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異世界物ノ怪事変  作者: 中毒者
2/3

この世界のルール

説明会〜

解散したあと、僕は一旦部屋に戻った後にハルトの部屋に行った。


「お邪魔しま〜す。」


「あぁ、唯君ですか。ノックぐらいしてくださいよ。」


「ごめんごめん。次から気をつけるよ。」


しょうがないですねと言いながらハルトは部屋に入れてくれた。

部屋にあったテーブルに互いに向き合う形で座ると、今の現状について喋り始めた。


「ねぇ、これからどうなると思う?」


「どうなるとは?」


「魔王を討伐することとかこの世界で生きていけるかとか色々。ハルトは不安じゃないの?」


ハルトは少し考えて答え始めた。


「不安といえば不安ですけど私は何より見たことが無い生物を見ることができると言うだけで十分幸せです。あちらの世界の生物は粗方観察し終えてますから。」


それから小一時間程謁見の間で言っていた鳥について説明された。

僕はそれ程興味がなかったので話半分に聞いていた。最後の方は疲れてきたので顔に少し出ていたのかもしれない。そこをハルトに指摘されて誤魔化すのに苦労した。


「そういえば、ハルトの祝福ってなんだっけ?」


「あれ?言ってませんでした?」


「聞いてないや。」


「そういえばお互い言ってませんでしたね。せっかくですから言いあってみませんか?」


そうやってきいたハルトのステータスがこちら。


名前:御影陽斗

種族:人間

祝福:召喚士

Lv1

HP:15

MP:16

攻撃力:8

防御力:10

魔力:15

素早さ:5

適正魔法:闇魔法

《スキル》

絆の契約(エンゲージリング)


「テイマーか。よかったじゃん。ハルトにぴったりな祝福だよ。」


「そうですね。これで色々調べることができますし。


それにしても唯は土魔術師ですか。

なんというか、その……地味ですね。」


「ウッ……ハッキリ言うじゃん……。」


やっぱり地味だよねこの祝福……。親友だからこそグサっときたよ……。

そんな様子に気付いたのか、ハルトはでもでも、と続けて、


「どんな職業か一回調べてみないことには分かりませんよ。

明日、この城にある図書館に行きましょう。」


なんと、ハルトは解散になった後、図書館に行く承諾を貰っているのだという。

なんとも抜け目がない奴だ。


僕たちはその図書館に行くことにした。




「ここですね。」そう言ってハルトが立ち止まったのは緑の扉の前だった。


「本当ここなの?」


「えぇ、解散の時にメイドさんが言ってた位置からしてここで間違いありません。」


そう言ってハルトは躊躇なくその扉を開いた。


中は壁一面に本が高々と並べられており、もはやそれは本自体が壁なのではないかと錯覚させる程だ。

加えてそこに行くための通路は某魔法学校よろしく階段が動いている。


その壮大な光景に見入っていると、


「入室許可を取ってきましたよ。」と言ってハルトが一枚の札を渡してきた。


「では、探しましょうか。」


そう言ってハルトは手前の本を一冊取ると、中央にある読書スペースに向かって歩き始めた。


「っていうかハルトってこの世界の字が読めるの?」


「何言ってるんですか。《言語翻訳》があるでしょう?さっき集まったとき大臣が言っていたじゃないですか。」


「そういえばそんな気がしなくもないな……。」


「しっかりしてくださいね。未知の世界では情報が最も大事なんですから。しかも僕たちは魔王と戦わなければいけないんですよ。

相手の情報を得れば死ぬ確率だってグッと低くできるんですから。」


「そのとうりじゃな、坊や。」


そう突然語りかけられて僕たちは咄嗟に声の持ち主の方を向いた。

そこには真っ黒なローブを着た老人がその真っ白な顎髭を撫でながらニコニコ顔でこちらを見ていた。


「おっと、驚かせてすまんかったな。ワシはエドワード。ちょっと魔法が使えるただの老人じゃよ。」


唯です、ハルトですと気遅れ気味に言うと、エドワードさんはちょいちょいと手招きをした。


「いや〜この歳になると煙たがられて誰も話してくれんのじゃ。ちょっと話し相手になってくれんかの?」


「ハルト、どうする?」


「いいんじゃないですか?この方は魔術師ですし、土魔術師についても聞けるんじゃないですか?」


「なんじゃ、土魔術師について知りたいのか?」


僕が頷くと、エドワードさんはよかろうと言って僕たちに座るように促した。


「さて、土魔術師じゃったな。その前にお主ら、まさかとは思うが最近来たと言われている異界の勇者様達ではあるまいな?」


「一応ですけどそう言う風には呼ばれてます。」


そう言うと老人はびっくりした顔をした後、あちゃーと手を顔に当てて天を仰いだ。


「そうか、お主達が……もちろんじゃが魔力というものについては……その顔だとしらなさそうじゃな。

よかろう、ワシが直々に教えてやろう。」


そう言ってエドワードさんはゆっくりと話し始めた。


「魔力の本質は気というものじゃ。分かりやすく言うと生きるためのエネルギーじゃな。

これはどんな人間も持っていて、体内を巡っておる。

そして、空気中には“魔素”というものがあり、これを体内に取り入れ、魔素を魔力に変えて人間は生きておる、と言われておる。

と言うのも、魔素を魔力に変える臓器らしき物はまだ見つかっておらぬからじゃ。

ちょうど心臓ぐらいの位置にあるというのが有力な説の一つではあるがの。


そして、その魔力を体外に放出することで“魔法”という現象が発生する。

しかし、魔力を体内に溜めておける量には限界があり、また、体外に放出できる量についても限界がある。

それがそれぞれMPと魔力じゃ。


MPの値が少なすぎると純粋に魔法が使えなかったり、使えたりしても初級魔法しか撃てないなんてこともあり得る。


魔力の値が少ないということは1度に放出できる魔力の量が少ないということであり、そうすると、大魔法や超級以上の魔法が撃てないということもあり、初級すら撃てないということもある。


