の先、踊り場に第三関門のABC。
ABは変わらず銃で、Cはマチェットを持っている。
今度は攻撃のタイミングを僅かにずらし、Aが発砲するのを待つ。
引き金にかけられた指が動いた瞬間、腕を蹴り銃口をBの方向へ。
一度引いた引き金は最早巻き戻らず―――飛び出た銃弾はBの胸を貫いた。
Aの下顎に銃口を当てて発砲。
最後に残ったCが、真横よりマチェットを全力で振り下ろす―――二丁の銃を交差させ、それぞれの用心金で刃を挟む。
同時に膝蹴りを腹へと叩き込み、悶絶した瞬間に両手の銃を落とし、マチェットを奪いって全力で首目掛け振るう。
「第三関門突破―――そんで、レアアイテムゲット」
本来秋臥は、銃よりも接近武器による戦闘を得意とする―――それ故、マチェットを手に入れたここからが本番。
一度深呼吸をしてから再出発―――現れた敵を叩き切っては進み、叩き切っては進み。
僅か十分で、廃旅館内の敵殲滅を終えた。
(更新状況とか)
@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)




