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第1話 転生しても腐れ縁

 ラナイアは、アグレビド王国の小さな村に暮らす農家の娘だ。

 彼女は、ごく普通の農家に生まれて、ごく普通に暮らしている。だが、彼女には一つだけ他人と違うことがあった。

 ラナイアには、前世の記憶がある。かつてラナリアは、日本と呼ばれる国に生まれて、天寿を全うした。その後、なんの因果か、別の世界に転生することになったのだ。

 ラナイアがかつて暮らしていた世界に比べて、今の世界はかなり不便である。そのため、ラナイアも最初は苦労していた。しかし、住めば都とでもいうのか、だんだんと慣れてきて、今では特に苦労も感じなくなっている。


「ふう……」


 そんなラナイアは、今日も両親の手伝いを頑張っていた。

 ラナイアの両親は、とても善良な人間だ。前世までの年齢を考えれば、ラナイアは二人よりもかなり高齢だ。だが、それでもラナイアは、二人を両親として慕っている。自分が生まれ変わる前の両親と、同等のような存在だと思っているのだ。


「うん?」


 ラナイアの毎日は、とてもごく普通のものである。

 だが、そんなラナイアの頭を悩ませている者が一人いるのだ。

 その存在が、ラナイアの方に迫ってきている。いつも通りのことだが、それはラナイアの毎日の悩みだ。


「ラナイア、よう」

「ようじゃないわよ。アルグス、あなた家の手伝いはどうしたの?」

「別にそんなことはどうでもいいだろう」


 ラナイアの目の前に現れたのは、幼馴染であるアルグスである。

 アルグスは、ラナイアにとって特別な存在だ。幼馴染であるという前に、ラナイアとアルグスは特別な関係なのである。


「ちょっと話さないか? 気分転換でもしようぜ」

「気分転換? まあ、別にいいけど……」


 アルグスの言葉に、ラナイアはゆっくりと頷いた。

 気分転換をしようという提案は、悪くないものだった。両親の方を見ると、別にいいという風に合図を送ってくれる。

 という訳で、ラナイアはアルグスについて行く。

 しばらく歩いて、二人は人気のない場所まで辿り着いた。そこは、二人がいつも人に聞かれてはならない話をするための場所だ。


「それで、今日はどういう話なの?」

「別に、話したいことがあった訳ではないさ。ただ、疲れたから、少し休もうと思ったんだ」

「それに、私を付き合わせるの?」

「何か不満なのかよ?」

「別に、不満はないけど……」

「そういう風には見えないぞ」

「勝手に、私のことを判断しないでもらえるかしら」

「そういう風な態度が、不満なように見えるんだよ」


 二人は、顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた。

 それは、昔からまったく変わっていないのだ。この世界で幼馴染になる前から、ずっと変わっていないのである。

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