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後編

最終話です。

目の前で愛した人の鮮明な血潮が舞う。


「り…りぃ…。」


「シェナー!!」

ジーナさんの声が響く。


「シ…ナ君…。」

彼に手を伸ばすが突然腕を掴まれ引き離される。


「⁉︎」

気づくとグレン様の腕の中に納められた。


「は…はなして…っ!」

抜け出そうとしても片手で抑え込まれる。

懸命にもがく中、シェナ君に駆け寄ったジーナさんがグレン様に掴みかかる様に叫ぶ。


「なぜ…!何故この様なことを⁉︎」


「…。」

グレン様は答えない。


「貴族様とはいえ罪が無い者を手にかけていいと思っているのですが⁉︎」


「…罪がない?罪なら十分にあるだろう。」

何をおかしなことをと言うのかと言わんばかりな冷めた表情でジーナさんを見る。


「はい。かなり離れた町とはいえ領地の主であるマーカス侯爵家の命に逆らったこと及び、その主のご子息であり時期侯爵であられるグレン様に楯突いたことによって十分に罪状が取れます。」

そして彼を補足する様に従者もグレン様の前に出てジーナさんに言い放った。


ジーナさんは悲痛な顔を浮かべ黙ってしまった。


「…だから…て殺すなんて...っ!?」

非難するようにグレン様を睨めつけるが涙であふれた目で訴えても全然効果ない。


グレン様はそんな私を一瞥し従者に声をかける。

「...ウェント後始末を頼む」


「承知いたしました。」

従者は頭を下げ懐から小さな袋を取り出しジーナさんに渡そうとする。

それをグレン様は一瞥してから私を強引に引っ張り家を後にした。

抵抗しながら泣き叫ぶ私や阻止しようとする義両親を無視して。


※※※


抵抗も虚しく馬車に乗せられ町を後にした。 

道中、従者は気を遣ってなのか御者側に座り馬車の中はグレン様と私だけだった。

両手を縛られ逃げられないようにされているが馬車に乗るまでの抵抗で疲労し言葉を出すことですら億劫になる。


何をしたってここから出してもらえないのだから。


愛した人を殺され、愛した家族と引き離された怒りと悲しみに心が疲労してしまいすべて諦めてしまう。

そんな中、向かい合わせに座ったグレン様は無表情でただじっと私を見ていた。


移動途中町に一泊することになった。

従者の話によると屋敷まで馬車で休憩挟んでも2日間かかるらしい。

促され休むために部屋を入るとグレン様も一緒に入ってくる。


「…平民である私が子爵様とご一緒なんていけません。」


そう言い部屋を出ようとすると腕を掴まれ部屋の奥へ連れて行かれる。


「リリーは私の妾だから問題ない。それよりも話がしたい。」


「ならば道中に馬車の中でお聴きします。離して下さい。」

振り払おうと力を込めるがビクともしない。


「リリー」


逃げられないようにベッドに押し倒されて身動きが出来なくなる。


「リリー最初に一つだけ誤解を解きたい。」

彼の重みに身体がビクっとする。


()はリリーを愛している。それは前も今も変わらない。」

「何を…」


グレン様は愛おしむように眼を細める。

「あの頃リリーが嫉妬していたのは分かっていた。だけど俺は第二王子殿下とある約束の為彼女(・・)の側にいた。」


「…ある約束?」

「そうだ。全てを話す事は出来ないが彼女は殿下の大切な人だから」


彼女の事を何でもない様に言う彼に怒りを覚えた。


「…嘘。嘘だわ!貴方はいつも彼女と一緒にいて恋人の様に接していたわ…それに貴方は私に言ったわ。私は妹にしか思えない。俺には彼女が必要なんだって…!」

当時を思い出す。

その言葉がどれだけ私を深く傷ついたか。私には貴方しかいなかったのに…。


グレン様は私の表情をみて満足そうに笑みを浮かべる。

「彼女を守るよう殿下に言われて彼女と恋人の様に接していた。君にこの事を()()()()()()()()。」

笑みを深くしてニヤッと笑う。

彼の暗い笑みにゾッとした。


「疑問に思うようだね?当たり前だ……リリー。」


私の頬を慈しむ様に触れる。


「…君の嫉妬は心地良かったよ。俺に縋るような眼も全て…俺の言葉で一喜一憂する君に」


その笑顔と言葉に凍りついた。

そんな私を安心させるかの様に微笑む。


「学園にいる時に殿下に断罪後の君をどうするかと相談があった。

罪の内容からすると嫌がらせという理由だけで軽い、しかし君の父と姉は家が取り潰しになるほどの罪を犯しているから婚約破棄は免れないと聞いていた。

当初君は他の貴族の養子として挙げられていたが、よくよく考えていると平民のほうが後から簡単に取り戻せる。だけどそれにはきみも親子共に断罪されるぐらいの罪を犯してもらわなければならない。」


「...。」


「罪を犯させる為に君にはもう少し嫉妬してもらう必要があった。だから君に言ったんだよ。『君を妹にしか思えない。彼女が必要だ』と。そして案の定君は彼女にさらに嫌がらせした。彼女の持ち物を君が持ち出して隠した事あったよね?彼女を困らせる為に。」


「‼?」


「あの時、君はそれだけでお終いだったかもしれないが、その後君の行為を見ていた君の姉ロザリア嬢は持ち物の中の彼女の飲み物に毒薬を忍ばせた。そして彼女は気づかずそれを飲んで倒れてしまった。……その所為で彼女は子供を産めない身体になってしまった。」

軽い罪を犯させるつもりが少々やり過ぎてしまった。と苦笑いをする。


彼の残酷な言葉に従者が言っていた言葉が頭に甦る。

私の所為で...私の軽はずみな行動で彼女は子供を産めなくなった?

衝撃な事実に青ざめた。


グレン様の手が私の鎖骨あたりをなでる。

「そう先ほどウェントが言っていた妾の役目にこれが意味する。‥‥この件で当初の計画を変更する必要になった。

彼女は子供を産めなくなってしまった所為で殿下の王子妃になれない。でも殿下はある提案を出した。婚約者のいない俺と彼女が結婚し彼女を既婚婦人とさせ、その後彼女を殿下の公妾として迎えればいい。そして同時に2年間罪を償った君を連れ戻し俺の妾とする。君は俺との子を産んでもらい表向きは彼女の子として公表し侯爵家の跡取りとして育てる。」


彼の言葉に頭が追いつかない。

どうしてこんなことになってしまった...?


グレン様のお顔が私の顔に近づいて私を見つめる。

その眼に絡めとられて動けない。


「こんな遠回りをしてしまったが、君の全てを手に入れるならなんだってよかった。

ようやく手に入れた。今度こそ君は俺の(もの)だ…リリー...。」


ーもうどこにも君を行かせない


唇と唇が触れる。

まるで檻の中に閉じ込め鍵をするように

体と体が重なる。

縛りつけ逃る気にさせないように


その後、私は彼に閉じ込められた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



悪者はその後どうなった?


王子様に閉じ込められ末永く愛されました。


悪者(彼女)の心を壊して



END


最後までお読み頂きありがとうございます。


色々と書き足りない処もありましたがこれにて完結です。

今投稿している乙女ゲームのグレンルートを短編で書いてみました。R15ギリギリかな?と思いますがどうでしょうか?(汗)

あと時間があったら補足として登場人物の紹介を入れたいかな?と思ってます。

投稿して初めての完結作になります

もし宜しければ感想や評価を頂けると嬉しいです。


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