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オトメクオリア  作者: invitro
第六章 燃える魔法
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47 エピローグ6-② 天の声

 ナイフで刻まれた傷やタバコの火を押しつけた跡、落書きで汚れた部屋では、藤沼の視界を通じて聖女ラウラとの戦いを観戦していた者達の話し合いが行われていた。


「応答が完全になくなったけど、これ死んだって認識でいいのか」

「……ああ、たぶんな」

「ちっ、ヘタレ野郎が逃げやがるから多々良の魔法を探れなかったじぇねか」

「そういう言い方やめろ。藤沼も仲間だったんだぞ」

「もう受け入れなって、彰兄さん」

「心之丞は余計な口を出すな」


 この場所はまるで学校の教室だ。古びた傷だらけのパイプ机が並び、修復は諦めたのか壁紙すら張られていないむき出しの石膏ボードに黒板が掛けられている。御影の記憶にある緋龍農業高校二年A組の教室そのもの。

 ただ、そこには普通の高校に響く喧騒が一切ない。生徒の談笑する声や教師の怒鳴り声どころか、風の音も動物の気配すらもない。時間を丸ごと切り抜いたかのように空に浮かぶ雲はずっと同じ場所に止まったまま――現実ではない別の世界だった。



「しっかし、アレが多々良だとはなぁ……いくら探しても見つからないわけだ」

「だけど、プライドくそ高い番長がなんで女の子なんてやってんだ?」

「外見を幼い女の子に装う必要があるってことだろ。攻撃されたらヤバいってこと」


 なるほど、と感嘆の声が上がる。

 自分勝手で倫理観の欠けた元2-Aの男達も、いきなり幼い少女を殺そうとしたりはしない。別の意味で襲おうとする輩はいそうだが。


「多々良の最後の呪文……目の届かない場所から不変魔法ぶち抜いての即死攻撃だったってことだろ。あんなんウチで一番強い冷泉れいせんでもどうにもできねーぞ」

「藤沼を即死させた攻撃特化の魔法か……殺人魔法とかだったらどうする?」

「怖い話やめろよ、また異世界来た直後みたいに誰も信じられなくなるわ」


 魔法の恐ろしい所は、個々の願望を基にしている点にある。

 殺人魔法を持った多々良双一も恐ろしいが――そんな魔法が存在した場合、元2-Aの中に本気で人を殺したいと考えていた人間がいる事の証明にもなってしまう。警戒しなければならない敵が増えるなんて勘弁してほしいと誰もが願っていた。


「ちょっと待って、私が多々良君と戦うんですか。魔法共有してるんだし、向出むかいで君がやればいいじゃないですか」

「やだよ、おれじゃ冷泉の魔法を限界まで引き出せないだろ。……てか、番長と戦いたくない。怖いし」

「自分が怖いからってこっちに押しつけるな」

「アイツに殴られたことねー奴は番長の怖さがわかんねぇんだよ! お前らにもあの時の痛みと恐怖を共有させてや……あ、やべ、思い出したら、腹が……」

「おい、便意まで共有させんな! 御影さん一旦向出を追放してくれ!」


 御影の共有魔法によって作られた意思を繋げるための精神世界で、これから衝突するであろう対多々良グループとの戦い方について紛糾が続く。

 ラウラの仲間が何人いるかも分からないのに、最後にラウラの使った凶悪な魔法の正体も掴めなかった。共有魔法のおかげで個々の能力が底上げされている御影の仲間でも、自分が戦うとは誰も言い出せない。



