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「………………どうやって、切り裂き道化師(ピエロ)を倒したんだい? アレの倒し方なんて、使用者の僕ですら分からないよ」


「最初は霧に紛れた高速移動をしているのかと思った―――だけど、その予想が外れてる事はすぐに理解したよ」



 切り裂き道化師(ピエロ)を倒した瞬間、周囲の霧は消えた―――至極単純、それが答えだ。



「あれは霧に紛れるんじゃない―――あの霧全体が一体の死霊だったんだ。違うか?」


「正解だよ………だけど、問題はそこからだ。霧をどう斬った?」


「正確には、焼いた」



 秋臥は手元に魔力を集中して見せる―――魔力操作で表面をざらつかせると、メイスはその原理に気づいた。



「焼き切ったのか…………!」


「その通り―――貴方の魔力で構成された霧を、より魔力密度の高い僕の魔力で焼き切り、霧の状態から人形(ひとがた )への再集合を阻害したんだ」


「………………ありがとう、理解したよ。僕の切り札は、まだ弱い事を」



 それだけ言うと、メイスはフィールドから去った。

 少しの休みを挟んで次が最終戦―――相手は魔導王、マリーである。




 ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘ ⌘




『着位祭最終戦―――もし挑戦者が勝利を収めれば、あの剣聖ルーク以来の順位総入れ替え! 待ち受けるは暫定一位マリー・ジェムエル。果たして挑戦者は、彼女を討ち果たす事が出来るのか…………!!!』



 実況の声は届かない。


 二人は既に結界内―――向き合い、戦闘開始を待ち侘びている。



「貴方とちゃんと戦うの、そういえば初めてね……………」


「一度僕から奇襲を仕掛けて、しっかり墜として貰いましたよ」



 これまでの試合、秋臥は相手を同格か自分が勝るかと見ていた―――だが目の前の相手は明らかな格上。


 正攻法では勝てないと、秋臥は策を練る。



『挑戦者、加臥秋臥対ッ! 最終関門マリー・ジェムエルッ!!! 三ッ! 二ッ! 一ッ!』



 戦闘開始より前、初めて秋臥が構えを取る―――前方下に左の掌を向け、魔力を集める用意。

 体は半身―――後方へと放った腕は、場に応じた武器を握る為だ。


 腰を深く落としてこの位置から即離脱の支度を。

 相手は魔導王―――攻撃が本人の側からしかやって来るとは限らないと、視界は広く確保する。



『――――――開始ッ!』


紅炎(プロミネンス)


「んな事だろうと………………!」



 瞬間―――足元に氷の円盤を生成して乗り、その場を離脱。

 一秒後には、秋臥の元居た位置が炎の波に飲まれている。



「――――――魔弓(まきゅう)青羽将(あおばしょう)っ!」


「飛び道具…………? あまり意味がないと思うのだけれども………………」


 

 自身の魔法で作り出した氷と、香菜の作り出す糸で弓矢を形成。

 試しに一本矢を放つが、マリーの肌表面に張られた結界がソレを容易に弾いてしまう。



「………………魅せる戦いが出来なくて申し訳ないのだけれども、これにて終いとしましょうか」


「そうはさせない――――――は?」

 


 戦いは、一瞬であった―――未だ消えずに残る紅炎が増幅。

 結界内を、埋め尽くした。


 無論秋臥とて防御に全力を尽くした。

 だがそれら一切を無に帰し―――戦いは、マリーの放った一手目で終いとなる。


 炎の手が引いたとき、秋臥本人や観客皆の意見が一致した―――これで、終わり? と。



 

(更新状況とか)

@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)


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