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160話

「以前合間見えた頃とは随分見違えたな―――四肢の隅まで力が(かよ )っている」


「何だい? キミ、今日はお喋りにでも来たのかい?」



 言いながらも七発の弾丸を撃ち出し。

 空間を捻じ曲げそれを別方向へと飛ばされるのに重ね、全くの別方向より拳を叩き込む。


 地上、魔王パルステナに挑むはベネティクトとメイスの二人。

 ベネティクトを主軸とした攻めの合間、空間曲げによる負傷がデメリットとならない死霊によっての決定的な一撃を狙う戦いが続いている。



「話は嫌いか?」


「大事な同僚が消された―――どうにもキミらと談笑する気にはならないねえ」



 地面へ向かい七発撃ち出し―――事前に決めた道筋(ルート)を走る特殊な魔力弾。

 地中でU字を描き、パルステナの足元より地上に飛び出した。


 その程度の手法には前持った対策を。

 予め狙われるだろうと予想していた頭部の周りには空間曲げの魔法を掛けており、飛び出した弾丸は明後日の方向へと曲げられていく。


 だが次の瞬間―――パルステナの胴体は、分厚い鉄の大剣により両断されていた。



召喚(サモン)―――一級死霊、大髑髏者( スカルパニッシャー)


「事後詠唱による存在の不明瞭化を利用した不意打ち…………驚いたぞ」


 両断された傷の断面は、黒い泥のような物に覆われている。

 上下両方の断面より溢れ出したソレが、傷同士を癒着させて完全回復。

 通常ならば致命傷になりうるダメージも、まるで無かったかのように消してしまった。



召喚(サモン)―――死級死霊、天蓋処女の幕切り(ホワイトヴァージン)



 姿は無い―――ただ、パルステナを中心とした半径三十メートルに白が展開されたのみ。

 ただ、その白に影はなく、その半径三十メートルと言う範囲内では限りなく。

 外に居れば一定範囲の魔法行使だが、内き居ればその白は無限に続く牢獄となるのだ。



「ここから出れたのはルークさんだけ……………マリーさんの封印術と比べても遜色ない出来だよ」


「限りは無い―――だが、裏はどうだかな」



 紙や板、掌の表裏とは違う―――世界を切り裂きひっくり返した虚数空間を自身に重ねた。

 すると、天蓋処女の幕切り(ホワイトヴァージン)の内部に存在しない筈の白でない空間が生まれ―――その矛盾に、牢獄は自壊する。



「終わりか?」


「――――――|天涙《レイン・サンクチュアリー 》」



 天蓋処女の幕切り(ホワイトヴァージン)の自壊と同時、天より雨粒の如く魔力弾が降り注ぐ。

 パルステナは傘の様な形状で空間を歪めたエリアを展開してそれを別方向へと流す―――そこまでは問題ない。

 問題は次の瞬間、地面への着弾と同時に巻き起こった爆発であった。


 一発分の爆発から連鎖して、天登る様に爆炎の柱が出来上がる。

 これら全ての被害を別方向へと歪めれば魔力消費は通常の比では無く―――実行したとしても、途中で魔力切れが関の山。


 魔力効率を最高とし、零に至ったベネティクトだからこそ可能の荒技だ。



「………………お前が、勇者であれば危うかったな」


「…………やっぱり、ダメかい」



 鼻から分り切った話ではあった―――過去どの歴史を見ても、勇者という特殊な役割を持った者以外による魔王討伐の実績は存在しない。

 先代剣聖、アリスが全盛期であった時代であっても、トドメはその世代の勇者に託された。


 それは何故か―――実力どうこうの話では無く、世界の仕組みの話なのだ。


 この世界に於いて重要な役割を託された魔王を殺せるのは勇者のみ―――人は鼓動が止まれば死ぬのと同じ程度の、簡単な仕組みなのだ。



「メイスくん、全力はここまでだ―――ここからは、面倒だけれど足止めの時間だよ」


「………………悔しいですね」



 全身穴だらけだが、既に回復を始めているパルステナを見て言う。

 二人の言葉を聞き、パルステナは表情を変える―――彼にしては珍しい、怒りを剥き出しにした表情だ。



「そうか、貴様来もか………………無理と見定めるや否や次に託すと己の力を見捨てる凡夫………………失望した、もう良い。この戦場は私が終わらせてやろう」



 周囲にパルステナの魔力が溢れ出す―――空間は無作為に歪み、大地が足場としての体を失い始め。

 天変地異の始まりを錯覚させる。



「この私が最も嫌う存在…………! それは己の役割を雑兵と皆し、大事成す事を棄てる愚か者…………貴様来だ!」


「なら、僕が相手しよう」



 どこからともなく、その声は響く―――未だ成熟しない少年の声だ。

 次の瞬間、パルステナは黄金の光に包まれる。

 それは、パルステナにはよく覚えのある神聖の光。



「何だ、随分と逃げ腰だな?」


「遅くなってしまい、申し訳ございません!」

 

「お待たせ、ベティー」



 現れた四者は、全てがここに居る筈のない人物―――ガレッジ、アリス、セリシアと、マリーであった。



「マリーちゃん、生きて――――――」


「感動の再会は後…………ベティー、他をお願い。頼りにしているわ」


「キミには敵わないね…………後でしっかり話を聞かせてもらうよ」



 それだけ言うと、ベネティクトとメイスはパルステナに背を向けて別の敵の元へと向かおうと―――だが、それを悠々と見逃すわけもない。



「逃しはせぬ」


強奪(ジャック)―――追わせないわよ」



 追手として放たれた魔法の主導権を奪い取り―――二人の撤退を手助け。

 その一手が、ここにいるマリーはマリー本人であると証明する。

 映像記録の魔道具によって確認された、下半身が爆散し死んだ筈のマリー本人である事を証明したのだ。

マイクラ楽ちい…………頭溶けりゅ


(更新状況とか)

@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)

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