「はぁ、彰兄さんが高見君も能力の中に入れておけば違ったかもしれないのに」

「無茶言うな。アイツの魔法は心之丞と同じで影響が怖すぎんだよ」

「だよな、高見の魔法は喰らうと何を忘れたのかもわからなくなるから……」


 御影が比嘉ひが心之丞しんのすけの言葉を否定すると、周りの席にいた男達も強く肯定するように頷いた。


 御影の共有魔法は、仲間が増えれば増えるだけ強くなれる。

 今はまだ御影の魔法レベルが高くないため、共有できるものは少ないが――いずれは深層心理や才能といった全ての物を共有できるようになると考えられている。

 しかし、共有される物はメリットだけに限らない。御影の魔法では、弱さや欠点も共有されてしまう。御影が魔法のレベルを上げない様にしている理由の一つは、他人の心の弱さや悪意、トラウマまで強制的に押しつけられたくないからだ。

 共有魔法で繋がる者を増やせば、そうしたデメリットを緩和できるという考え方もある。だが、人数を増やせば新たなデメリットも増える。他人から得られるメリットも薄く希釈されるだろう。共有魔法も決して万能の力にはならない。



(能力の高い奴だけを……輪島、貴志、多々良を鉄みたいな状態で回収できれば最高なのに……まぁ、あんな幸運そうそうあるわけねぇか……)


「彰兄さん、また悪い顔になってるよ」


 御影彰を兄さんと呼ぶ比嘉。この二人の関係は、実の兄弟だ。ラウラをアニキと慕う小山内とは違い、腹違いだが実際に血が繋がっている。


「また悪さしようとするなら、僕が止めるからね」

「おいまたってなんだ。俺がクソ親父を刺したおかげでお前もお前の母親も助かったんだぞ。ンなもん正義以外の何物でもないだろうがよ」

「そうそう、比嘉は御影さんを疑いすぎ。共有魔法で誰もが平等な世界を作る。おれ達みたいな出来損ないでも一方的に搾取されるだけの社会じゃない。みんなで協力して最高の世界を作ろうって約束したじゃんか」


 比嘉は兄弟喧嘩に口を挟むなと言いたげに向出を睨む。


「……いっそ全世界の人を共有魔法で繋いでから僕の魔法を使えばいいのに」

「それだけはやめろ。俺がお前を共有魔法の中に入れたのは、その魔法を封じるためだって何度も言っただろ」

「最高の魔法だと思うけどなぁ……試しにみんな一回経験してみない?」

「あっ、オレ急用あるの思い出したわ」

「それでは、私はルパ帝国へ偵察に行ってきますね~」


 比嘉の言葉を聞くや否や、御影と比嘉の二人を残して全員が一斉に精神世界から接続を切った。遅れて冗談だと呼びかける比嘉の声は、兄の御影にしか届かない。誰も帰ってくる気配がなくなると、比嘉も仮想の教室から姿を消した。

 一人残された御影も元いた隠れ家に意識を戻す。目覚めたのは貴族の住むお屋敷のような建物の一室。そこに安置される半透明な白い天使像を撫でながら不敵に笑う。


「くくく、最後に全てを手に入れるのはこの俺だ」



 藤沼の死をきっかけにして、御影彰のグループは本格的にラウラとの対立を想定して動き出した。






――――――――――






 ルパ帝国で皇太子礼の出席を終えた後、バンデーンは消沈した様子で神聖ミラルベル教国へ帰還していた。

 理由は明白――バンデーンの頼みで共に遠征へ出た聖女ラウラの殉教、聖女の遺体返還における交渉の失敗、ラウラに同行していた転移者達の身柄差し押さえ。更には、自身の子飼いだったルパ帝国の教会を預かるジャビス司教の腐敗が明るみに出た。もはやどう取り繕おうにも挽回できない失態だ。



「まさか古の魔人が復活し、此度の転移者と手を組んだとは……」

「しかし、魔人と悪しき転移者は聖女殿によって討たれたのだろう」

「その聖女殿も、もうおらんがな……」

「猊下がお亡くなりになったばかりというのに、大変な事になってしまった」

「女神様は我らにどれほどの試練をお与えになるのか」


 改めてルパ帝国で起きた異変を聞いた枢機卿司教達は、語り部たるバンデーンよりも暗い影をまとっていく。

 バンデーンが帰国する少し前、老衰により体調を崩していた教皇ファーレンも命を落とした。五百年前の災厄の再現を防げた事は良い報せだったが、教国にとって不幸と犠牲が重なりすぎている。悲観的な考え方を持つ司教の中には、世界の破滅の予兆だと疑う者までいた。


