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【帰還篇完結】黒い月と銀の月  作者: 河井晋助
第10章 I Just Called to Say I Love You
202/219

10-17

引き続き、

第10章を投稿いたします。

どうか、よろしくお願いいたします。

蒼龍の守護地スカイドラゴンフィールド 中心地

 アキラ達を乗せた頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドは、途中で共和国艦隊旗艦DH183に立ち寄り、ライラやディアナ、それにペノンズを拾い上げた。

 ただ、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドの調整整備を依頼しようとしていたアモンは姿を消しており、シオダや他のDH183の乗組員に尋ねても行方は知れなかった。

 ライラが伝言らしき言葉を聞いており、それは、自分のものは自分でどうにかしろというものであった。

 それを聞いたアキラは、そうだったなと苦笑いをする。

 まだ、実家に住んでいた若かりし時に、さんざんアモンから言われていたことだったからだ。

 DH183に残していた巫女姫と合流したドラゴン二体は、そのまま自分の管理している守護地(フィールド)へと帰って行く。

 その際、帰り際に告げられたのが、三カ所の守護地(フィールド)の実際の持ち主は、アキラのものであり、残りの二カ所を早々に見に来るようにとのことであった。

 守護地(フィールド)を守るのは盟約には含まれていなかったそうだが、頼まれたからには己の信義のために守り抜いていたのだと。

 誰から、とのアキラの言葉に、ロッサとハクは分かるだろうと答え、笑うだけで飛び立ってしまっていた。

 もちろん、アキラとて答えは想像出来ていたため、深くは考えてはいないが、側にいるブルーを睨むことだけはしておいた。

 そして、守護地(フィールド)へと戻る人々を乗せ、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドは共和国艦隊乗組員達に、帽を振られて飛び立ったのだった。


 戻った守護地(フィールド)の中心地で出迎えたのはローダンとミュールであった。

 ローダンは共和国艦隊で姿を見かけなかったので、用件は済んだとばかり、適当に隠れて守護地(フィールド)に転移していたのだろう。エンが言い訳をすることになるだろうが、それぐらいの苦労はしてもらってもいいだろうとアキラは考える。

 他の大精霊達も自分の国へと戻っていることだろうが、唯一の例外がノーミーであった。本来住んでいる協同国へ戻ればいいものの、サインに任せてあるしと言って、わざわざ頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドに乗ったままついて来た。

 守護地(フィールド)までの飛行中、何かとお兄ちゃんお兄ちゃんと甘えてくるため、ツキの目がどんどん冷たくなっていき、アキラの肝を冷やさせた。

 時折いらっとするものの、邪魔にはならないし、ブルーに教わって凝り始めた建築が役立つだろうと、アキラが何も言わなかったのも悪いのだが。

 それよりも、帰ってきたアキラとしては、何故ここ守護地(フィールド)にミュールがいるのか、それと測量や縄張りをしている作業者達がいるのかに首を捻った。

「正式に領地持ちになった感想は?」

 ローダンがアキラを出迎えて、真っ先に言った言葉だ。ミュールは挨拶もそこそこに、すでに指示のために持ち場へと戻っていた。

 脇にいたブルーがニヤニヤ笑い、あー、やっと肩の荷が降りたとか言って自分の肩を器用に回していた。四本の足で歩く犬が、肩を回しているのだ。異常な光景であると言うしかなかった。

 ローダンもにやにや笑っている。

 すでに、女性陣は風呂だ風呂だと言いながら、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドから直接向かっていて姿はなく、ペノンズは自分の持ち場である研究室内の鍛冶場へ行ってしまっていた。

「領地持ちて言ってもな、ドラゴン達に今まで通り管理してもらうさ」

 それを聞いて、ショックを受けたような顔をしているブルーだが、それには係わらず、ローダンは笑い声を上げて、その方がいいですよとアキラの肩を叩くのだった。

「それより、何をここでしているんだ?」

 手に図面らしきものを持って指示を飛ばしているミュールをアキラは見た。

「えっ、ブルーから何も聞いてないの?ここまで来るのに時間があったでしょうに」

 その言葉の後に、アキラとローダンはブルーを睨む。

 その二つの視線に、ブルーは狼狽えた表情を浮かべる。

「言おうとしたんだ!だけどな、アキラはウキウキしたり、考え込んだりして、話しずらかったんだ!」

 たったそれだけの理由でと、ローダンが額に片手をあてて天を仰ぐ。

「俺を気遣ってくれたのか」

 そう言いつつ、アキラはブルーの頭に手を乗せて笑顔を向ける。ただし、目は笑ってはいなかった。

「アキラが悪いんだ!」目が左右に泳いでいる。逃げ場を探しているようだ「俺は悪くない!」

 そう叫んだブルーは、頭を握ろうとしていたアキラの手から逃れて逃げた。

 揺れる尻尾をアキラとローダンは見送りつつ、ローダンが呟いた。

「相変わらず、けつの穴の小さい奴」

 それを聞いたのか、逃げる足を止めて、くるっと振り返るブルー。さすがはドラゴンの聴覚である。

「ちっちゃいよ!小さいよ!……」

 ブルーがそれ以上言うことは出来なかった。

 ローダンがかざした手から、凄まじい数の岩の弾丸をブルーの足下に撃ち込んだからだ。足を開け、飛び回って逃れるブルー。しかし、地面から舞い上がる砂塵からは逃れられず、土と砂まみれになってしまう。

「それ、すでに聞いたわ。でっかいのにしてあげましょうか」

 ため息とともに、更に打ち込まれる弾丸に、身を翻して再び逃げ出すブルーだった。

「まぁ、けつの穴の小さいのはほっといて、教えてくれるだろう」

「もちろん。お茶でも飲みながらね」

 そう言って、ローダンはミュールを呼び寄せて、会議室が設けてある棟に向かうのだった。



 会議室に落ち着き、茶はアキラが入れることになった。リーネはダークへと行ってしまったし、ツキは入浴中だ。ブルーは逃走中だし、というかそもそも犬が茶を入れるのは無理だ。

 ローダンは会頭職であるし、ミュールは一国の王子と等しい存在。結局は商人見習いのアキラがするしかないのだが、自分が領地持ちで、封建制度の中であれば、それなりの地位にある事を理解していないアキラだ。お前の領地だと言われたとしても、理解出来ないので無理もないが。

 茶で満たしたカップを差し出し、自分も席に座り、カップを引き寄せたアキラが口を開く。

「でだ、何をしているんだ」

 恐らくは、ローダンが勝手にしている事ではなく、確実にブルーが絡んでいるのは、先の事からも明らかだ。ミュールは恐らくはローダンあたりに巻き込まれたのだろう。

「宇宙港を建設するわ」

 端的に述べたローダンに、ついアキラは口に含んだ茶を吹き出していた。

 ローダンから差し出されたハンカチを受け取り、口を拭いつつアキラは先を促した。

「一万人ほどが駐留できる町を付属してほしいって、アモンが頼んできたから」

 口を拭い終え、二度目はないだろうと油断して口に茶を含んでいたアキラが、改めて茶を吹いた。

「色々言いたいことはあるが、その資金は?」

「ドラゴンファンド」

わんわん:「本当にありそうな名前だよな、ファンドの名前」

社畜男:「あるよ、似たようなのは」

わんわん:「駄目じゃねーか!」

社畜男:「えー、実在のものとは何にも関係ないので、ご注意願います」

これはあくまでも創作物です。

ご注意願います。

ググっておいて良かった。


次回、明日中の投稿になります。

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