まぁこれらの値や伸び率は完全に個人差と修行次第じゃ。


そして魔法は基本的に6つの属性に分けられる。

火、水、風、土、光、闇じゃ。


そこから複数種類の魔法を組み合わせてできる“派生魔法”というものがある。

例を挙げるとするならば、もっとも有名なのが

水+風で雷属性の魔法じゃな。


次に適性についてじゃ。

魔法とは魔力を体外に放出することで起きるとさっき説明したが、この過程で多少なりともロスが発生する。このロスが極めて低くなる属性が一人に一属性以上ある。これが適性じゃ。


適性がない魔法だと大体40%の割合でロスが発生するが、適性魔法だとロスは1%以下になる。


この適性は複数持っている者も当然おる。

聞いた話によると、お主達と一緒に来なさった勇者の坊やは火、水、風、光の4属性を持っておるらしいな。……なんでそんな苦虫を噛み潰したような顔をする。


とにかく、この適性は性格などにも影響を及ぼし、例外を除いて変えることはできんと言われておる。

あぁ、例外というのはアンデットになるとかヴァンパイアになるとかロクでもないことだから間違ってもやろうとするんじゃないぞ。


しかしあれじゃな。闇魔法の適性とは、お主……

いや、余計なことを聞くものではないな。


さて、本題の土魔術師についてじゃな。

土魔術師とはその名の通り土を操る魔術師のことじゃ。

役割は相手に攻撃を仕掛ける他にも壁を作って防御したり、魔物相手だと落とし穴を作ったりと柔軟な行動が求められる祝福じゃな。


あぁ、祝福について聞きたいのか?

祝福とは、女神様が与えてくださった才能の様なモノじゃ。

この世界では十歳の幼子達は年の始めに教会で洗礼を受け、そこで女神様から祝福を授かるのじゃ。


祝福がない者と、祝福がある者との仕事の差は大きく差があるので、ある意味残酷なものかも知れん。


しかし、大体は願った様な職業になるため、近年では想いが具現化したものではないのか?という説が出ており、教会と言い争っていて……この話はいらんかったか。


まぁ、ある意味才能の様な物じゃ。


話を戻すと土魔術師は土を操るのに秀でており、その才能を伸ばすと………」


この後、日が暮れるまでエドワードさんは魔法について話し続けた。


帰る頃には運動もしてないのにフラフラで、僕はそのままベッドにダイブし、意識を失った。




「今日から君たちには訓練を受けてもらう‼︎」


朝ご飯を食べた後、一昨日と同じ様に謁見の間に連れて来られた僕たちに開口一番言い渡されたのはこの言葉である。


この世界には『レベル』が存在する。

この世界においてレベルはかなり重要で、たった5レベル違うだけで、戦力は倍ぐらい変わってくるらしい。

このレベルは生き物を倒す、訓練をするなどして、ゲーマーならお馴染み『経験値』を取得することで上がっていくシステムである。

効率で言えば生き物を倒す方が効率がいい。ではなぜ訓練などをするのか。

答えは単純、倒せないからだ。

Lv1という状態は言わば生まれたて、赤ちゃんのような存在であると言うことだ。

この世界ではLv2、3の生き物なんてそれこそ赤ん坊ぐらいしか存在しない。

そんな状態で魔王と戦っても一瞬で返り討ちだろう。


だからこそまずは最低限レベルを上げておかなければいけない訳である。


「ゼェ、ハァ、ゼェ……。」


そんなわけで僕たちは今何をしているかと言うと走り込みである。

僕たちは今レベルが低い。つまり、大抵の動物にはやられてしまう。しかし、死んでしまってはもともこもない。命は一つだけなのだ。と言うことでまずは“素早さ”を上げるためにも走り込みは最適なのだ。最適なのだが……


「も、もう……無理……。」


そう言って僕は倒れ込んでしまった。


「相変わらず体力が少ないですねぇ。邪魔にならないように端っこに行きますよ。」


そう言って僕はハルトに引っ張られていた。


「そんなこと言ったってよくもった方だと思うよ。現に四割ぐらいはリタイヤしてるじゃないか。」


「女子含めてですけどね。30分走っただけでこれじゃあ熊なんかに襲われたら死んだフリするぐらいしかないんじゃないですか?」


「そんなシチュエーション滅多にないよ。ちなみにさっきの熊の話デマでしょ?」


「えぇ。その熊がお腹を空かせている場合、一時間後には確実にその熊のお腹の中です。でもこの世界には魔物と言う得体の知れない生き物がわんさかいるんです。それと戦わなきゃいけないんですよ。」


ごもっともなんだよなぁ。

はぁ、異世界転移には憧れてたけど、元の世界よりも大変そうだなぁ……。




言っておきますけどこの物語の主人公はハルトなので〜

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