「それに……ポーネット殿が巫女を下りるとは信じられん」

「メイア殿、ピリカ殿、キナ殿も魔の森から帰ってこない。此度の転移者がまた何かしでかしたのではないか」


 悪い報せはまだ他にもあった。

 巫女ポーネットの離脱とメイア達の消息が途絶えた件だ。

 ポーネット・グレイスは帝国の皇太子に就いた。であれば、今後は教国と帝国の橋渡しとなってくれるかもしれない、という期待はできる。しかし、あまりにも時期が悪すぎた。

 メイア達に至っては、完全に音信不通である。それぞれの部下も活性化した魔の森から溢れ出た魔獣による負傷でろくな聞き取りができていない。


 使徒座の巫女は、個々の能力が優れていること以上に価値がある。

 出身国、種族、所属宗派……それぞれにおいて、自分達の代表が使徒座の巫女でいる事は、誇りであり結束の象徴として機能している。彼女達に欠員が出ると、それは各組織の分裂と混乱を生みかねない。



「教皇選挙ならば心配はありません。時間をかけずに終わるでしょう」

「気楽に言ってくれるな、バンデーン殿! 貴殿が聖女殿を連れ出したからこんなことになったのだろうが!」

「そうだ、貴殿に立候補する資格はない!」


 それまで少し背を丸めていたバンデーンが手を上げた。

 即座に敵対派閥の司教達から非難の声が上がり、罵倒の応酬で会議が止まる。


「皆の者、黙るがよい。バンデーンには別の意見があるようじゃ」


 それまで沈黙を貫いていた精霊の一柱、使徒座の長アヴィが制止すると司教達は一斉に口を閉じる。


「ありがとうございます、アヴィ様。……次の教皇には、これまで前教皇を支えてくださったレイモス殿が相応しいかと存じます」

「なにっ――!?」


 会議室に驚愕の声が広がる。

 バンデーンが教皇の座を狙っていた事は周知の事実。権力を得るためならば、時に聖職者として眉をひそめるような行為にも手を染めていると黒い噂がある。そんな男が最も強く敵対していた男を推薦するなど予想外もいい所だった。

 しかも、バンデーンが推薦するという事は、バンデーン派閥の枢機卿司教達にも根回しが済んでいる事になる。

 レイモスとバンデーンの二大派閥だけで、教皇選において選挙権を持つ枢機卿司教の四割に届く。次期教皇の座は決まったようなものだ。


「……よいのですか、バンデーン殿」

「レイモス殿にならミラルベル教の未来を託せます」


 レイモスは一瞬顔をほころばせる。しかし誰にも気づかれる前に、だらしのない表情を引き締めた。立ち上がり、支持を表明したバンデーンの手を取る。


「まだ色々と話し合わねばならない案件がたくさんありますが、何を決めるにも教皇という存在が必要となります。形だけとなってもまずは選挙を早急に終わらせるべきではありませんか」


 会議室に拍手の音が響く。

 教皇の座を目指していた枢機卿は二人の他にもいる。そうした者達の裏取引の時間を削るためにも、選挙は速やかに始めた方がいい。もともと会議の議長を務めていたレイモスの意見に半数近くが賛同すると、各枢機卿は選挙の準備をするため、会議を切り上げた。




 最後にバンデーンとレイモスが一礼してから退室する。大理石の床を叩く二人の足音が聞こえなくなってから、会議室に残された三柱の精霊は、顔を見合わせて事態の整理をはじめた。


