写真映りが悪い幽霊
“写真を撮ろうよ”
『ちょっと待ってよ。何か映ったらどうするの』
“大丈夫だって”
『こんな不気味な森なんだから、絶対何か映るよ』
“一枚だけならいいだろ?記念に一枚だけだからさ”
『しょうがないな、いいよ』
“これ、ポラロイドカメラなんだ”
『余計に怖いじゃん』
“何も起こらないよ、大丈夫だからさ”
『うん』
“いくよ。はい、アボカド!”
『ちょっと待ってよ、何でチーズじゃなくてアボカドなの?』
“今、森にいるから。アボカドは森のチーズって言うしね、なんかいいかなって”
『アボカドは森のチーズじゃなくて、森のバターだよ』
“あっ、そうか”
『ポラロイドで自撮りとかしたことなかったけど、ちゃんと撮れてるかな?』
“あっ、浮き出てきたよ”
『やっぱり幽霊映っちゃってるじゃん。ボヤけててしっかりは映ってないけど。ああ、怖い怖い』
“幽霊よりも写真映りが良くないお前の方が怖いわ!”