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悪魔の女

原神の新マップ遊んでたら投稿時間過ぎてた

「儂は今より準備に取り掛かる―――暫し待て」


「分かった、通貨は向こうと同じ?」


「クロニクルとか言う奴らが頑張っての。この世界の通貨は統一されておるんじゃよ」


「じゃあゆっくりと、観光でもしてるよ」


「おう! 冥国は儂の作った国、良き国じゃぞ〜」



 ラジェリスが空間に穴を開いたと思えば、それを潜って冥国に到着。


 城下町に放置された秋臥は観光を開始―――街並みは時代劇で見る日本の様で、人々の未格好も似た様な者。


 違うとすれば皆龍人―――頭より龍のツノを生やし、瞳も龍仕様。

 皮膚には所々鱗が見え、触れれば生身の柔肌程度容易く傷つけてしまいそうだ。


 昼がまだだったと目に付いた屋台へ寄ると、何とも懐かしい香りが。

 異世界に来て初めて見る、蕎麦であった。



「兄ちゃん、ここらじゃ見ねえ顔だな―――冥国は始めてか?」


「ええ、それも今さっき到着したばかりで」


「なら初っ端俺の飯を選んだワケだな、ラッキーだぜ兄ちゃん! この冥国に俺以上美味い蕎麦食わせる場所なんてねえんだからな」


「じゃあかけ蕎麦を一つ」


「あいよ、すぐ食わせてやるから待ってろ〜!」



 店主が張り切り言っていると、暖簾をくぐって別の客が。

 僅かに秋臥が席を詰める―――それまでその客は喋らず、ただ黙って席に着いた。


「かけ蕎麦を」


「あいよ、ちょいとお待ちを――――――」



 漸く喋ったと思い、店主が注文を受けて返事を―――その途中、破裂音によく似た肉同士のぶつかる音が。


 その客を―――見覚えのあるその女を、秋臥が全力で殴った。



「見間違いでも他人の空似でもないな………………何故お前がここにいる、骨互裏」


「相変わらず過激ですね、隊長」



 この国に―――否、この世界に存在する筈のない人物、骨互裏美彌子。


 元々秋臥が居た世界で、トラオムに所属し部下として働いていた女だ。



「来ちゃいました」


「萌ねえよ………………」



 ナチュラルに魔力による防御を行い、殴り飛ばされはしたものの無傷で立つ骨互裏。

 昔と変わらずスーツで身を包み薄気味悪い笑顔を浮かべ、腰には小さなポーチ。

 魔力を待っている様子から、ポーチは魔道具だ。


 トラオムの人間で、この世界に来た場合一番厄介な人物は誰か―――秋臥は迷わず、骨互裏と答えるであろう。



「今度こそ、私のものになってください………………!」



 言うと、ポーチから武器を取り出す。

 昔と同じ様な、銃やナイフではない―――それは巨大な骨で出来た蛇腹剣。


 明らかな魔物素材であり、秋臥が骨互裏を厄介と即答する理由。


 他の者ならば身体能力の強化と、ランダムの魔法による強化が見込まれるが、骨互裏の卓越した武器操術がこの世界の可能性と組み合わされば悪魔的な結果となる。


 強化の天井は失われ、無限の可能性が導き出される。



 振るわれた蛇腹剣は周囲の民間を八つ程潰しながら勢いをつけ、秋臥へと襲いかかる。



「――――――蒼燕剣(そうえんけん)



 蛇腹剣の先端から一直線―――作り出すと同時に投じられた秋臥の蒼燕剣が切り裂いた。

 それを目の当たりにした骨互裏の表情は恍惚と。

 これが欲しかったと言わんばかりのものだ。



「ドラゴンの骨で作った武器を一撃で………………! 隊長、変わっていませねんね…………!」

 


 投じた蒼燕剣が手元に戻り、それを確認した骨互裏はポーチより黒い外套を取り出す。


 それを身に纏うと同時―――後方地面より生えた氷の杭が、骨互裏の胴を貫いた。



「じゃあな、骨互裏―――もう会わない事を願うよ」

 

「シャドウクロウから作った外套―――ただ一度、擦り傷程度でも致命傷でも私の負った傷を、影同士の触れている物へと移す」



 態とらしい説明口調だ―――骨互裏の影と、影が繋がっていた民家の倒れた柱が砕ける。

 貫かれた骨互裏の体は影の様に揺らぎ、無傷のまま再度固められる。


 そして先程と同じ様に、新たなアイテムをポーチより取り出す―――今度は槍だ。



「ユニコーンの槍―――色を知る者を射殺す槍」



 投じられた槍は、分厚い氷の壁を精製して強制停止。

 

 隙間を開けずに三つ、手榴弾の様なものが投じられた。

 炸裂と同時に周囲にマグマをばら撒き垂れ流し―――氷の壁を忽ち溶かしてしまう。



「マグマガメの爆弾―――炸裂と同時に、その質量の五倍近いマグマを作り出す」


「さっきからペチャクチャと、何のつもりだ…………!」


「お披露目です―――ボスにこれをお見せしたくて、準備しながらも子宮を疼かせていたんですからね」



 下腹部を摩りながら言う。

 表情はやはり恍惚と嘘混じりなく、全てが本音―――頬を赤らめ、甘い吐息を溢す。



「万死の彫刻―――私の魔法です。内容はもうお分かりですね?」


「おおかたな………………お前らしく、悪趣味だ」


「私のこと、よく見てくれてるんですね」



 続いて出したのは、大鎌であった―――刃の側面には薄らと、苦しむ人相が浮かんで見える。



「可愛いでしょう? 子供だけで作ったんです」



 秋臥は先程言った、悪趣味を脳内で撤回した―――悪辣だ。

 目の前の女は、正真正銘の悪魔である。


(更新状況とか)

@QkVI9tm2r3NG9we(作者Twitter)

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