戦場の死神
Twitter、生き返ったよ!!!
「こちらA班、侵入成功―――これより作戦を開始する」
傭兵集団、グレン団―――海外のギャングより購入した武器で違法に武装しており、今回発動された外的掃討作戦の対象でもある。
秋臥は現在、軽装の単身にてその地下本部に侵入中。
役割は蜂の巣に入り込み、多くの働き蜂を逃走不能にするのが秋臥の役割―――要は先鋒であり本命であり。
その他後続は、秋臥の見逃しを叩くだけの簡単なお仕事である。
「ん………………? なんだお前! どこから入った!」
「入り口」
潜伏状態から姿を現し、一瞬―――敵兵の喉笛をナイフで切り裂いた。
傷口より呼吸に合わせ、鮮血が溢れ出る。
自分でやった事でありながらも眉を顰めながらも、既に戦闘体制へと入っている周囲の兵に頭の中で仕留めるための番号を決める。
本格戦闘開始の合図は、敵の放った一発の弾丸であった。
身を低くしそれを回避しながら疾走。
一人即座に気絶させ、その体を盾にしながら他四人を次々に打ち倒す。
打撃からナイフでの刺殺―――奪った銃での発砲など、その場にある物で攻撃を繋いで行く。
あっという間に五人仕留めたものの、直ぐに増援がやって来る―――秋臥はその集団ど真ん中に飛び込み、兵達が味方に当たる事を警戒して銃を打てない事を利用し思う存分暴れる。
銃が打てないとなれば、当然敵の行動はナイフや打撃による接近戦。
その点部は秋臥にあった―――落とし、流し、躱し、その合間合間に自身の攻撃をねじ込む。
数多もの攻撃が降りかかる中、一切の攻撃を浴びずに次々と変わる盤面を冷静に捌き続けると、やがて敵も自棄を起こす。
飛んできた一つの手榴弾―――地下で使うものではないだろと思いながらも秋臥は冷静に対応策を切り出す。
既に倒した兵の死体や未だ生きている兵を薙ぎ倒し、床に転がった手榴弾の上に重ね。
その数十を超える肉の層を経て、手榴弾の威力を殺し切った。
「さぁ、ペースアップだ」
その言葉に違わず、戦闘はより苛烈なものへと変化。
敵の攻撃を回避するときは下がるのではなく進みながら。
既による攻撃を防ぐ際は、防御と同時にその箇所を挫き。
敵の喉笛を素手で引き千切り、その血を使い別の敵に目潰し。
厚い防護の施されていない身体の関節部内側などを執拗に攻め、敵が逃げに徹すれば死体から銃を奪い躊躇いなく使用。
後にトラオムに捕縛され、尋問にかけられた兵は皆口々に語る。
兵達が挑む事すら辞め逃亡に全力を尽くし始めた頃、顔色を変えず、汗一つかかず、ただただ敵を屠るその少年の姿。
正に――――――。
「死神だ………………!」
誰か一人が呟く。
それは恐怖に漏れた言葉であり、或いは誰かにとっての赦し。
皆がかの少年に恐怖している―――その認識が周知の物となれば、逃げ出す事は恥ではなくなる。
一定数の震えながらも武器を構えていた兵達も一斉に逃走を開始。
この時点で戦闘開始より四十分程度―――逃げる兵とは別に、今から新しくやって来る兵もおり。
その波に押し寄せられ、逃げる所を無理矢理戻された兵もまたあり。
まさに盤面は混沌に満ちていた―――響く発砲音と落ちる薬莢、雄叫びを上げる兵と、絶叫を上げる兵の混ざり合う声。
そして飛び散る血の音。
だがそれも長くは続かず、皆最後は逃げるか死ぬか。
瞬く間に死の丘が築き上げられ、新たにやって来る兵達も皆等しく死神の―――秋臥の戦力を察する事となる。
掃討作戦も難なく済むかと秋臥が考え始めていた頃、既に挑みかかって来る者は少数派に。
千近い死体の上で秋臥は一瞬、気を抜いた―――時間にすれば一秒足らず。
だがその瞬きの間を、誰かが見ていた。
死体に隠れ、銃を構えていた兵が一人。
人々の声に爆音の産声をかき消されながら撃ち出された三発の弾丸は、誰にも気づかれる事なく直進。
そして本日初めて、秋臥にダメージを。
背を貫き体内に侵入し、数々の筋繊維や骨、内臓に阻害され飛び出す事なく腹部にて活動を停止した。
「畜生…………!」
痛みの発生源より敵の位置を推測。
先程拾った銃に込められた全ての弾丸を自棄糞気味に打ち出すと、被弾したのか呻き声の聞こえる位置に飛び、即座にとどめを。
それからも問題なく暴れ続け、戦闘開始から一時間が経つ頃、ついに向かって来る兵は居なくなった。
負傷により足元がふらつく状況、なんとか壁にもたれかかると、手汗による滑り防止の手袋を外して軽く汗を払う。
一時間の戦闘後とは思えぬ程綺麗なその手で背の傷に触れると、痛みで体内に残った弾丸の位置を推測。
手持ちのナイフで腹部を貫くと、その傷口に手を突っ込み―――自ら三つの弾丸を摘出した。
「どひゃ〜! 隊長〜、これ全部一人でやったんですか〜! 隊長〜」
どこからか、聞き覚えのある間抜けな声が聞こえて来た。
その正体は、葉霧京介―――以前総司に話した、神兵の中でも優秀とした五人の内一人であり、この作戦で秋臥の通信が一時間以上途切れたままだった場合投入される十人構成のB班を任された十六歳の少年。
秋臥よりも五つ年上ではあるが、それでもまだ幼い天才児だ。
「B班か…………こっちだ!」
「ああ隊長、生きてらっしゃる…………って! 大怪我じゃあないですか! 大丈夫ですか〜!」
「体内の弾丸は摘出済み、血の色も悪くはないが…………出血が多い」
「わぁ、冷静ですね隊長。年下なのに凄いなあ、憧れちゃうなあ」
「逃げた兵は外の骨互裏、泥垣、羽々斬や、お前の兄達が指揮する班がなんとかする………………取り敢えず、これで中の俺達の仕事は終わりだ…………」
「そっか…………外、兄さん弱っちいから心配だなあ」
会話をこなしながらも、秋臥は自身の手先の先端が冷えているのを感じB班の面々へと目を向ける。
通信兵と衛生兵を発見―――その二人を側に呼ぶと、手短に仕事を伝えた。
内容はそれぞれ、通信兵には逃亡を許した敵の大凡の数と、医療班の用意。
衛生兵には自分の応急処置だ。
伝え終えると衛生兵の応急処置を受けながら、医療班の到着まで三十分ほど朦朧とする意識を保ち、到着とほぼ同時に気絶。
意識無くして、今回の任務を終了とした。
(更新状況とか)
@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)
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