「バンデーンの話に嘘はない。戒座の情報と概ね一致している」

「そうか……あの小僧め、さては帝国で転移者の力を見て逃げおったな。どう転んでも次の教皇は糾弾される運命にあると読んだのじゃろう」

「あの子は子供の頃から先見の明があるのよ」

「ずる賢いだけだろう」


 精霊達は、教皇の座をライバルに譲ろうとしているバンデーンの裏を見抜いていた。わずかに責めるような言葉も見受けられるが悪意はない。むしろ、この後に及んでも将来への布石を打ち続けるバンデーンの諦めの悪さに感心していた。

 ラウラの死亡に関しても同様だ。バンデーンを責めるつもりはなかった。魔王の復活となれば、対処が遅れればそれだけ被害は拡大しただろう。教国にとっても、ラウラ一人の死では済まなかったかもしれない。


 それに今は、誰が教皇の座に就くかよりも重要な問題がある。バンデーンの策謀になど構っている余裕はなかった。アヴィとルディスが気まずそうにしていると、あまり関わりのなかったハンナが口火を切った。



「一番信じられないのは、ラウラが死者を生き返したことなのよ! 子孫が引き継いだ聖遺物なんかじゃぜったい無理! ラウラは適合者じゃなくて転移者なのよ! しかもすでに亜神の神性を越えちゃってるのよ!」


 普段はおっとりしたハンナが珍しく荒い口調でまくし立てる。

 ラウラの所属していた使徒座の主アヴィとラウラを引き抜こうと企んでいた戒座の主ルディス――どうして精霊が二柱も注視していながら、ラウラの力を見極められなかったのか責めているのだ。


「ラウラは今回来たという34人の転移者の一人だったのか……もしくは我々が認知していない召喚が他にも存在しているのか。まずはそれを調べるべきだな、うん」

「それに、ラウラに騙されたのはハンナも同じじゃろ」

「開き直るななのよ! ふたりの目は節穴なのよ、やっぱり無能な使徒座と戒座より宝座が一番になるべきなのよ!」

「おぬしのところは強い適合者がいないじゃろうが」

「昔とは時代が変わったのよ。人の社会はお金が動かすのよ――ってなんなのよっ!」


 扉を叩くノックの音だ。精霊達の会議がヒートアップしている間に、部屋の外に新しい客人が来ていたようだ。ハンナが入室を許可すると巫女のイネスが扉を開けた。


「報告します。封印の塔に幽閉しているクスイが皆様にお伝えしたい事があると」

「天啓魔法のクスイか。……なじょした?」

「何やらこれまでとは違う天の声がアヴィ様を呼んでいると申しております」

「違う声? 今の天界にはアザナエルと名乗っているあやつ以外動ける者はいないはずじゃが…………はッ!? すぐにクスイを連れて参れ! すぐじゃ!」


 アヴィが血相を変えて叫んだ。ただ事ではない声色に、イネスは聖遺物の力を解放して姿を消す。

 短距離の空間移動を可能にする能力を持つ聖剣であれば、数分とかからず楠井を連行して来られるだろう。しかし、アヴィ達はそれすら待てないといった様子だ。

 昔とは違い新しく天使が生まれなくなった現在では、アザナエル以外で天界に入れる者など思い浮かばない。たった一つだけ例外があるとすれば、それは彼女達を創造した存在。この世界の創造主、女神ミラルベルである。



 イネスが楠井を連れて戻ってきた。アヴィ達はイネスを退室させる。連れて来られた楠井はどうにも態度がおかしかったが、無視して早く天の声を聞かせろと命令した。

 楠井が呪文を唱えると会議室に巨大なディスプレイが現れる。それは地上と天界を繋ぐ通信画面だと説明する。

 しかし、画面には何も映らない。受信する電波がノイズに塗れたテレビのように、サンドストームが延々と流れるだけだった。


「なんだこの四角いものは! 天の様子が見れるとは嘘か!」

「千年ぶりにミラルベル様の御尊顔を仰げると思ったのに、騙したのよ!? ふざけんななのよ!」

「いや、だからさっきから途切れ途切れに声が聞こえるとしか言ってないんですけど――あっ、痛い痛い殴らないでッ」


 楠井が、見かけからは想像もできない怪力を誇る精霊達に殴られながら言い訳を続ける。泣きそうになりながらも、何でもいいから声を聞かせてくれと天に向けて呪文を唱え続けた。すると突然、回路が繋がったかのように少女の声が響いた。



