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【帰還篇完結】黒い月と銀の月  作者: 河井晋助
第3章 Reach
55/219

3-6

引き続き、

第3章を投稿いたします。

よろしくお願いいたします。


今回の投稿は少々短いですが、

話しの進行上の関係で、

ご容赦願います。

 夕食時に、アキラが商都に検査へ行く事を皆に告げると、案の定リーネとツキ、ブルーは同行することになった。リーネは旅する事が楽しいのだろうが、ツキとブルーは、リーネの側にいたいとの理由だけで同行することになった。

 予想していたとはいえ、ツキとブルーの理由を聞いたアキラは、何だかなー、といった気分だ。姉ばか?兄ばか?と思う。

 とりあえず、反対する理由もないので、いつものメンバーにペノンズを加えた形での商都行きが決まった。出発は新たなログハウスを建て終えた後にした。

 道のりは意外にもブルーよりもツキの方が詳しく、商都は王都よりも境界に近いという。かかる日数の予測を聞き、食料などを用意しなければならないのだが、ツキから問題ないとの返事を聞いて、ふとアキラはディアナにたずねた。

「……ディアナは一人になるんだが、食事は作れるのか?」

 そういえば、ディアナが料理している姿を見たことがないと、ペノンズ以外が気づいた。

「むー、馬鹿にしないでほしいでーす。料理くらいできますー」

「味さえ問題にしなければじゃがな」

 ディアナの言葉にペノンズが突っ込む。

 むー、と返すディアナ。

 その会話を聞いて、ディアナに料理はさせないでおこうと、皆が思うのだった。

 ふとテーブル脇に気配が生まれたかと思うと、そこにはリータが立っていた。

「よう、お邪魔するぜ」

 いきなりの大精霊の登場に、ディアナとペノンズは驚いた様子だが、慣れたツキは、すぐに立ち上がって、「食事は?」「ありがと、でも食ってきたから」とリータを会話を交わしている。では、とツキは椅子を勧め、茶を注いで手渡した。その後で初めて会うディアナとペノンズを紹介したが、二人の態度は硬い。

 そんな二人の様子も気にせず、リータは一口茶をすする。

「夜風に当たって、茶を飲むのもいいもんだな」

「すまんな、家がなくて」

 いつものように、椅子に座って食事をしていたブルーが、リータの言葉に反応する。それに苦笑を返すリータ。

「嫌みじゃないって。相変わらずここは良いところだぜ。精霊も多くってさ」

 両手を広げ、目を閉じ、深く息を吸い込むリータ。全身でこの地を感じているようだ。そんなリータの姿に、アキラが声をかけた。

「それで、こんな時間にどうした」

「ん、ああ、商都に来るんだろ。これを持ってきたんだよ」

 アキラはリータの差し出した、丸めた羊皮紙を広げる。書かれた内容はツキに読んで貰った。文字を覚えてねーのか、とリータに馬鹿にされるが、反論できず、もっと勉強しよう、幸い高校生程度まで若返ったおかげか、記憶力は良くなっている、頑張ろうとアキラは思う。

 内容は、財団(ファウンデーション)発行の通行証であった。別になくとも商人としてローダン商会に籍をおいているため、問題はないのだが、あれば色々と便利なのは確かだ。

 自分の言い出したことで、大精霊が動いたことにペノンズは恐縮してリータとブルーに礼を言う。恐らくブルーが連絡したとペノンズは思っているのだが、真実はローダンが連絡をしているはずだ。

 そのあたりは、ブルーとリータは心得たもので、曖昧にうなずいていた。ローダンからの連絡である事は口にしない。実際、リータとブルーが動いたのは事実なのだから。

 国でもトップクラスの技術と知識を持つペノンズとディアナは、王族に会うことくらいでは軽く緊張する程度だが、さすがに大精霊と出会うことなどなかった、ましてや会話することなど想像もしていなかったのか、口数が少なくなる、いや、ただ会話を聞いているだけだ。自分たちから話そうともしない。

 とりあえずは慣れて貰うしかないと思うアキラが、リータにたずねる。

「ところで、元気そうだけど、拗ねてるそうだな」

「ば、馬鹿野郎!そんなことはねーぞ」

 慌てた表情に、顔を真っ赤にしている。

 突っ込んでやろうと、意地の悪い笑顔を浮かべたアキラの腕を、ツキが軽く触った。

 駄目ですと、ツキが目配せすると、今度はリータに視線を向ける。

「商都に行くのですから、名高い庭園にお邪魔したいのですが?」

「おう、そうだそうだ。手配しておくから、ぜひ来てくれ」

 それから、色々庭園の事を話し出すが、真っ赤な顔で早口であるため、今ひとつ頭に入ってこない。とりあえず、アキラ達は聞き役に徹する。

 一段落話し終えて、落ち着いたのかリータはため息を一つついて立ち上がった。

「帰るとするか。お邪魔したな」

 そして、絶対来いよ、待ってるからなと言い残してリータは消えていった。

「懐かれてますね」

 その言葉とともに、何故かツキに腕をつねられた。ちなみに、逆の腕はリーネがつねっていた。理由が分からず、アキラは疑問符を浮かべるばかりだった。


そうだよね。

わんわん:「鈍感主人公ってか!」

社畜男:「???」

わんわん:「(イラッ!)」

まぁまぁ。


次回、明日中の投稿になります。

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