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第10話 これからも腐れ縁

 ラナイアとアルグスは、三度目の喧嘩を終えていた。

 すぐ喧嘩になるが、すぐ元に戻る。それが、いつも通りの二人なのだ。


「はあ、そろそろ休憩も終わらないとね」

「ああ、そうだな」


 二人は、ゆっくりと立ち上がった。

 何回も喧嘩している内に、それなりの時間が経っていた。そのため、そろそろ両親の手伝いに戻らなければならないのだ。


「あなたのおかげで、ゆっくり休めたわ。誘ってくれて、ありがとうね」

「いや、俺の方こそ、いい休憩になったぜ」


 喧嘩ばかりしていたが、二人はお互いにいい休憩になったと思っていた。

 二人にとって、喧嘩とはその程度のものなのだ。喧嘩すると、心が落ち着く。二人は、そんなおかしな感覚をしているのだ。


「さて、こっちでまた作業ね」

「ああ、でもこういう作業は、慣れているよな?」

「ええ、あっちの世界でも、やっていたもの。体が軽い分、こっちの方が快適なくらいだわ」


 二人にとって、農作業は慣れ親しんだものだった。

 なぜなら、晩年二人は農作業をしていたからだ。

 その慣れがあるため、二人は農作業をそこまで苦に思っていない。体が軽い分、むしろ楽だと思っているのだ。


「こっちの両親も、お互いにいい人だしな」

「そうね……こういうのも変だけど、本当に父親と母親として慕っているわ」

「まあ、俺達の方が年上なんだけどな」

「そうよね。おかしな話だけど、そうなるのよね」


 二人にとって、こちらの世界での両親も大切なものになっていた。

 精神年齢的には、年上ではあるが、二人とも両親として慕っているのだ。

 そんな両親がいることもあって、二人はこちらの世界をとても楽しんでいた。いい両親に恵まれ、慣れ親しんだ農作業をして、隣にはいつもの幼馴染がいる。それが、二人にとっては何よりも幸せなことなのだ。


「まあ、これからもよろしく頼むわね。よくわからないけど、あなたとはずっと一緒にいるみたいだから……」

「ああ、もちろんだ。これからも、よろしく頼む」


 二人は、お互いにそのように言葉を交わした。

 色々と言い合っているが、二人とも内心理解しているのだ。お互いに、この世界でも離れることはないだろうと。

 二人は、前の世界でも幼馴染で、ずっと一緒に過ごしてきた。そして、こちらの世界でも幼馴染だったのだ。

 二人は、お互いの関係を腐れ縁だと評している。なんの運命か、ずっと一緒にいることになっている相手。そのように考えているのだ。

 そんな二人の腐れ縁は、これからも続いていく。二人の腐れ縁は、ずっと続いていくのである。

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