初恋モンスター
顎痛くてイライラしてたら投稿時間忘れてた!
すみません。
スアレー・ジェムエル。
ジェムエル家の長女として生を受けた―――幼い頃は病気で体が弱く、生まれつき黒かった髪も白くなっていた。
だが十五歳のある日、友人のマリーが連れてきた聖女セリシアによって病状は完全消滅。
初めは少し歩くだけで息切れを起こすような貧弱さであったが、それを踏まえてなお動ける日々を満喫。
気づけば身長は二メートル、体重百二十キログラム―――胸も尻も大きくそれ以外は引き締まり、文字の上では理想の女性の、筋肉女が出来上がっていた。
現在ではその筋肉に加え、戦闘中どんな傷を負おうと止まらぬ凶暴性まで備え付けた。
左目の眼帯はそれの証明―――片目に爆弾を投げつけられようと戦闘を続行した結果の負傷である。
タンクトップにズボンのみという格好からしても、その活発さは窺える。
「こいつは私が貰うぜ。良いだろ? 団長さん」
「…………好きにしろ」
そう言って、ベディヴィアが下がる。
スアレーは楽しそうに円の中心へと入り、放った大剣を拾うと肩に背負った。
「手加減だ、武器を使ってやる」
「素手が本領なら武器を捨ててください。全力の貴女を打ちのめさないと、意味がない」
「言うじゃねえかッ!」
瞬間、スアレーは駆け出した。
一歩目で地面が抉れた―――激しい土埃を背にかける姿は百獣の獅子が如く。
秋臥を間合いに捉えた瞬間、力任せに大剣を振り下ろした。
「オラァ!」
「―――まずは、武器を捨てさせる所からか」
軽く横に跳んで、大剣を回避―――刃が地面に深くめり込み、鍔と柄のみが地上に出ている状態。
一瞬きょとんとした後、秋臥は柄を踏み抜き取れぬ様に。
まずはと言った目標を早速達成してしまったなと、僅かに拍子抜け。
「初めて使う剣だったが、思いっきり振るとこんな事になんだなあ」
「初めて…………じゃあ、本当に手加減だったな」
「ああ、辞めだ辞めッ! 馬鹿な真似した、ちゃんとやろうッ!」
今度こそは、大真面目。
拳を握り、秋臥に向かい振り抜く―――顔面に直撃したように見えたが、音は無く。
スアレーの拳にも、心地よい肉の感覚は残らなかった。
回転である―――拳の表面と顔の表面が当たった瞬間、衝撃を殺す方向に軽く首を回したのだ。
それから腕を掴むと、殴る勢いを利用して背負い投げ。
普通なら背より落ちる所、スアレーは地面激突寸前で両足を先に地面へと付けて着地。
そこから逆に、体を起こす勢いで秋臥を放り投げた。
「おかしいだろ………………っ!」
「褒め言葉だなッ!」
空中に氷の円盤を作り出し乗り、無理矢理離される距離を極力少なく。
そこから跳び、スアレーの直ぐ目の前まで戻った。
「今から三手で、貴女を倒す」
「やってみろッ!!!」
間合いも何もない、互いの息が届く距離。
そこからスアレーの剛腕が振るわれた―――瞬間、タンクトップに覆われた乳房の間に縦拳を捩じ込む。
それと同時に一切のスアレーの動きが停止。
間髪入れずに拳を抜き取り、下からアッパーの様に顎へ向かい掌底。
脳は縦に揺れる―――シメに、体を異様に大きく傾けた上段回し蹴りを側頭部へ力一杯。
脳震盪は深刻なものとなり予告通り、スアレーはただ三発の攻撃で倒れた。
「心臓を外側から強く打つと、生物は皆須く一瞬静止する―――改めて特別講師の加臥秋臥だ。宜しく」
もはや、懐疑の目はなく―――この場の全員が、秋臥を強者と認めていた。
⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘
「まだまだァ!」
医務室にて叫び声と共に、二メートルの巨体に実ったサイズ百四十の双子山が起き上がる。
目を覚ましたスアレーは辺りを見渡す―――先程まで戦っていた相手の姿はなく、自分はベッドの上。
瞬時に負けたのだと理解する。
「起きたんなら出てってください。激しい脳震盪でしたので、一週間は訓練の参加は禁止。今日は激しい動きをお控えくださいね。走ったり、跳ねたり―――――――」
「おうっ、分かったぞ〜!!!」
陰気な医師に応えると、ベッドから跳ね起きて医務室より走り去る。
「加臥秋臥か…………面白えなあ」
予告後の一撃目で、心臓を打った一撃。
スアレーは、その際破れたタンクトップの胸部分に手を当てて、僅かに赤面しながら歯を剥き出して笑う。
あの瞬間止まり、そして今高鳴る鼓動を感じながら走り続ける―――その感情の正体を握る相手を探して。
俺も、Pカップに腕突っ込みてえよ
(更新状況とか)
@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)




