4/4
四話
「そういや、先週の道徳の課題やった?」
「ああ、もう終わった。将来の夢についての作文のやつだろ。プロサッカー選手にしたわ」
伸一がまた蹴り返してくる。
「まじか。全然やってねえんだよなー」
「そりゃやばい。明日提出じゃねえのか?」
「そうなんだけどな」
秀太は将来のことなんて考えたこともないし、伸一みたいに夢中で打ち込んでるものもない。
どうしようかと考えていると、ボールを蹴り損ねた。
ボールに変な回転がかかり、あらぬ方向に飛んで行った。
「すまーん」
伸一が走ってボールを取りに行く姿を見て、秀太は申し訳なく思った。
ふと、グラウンドを見渡すと、反対側で同じクラスの顔ぶれがサッカーをしているのに気が付いた。
その中に、島田優人の姿が見えた。
島田もサッカークラブに所属しているらしく、よくグラウンドで友人を連れてボールを蹴っているのを見かける。
島田は身長が高く、威圧的な物言いをするので、秀太は苦手だった。