「もしもしもしもし! この聖遺物、本当に楠井とリンクしてんのか!?」

「番長さぁ、そんなばしばし叩いたって変わらないって、壊れるだけだって」


 サンドストームの向こうから少女と男の怒鳴り声だけが届く。


「黙って見てろ、古いテレビはこれで直るんだよ」

「家電と同じにすんなよ。それに聖遺物っても何百年も昔の道具でしょ。電池切れとかじゃない?」

「でもアザナエルはこれで地上を覗いてたって言ってたじゃん――おっ」


 ばんばんっ、と何度か叩く音がしてから、音声だけだった画面に色がついた。

 四角い画面にボロボロになったラウラの姿が映った。その後ろには、アヴィ達の知らない黒目黒髪の男がいる。楠井が小声で「あ、浦部だ」と呟いたことで今回の転移者の一人だと判明する。


「アヴィ、やっと繋がったか」

「ラウラッ!? 死んだはずでは、いや、なぜおぬしが天界におる!? ミラルベル様はどこじゃ!」

「何言ってる、女神は千年前から留守にしてるだろ。それより今すぐ天界に応援を寄越してくれ! このままじゃ殺される! アレおまえらの仲間だろ、なんとかしろ!」


 ラウラは挨拶もなしに用件を告げてきた。

 物騒な言葉を証明するように、背後からは激しく争う音と悲鳴が聞こえている。ラウラの様子もかつてないほど緊迫しているようだ。うさんくさい敬語を使った言葉遣いも忘れている。


「アーーッ! ラウラさん、やばいです! 急いで早くッ!」

「どうしたッ」

「クロちゃんさんが食べられてますぅ!」

「もうかよ!? 今助けに行くぞ鉄ぇええええええぇぇ」


 ラウラが会話を可能にしていた聖遺物を乱暴に放り投げる。ぶつん、と嫌な音を立てて通信が途絶えた。

 最後の一瞬、傾いた画面の端には、人とカエルと山羊を掛け合わせたような巨大な怪物と飲み込まれそうになっている人間の影が映っていた。

 その後は、楠井が何度呪文を唱えようと天界から声が届くことはなかった。


「あの怪物は一体なんなのじゃ……」

「最後に画面の外からラウラを呼んでいた声、あれはまさか……」

「わけがわからないのよぉ……」



 およそ千年ぶりに目の当たりにした天界の変貌、そして予想外の事態の連続。三柱とも言葉を失った。


 帰還を期待していた女神はいなかった。

 死んだはずのラウラが天界で生きていた。

 ラウラと男が二人、声の女性。合わせて四人も天界に人間が入り込んでいる。

 悠久の時を生きる精霊にとっても理解の及ばない事は間々あるのだと打ちのめされていた。



「……それでどうする? 救援を求めていたようだが……」

「この姿になった時に天界へ戻る方法は失ったのよ。どうしよもないのよ」

「わしらのスタンスは人の自主性を見守ることじゃし、放っておくしかあるまい」

「ラウラが生きていた件は公表するのか」

「無理じゃろ。あちらへ行けても還って来られるかは話が別じゃぞ」

「とゆうかラウラが転移者だったとバレたらマズいのよ。教会の権威がピンチなのよ」


 三柱は、新たに入った情報からまた次の相談をはじめた。

 ラウラが亡くなってから二ヵ月が経過しても、教会の混乱は収まるどころか慌ただしくなる一方だった。


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