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【帰還篇完結】黒い月と銀の月  作者: 河井晋助
第1章 天使(エンジェル)
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誤字脱字、直しつつ始めて行きます。

どうか、お付き合いのほど、よろしくお願いいたします。

蒼龍の守護地スカイドラゴンフィールド 帝国境界付近

 策破れたとエリオットは判断した。ドラゴンのリセット中に侵攻する策は、アキラが阻んだ。アキラ一人が一個師団なみの戦力となり得ると判断したのだ。

 力押しは可能だ。

 だが、精霊の様子が守護地(フィールド)に入ってからはおかしい。呼びかけに応えないのだ。長引く現象ではないとは考えている。ただし、巫女姫たちが、そうではないとすると、魔術なしで、一個師団相当の剣士と、それを助ける魔術師二人と戦う羽目になる。

 ここは退き、財団(ファウンデーション)と地道に交渉するしかないと、エリオットは判断した。

「お前って、ほんと、思いつきで動くよな。全然学生の時から変わってないな」

「うるさいな、前から考えてはいたんだ」

 エリオットは言葉にしなかったが、キムボールやミュールと出会う以前のことに、思いをはせる。そう、幼きとき、シルと王家との盟約の内容を知ったときから。

 僅かの間、エリオットとキムボールは、学生時代に戻ったかのように会話を交わし、己が国へと兵を連れて引き上げていった。カロニア伯爵は王命から逸脱したとして、半ば罪人のような扱いで、周囲に兵で固められて連れて行かれた。

 エリオットは何も言葉を残さなかったが、キムボールはアキラに、後日、詫びに訪れると、キャリアーのある鳥居もどきで会おうと告げた。

 残されたのはアキラとリーネ、それとツキ。そして三人が見守るブルー。

 大きかったブルーの姿は、人と同じ程度まで縮んでいた。

「リセットという現象です」

 ツキが今のブルーの状態を語る。そして、そのリセットの期間がどれほど続くのか、分からないと。

「それじゃ、その期間、誰が守護地(フィールド)を守るんだ」

「精霊が受け持つのですが、非常に危ういですね」

 ただ、リセットの間、精霊達は守護地(フィールド)の中で魔術を発動させないので、簡単に人は入れないはずだとツキは告げる。

「あっ、変わるね」

 ブルーの姿が、画像が乱れたかのように、ノイズが走る。

 次の瞬間、ブルーの姿が消え、一頭の犬がいた。

「ラブラドール・レトリバー?」

 アキラの言葉に、ツキが首をひねる。なんだそれはと。

 しかし、そんなことは気にもせず、リーネが変化した犬の首筋に飛びつき、抱きついた。

「わんわんだー!」

 それを見ていたアキラが、犬の顔をのぞき込む。

「賢いはずのレトリバーにしては、馬鹿ぽいな」

「誰が馬鹿だ。噛むぞ」

 すでに、自分が犬だと認めているようだ。

「犬が喋った」

 驚いたアキラが、一歩後ずさる。それを抱き留めたツキが笑う。

「これが、今回のリセット期間中の姿ですか」

「犬だな、今回は」

 どうやら、期間中はドラゴンから他の姿に変化するのだそうだ。ため込んだ不要や無駄なものによって、その姿は決められるのだと。

 自分の姿を確かめていたブルー。

「まぁ、期間は分からんが、しばらくはこの姿で頼む」

 人に変化するなど、ほとんどの力は失われているが、ドラゴンの特性は受け継いでいるので、不死であり、体が欠損しても元に戻るから心配するなとのことだ。

 ふと思い出したように、ツキがアキラにたずねる。

「刀の(なまえ)は聞きましたか」

「レインと言っていた」

 それを聞いて、ツキが少し考え込む。

 しかし、それも僅かの間。

「好きにさせましょう。仲良くしてあげてください」

 頷きつつ、アキラは柄に手をかける。レインからの反応はない。ツキにそれを告げると、まだ生まれたばかり、厳密にいうと違うが、意思を持って間もないので、しばらく休ませた方が良いと返してきた。

「さて、そろそろ家に帰るか」

 ブルーの言葉に、そうだなとアキラはうなずくが、ここへ来るのは一瞬だったが、ドラゴンの力がない今、どのくらいかかるのかをたずねた。

「10日もあれば大丈夫でしょう」

 そのツキの答えに唖然とするアキラ。

 そう言えばと、思い出したように拾い上げ、抱いていた水晶(クオーツ)を見る。これを抱えて、10日も野宿しながら歩くのかと。

「でも、本当にこれってなんだ?」

 ログハウスに戻るまでの10日間。その間に答えがでればいいなと、アキラは空を仰いだ。


第1章は、この投稿をもちまして終わりです。

オープニングであり、世界観を知っていただくための章でした。

とは言いましても、どれだけお伝えできたか。

力量不足を痛感いたします。


次回、第2章を開始いたします。

本日の夕方ないしは夜に投稿いたします。

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