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中編

あれから平民になって義両親を手伝いなからパン屋の売り子として働いている。

お店で働くと様々な人達と知り合う。


「リリーちゃんこのパン3つ頂戴。」


常連さんであるおじさんがいつも注文しているパンを指してお金を出す。


「ロックさんいつもありがとうございます

 このパンさっき出来たばっかりなんですよ。」


ニッコリと微笑みお金を受け取ってお釣りを渡してからパンを包装する。

おじさんもそんな私をみて嬉しそうにお釣りをしまった。


「そりゃ楽しみだ。リリーちゃんもだいぶ板についたね。最初はお金の計算よく間違えてたもんな。」


世間知らずの看板娘から将来の店長に昇進だなってからかう様に大笑いするおじさんに少し睨め付ける。

確かに店に出ても全然役に立たなくて怒られてばっかりだったが町の皆がそんな私を励ましてくれて面倒みてくれた。

辛い事もあるがそれ以上に温かい。

だから私ももっと役に立てる様に頑張りたいと思い、ちょっと小さいパンをおまけに入れて渡した。


そんなやり取りをしている時、入り口から若い男の子が入ってきた。


「よぉ。リリー」


「シェナ君いらっしゃい」


シェナ君。彼はこの町の町長の三人息子の三男で私と同じ年齢でよくパンを買いに来たり遊びに来てくれて色々良くしてくれる。

平民の男性は貴族の男性と違い結婚が早い。19歳で結婚して子供がいてもおかしくない歳なのにまだ独身だ。


「リラさん。リリーてもうすぐ休憩だよねー。」

シェナ君が奥の厨房に居る義母さんに声をかける。


「そうよー」

義母さんが厨房から出てきた。


「リリーとデートしてきて良い?」


「んまっ!とうとうリリーに口説くのかしら?百年早い!!…なぁんてね。いいわよ。今から行ってらっしゃい」


「義母さん⁉︎」

大袈裟に驚いてとんでもない発言する義母に顔が真っ赤になる。


目の前のシェナ君もなんだか顔が赤くなっていた。


「んじゃリリーを連れて行くよ。」

行こうって私の手をとり店をでる。


二人で町の外れにある高台まで行った。

ここは町を見渡せる。私はこの場所が好きだ。

私がこの町に来てばかりの時、全然慣れなくて落ち込んでいたらシェナ君がここに連れてくれた。

シェナ君は女性は苦手だからっていって慰める様な言葉をくれなかったけど、その代わりに町の良いところや面白いことを教えてくれて気分を紛らわせてくれた。

私の過去を知っていてそれでも良くしてくれている。

私がこうして元気で居られるのもシェナ君のお陰だ。


「…リリー…実はリラさんには先に言ったんだけど……りっ、リリーにき、聞いて欲しいんだ!」


どもりながらシェナ君が顔を真っ赤にしてどう言おうか迷っている。

さっきの義母さんの会話から薄らだか察しできる。ただ自惚れだったら辛いけど…。


「リリーっ。お、俺と結婚してくれないかっ!」


私を真剣に見つめてながら顔を真っ赤にして言う。

結婚…?お付き合いからじゃあなく?


「え…結婚?」


「ああ!俺達もう結婚してもおかしくない歳だし、俺はリリーしか居ない。リリーが好きなんだ!」


プロポーズには言葉が足りなくて義母さんからダメ出しを言われそうだが、直球過ぎる言葉に戸惑うけど嬉しい。


「…私でいいんですか?」


段々目頭が熱くなり胸がドキドキする。

真っ赤な顔したシェナ君の真剣な顔に本気だとわかる。


「リリーを愛しているんだ。だから結婚してくれないか?」


愛してくれるの?こんな私を?


「リリー?」


「……嬉しい。よ…宜しくお願いします。」


私もたぶん今凄く顔が赤い…恥ずかしい。


「やっ…やったー!」


ガッツポーズをするシェナ君が歓喜極まって私を抱きしめる。

私も涙が溢れてシェナ君の背中に手をまわして顔を隠す様に抱きついた。


※※※


それから二人とも何とか落ち着いて今後の話をする。

話を聞いていたらシェナ君はどうやらもうシェナ君のご両親と私の義父さんと義母さんの許可を貰っていて私が了承したら結婚しても良いと言う話になっていた。

義母さんに許可貰うのか一番大変だったとか。

シェナ君の苦労話を聞いていて微笑ましく思った。


そして二人で報告しに行こうと町へ戻ろうとした時、外道に馬車が止まった。


何んだろう?と私たちはもちろん、町の人達も気になり馬車が見える近くまで集まってきた。



止まった馬車はなんと貴族の馬車だった。

こんな町に貴族の馬車が来るなんてあまり無い。

ましてや馬車は高貴族のものだった。

馬車の紋章を見ると見覚えがある。

そう、この紋章はマーカス侯爵家のものだ。


それをみて背筋が凍る。


「リリー?」

真っ青の私に気づいたシェナ君は私の体を支える。


体の震えが止まらなくて

頭の中は見ては駄目だと警告しているのに馬車から目が離せない。

馬車から人が降りてきた。

そこには…


「…!!!」


グレン・マーカス

卒業パーティーの時に私たちを断罪した私が愛した元婚約者だった。



お読みいただきありがとうございます。

この話は4連休には完結する予定です。

その後、もう一つの方を書き続けたいです。

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