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【帰還篇完結】黒い月と銀の月  作者: 河井晋助
第10章 I Just Called to Say I Love You
197/219

10-12

引き続き、

第10章を投稿いたします。

どうか、よろしくお願いいたします。

????円盤 内部

 魔王艦隊の、ディーチウとエンが交互に張り直すシールドに阻まれつつも、光の柱を突き立てようとしている円盤を守るように旋回する円盤の中、操縦室らしき空間の中央に仁王立つパークヒルは、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドを睨み付けていた。

 放つ光線はすべて頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドの船殻に弾かれ、吊り下げている仰天号(アメイジング)は金色のシールドで守られ、こちらも光線を弾いていた。

「追うか?」

 制御盤の前に座る、ペレグリンと呼ばれる者が、振り返って問いかけるが、問われたパークヒルは渋面を浮かべて首を左右に振る。

 距離を開けていく頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドを見送りつつ、パークヒルが口を開いた。

「この星の精霊は、ほとんどが目に見えぬはずだが?」

「そのように報告を受けている。だが、それも誤りだったのか?」

「報告の誤りは今はいい。だが、あの機体には精霊が、何故にあれほど集まっている。しかも可視化している」

 生命が多いこともあって、互いに喰らい合う光景がそこかしこで繰り広げられている嫌悪感に耐えつつ、パークヒルはこの星をくまなくとも言えずとも、多くの部分を見て回ったつもりだが、一度として大精霊以外の精霊を見ることはなかった。

 もちろん、可視出来ぬだけで、その姿は感じており、数の多さにも驚いてはいたのだが。

「数が集まることで、魔力が干渉しあっているのかもしれん」

「そうとしか考えられんな」

 可視化については一応の結論を見たが、その原因となる数の集中については、一切思いつくことが出来ず、パークヒルとペレグリンは眉を潜めるばかりだ。

 映像では、遠く離れた頂天号トップ・オブ・ザ・ワールド仰天号(アメイジング)の牽引を解き、地上へと降ろしていた。

 その、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドの機首に現れたアキラに続いて、理解出来ぬ現象が続き、円盤内部の操縦室では苛立ちのような感情が充満しつつあった。


頂天号トップ・オブ・ザ・ワールド 操縦室

 安全と思しき場所に仰天号(アメイジング)を降ろし、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドを操るレインは下方へ魔力の噴射を慎重に行って高度を上げる。

 仰天号(アメイジング)のハッチから這い出してきたオベロンとフレイを気遣うつもりもないレインだが、ツキに注意をされては従うほかはなかった。

 高度をとり終えたレインは、機体を水平のまま回して円盤六つを正面にした。

 相変わらず、六つの円盤の内四つは、魔王艦隊に光の柱を突き立てようとしているが、ディーチウとエンは何とかしのぎきっている様子。

 まるで、偶然生まれたかのようなインターバル。

 頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドと円盤六つは対峙するばかり。

 お互いの出方をうかがっているのではなく、距離を取ってにらみ合っているような様相だ。

 そんな異様な時に、アキラは分厚い説明書をパタリと閉じた。

「さて、大体この機体のことは理解した」

「読んだにしては早いな」

 クオーツが感心したかのような声を上げる。

 レインやクオーツ、それにツキなどはエーテル炉の内部に用意されていたフォルダ内のテキストをデータとして直接取り込んでしまえば、内容の理解は一瞬で済むのだが、それをハードコピーを読んで理解するとなると、相応の時間がかかるとクオーツは踏んでいたのだ。

「こういった機械については、以前いた世界で良く扱っていたからな」

 自動車ばかりでなく、単車などの乗り物については日常的に運転していた上、機械についても、商社勤めをしていて、販売実演で扱った経験が多いアキラにとっては簡単なものであった。

 ただし、それを理解したからといって、正しく扱えるとは限らないのだが。

 車両感覚が必要な自動車などに比べて、墜落さえ避ければ良い、自由度の高い飛行体は、飛ばすだけであれば慣れてしまえば良いのだ。しかも、操縦の補助としてレインがいるため、いざという時に助けて貰えば問題はない。

 アキラは何かに集中しているリーネにちらりと視線を送る。

「それでも、戦闘での操縦は無理だ。俺は砲撃を担当するから、レインは引き続き操縦を頼む」

 レインの了解の返事を聞きつつも、アキラはリーネに視線を送り続けるが、その時、リーネの目蓋が開いた。

「術式が完成した」

 あまりにも突然なリーネの言葉に、アキラを筆頭にして、驚きのあまりに声が出せない中、リーネが言葉を続けた。

「途中で呪紋が変わって大変だった」

 アキラが悪いと、リーネが頬を膨らませる。

 俺が悪いのかと、アキラはショックを受けるが、そんな場合ではないと思い直す。

 呪紋と言うからには、この頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドに描かれているものであろう。

 リーネが手の平を上にして、両手を前にすると、そこにポンッと手の平サイズの馬が、左右に現れた。

 とんでもなく小型化されているが、見間違うことなく、スプライトとスピリットであった。

「この子達が、主砲の制御を手伝ってくれるって」

「精霊馬が?」

 そう言ってアキラが尋ねると、リーネがにこりと笑い、どうやらアキラやリーネ、そしてツキといるうちに精霊としての格があがったのだと説明をしてくれた。

「術式のバレル構成と制御は私が出来るし担当するけど、照準合わせ、それとトリガーはアキラしか引けないからね。この子達はシアーの役割をしてくれるって」

 どうやって術式に織り込むか、考えていたところに精霊馬達がきてくれて助かったと笑うリーネ。

 アキラは不思議に感じる。

 元々主砲の術式は、この頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドに備え付けられていたようだが、不完全で、それをリーネはいじっていたようなのだ。そして、その術式は呪紋が深くかかわっているのだと。

 精霊に頼んで、呪紋を描かせたアキラ自身も驚く。

 アキラとしては、消えていたものを戻した程度にしか認識していなかったからだが。

 リーネは術式を改変、そして組む能力まで持ち合わせていたのかと。

 アキラが一度として見たことのないリーネの能力だ。

 先ほどの様子からは、打って変わって楽しげに手の平の精霊馬達と戯れるリーネから、アキラは振り返ってツキに視線を移した。

 だが、そこには困惑の表情を浮かべているツキがいるだけだ。

 クオーツに視線を移しても同じこと。左右に首を振るだけ。

 そして、精霊馬が操縦室に姿を現したのをきっかけにするかのように、お互いが干渉して、可視化されていた精霊達が頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドの船殻から離れていく。

 精霊達は虹の軌跡を残し、頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドが虹に祝福されているような姿になる。

 ただし、離れたとは言っても、距離を置いているだけで頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドを中心とした空間には、あり得ないと感じるほどに、精霊の数は多い。

 精霊が醸し出す魔力が頂天号トップ・オブ・ザ・ワールドの中にまで入ってくるようで、その濃厚な感触にむず痒く感じながら、アキラはレインに尋ねた。

「副砲で戦果はあったのか?」

「いえ、敵の機体には弾かれました。一機増えて、二機使えるようになりますけれど、数だけ増えても……」

 そのレインの説明に、アキラは顎に手を添えて考え込む。

黒毛:「何故か主砲に組み込まれてしまった」

芦毛:「シアーって何だ?」

黒毛:「……」

芦毛:「……」

ハンマーと引き金をつなぐ、

重要な部品です。

簡単な説明で申し訳ない。


次回、明日中の投稿になります。

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