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4.初めてはこの剣で

「うーーん⋯⋯」


太めの剣、細めの剣、短めの剣、更に短い短剣。

普通の剣に、細剣に、小剣、短剣、か。


それ以外にも槍や斧、弓なんてものもある。


俺が使ってるのは太めの剣だが、あの子が使うとしたら⋯⋯短剣か?


俺は沢山並んだ武器を眺めて悩んでいた。


「お客さん、武器の交換ですか?それとも誰かにプレゼントですか?」


店員が尋ねてきたが⋯⋯なんでこんなに馴れ馴れしいんだ。


「自分が使うわけじゃないし⋯⋯プレゼントか?」


うん、プレゼントで合ってるのかもな。あの子ならきっと来てくれる。それを信じて、外で戦うための武器を選んでいるところだ。


「お相手は男性ですか?女性ですか?」


どうやら武器を選んでくれるらしい。武器屋本人なら良いのを選んでくれるか?


「女性だな。女性っていうよりかは女の子と言った方がいいかもしれない」


万が一力持ちだったとしたら、その時は謝ろう。見た目だけで判断してごめんなさいってな。


多分そんなことはないと思うけど。


「それなら、これならどうですか?」


そう言って店員が差し出してきた武器を見て、俺はしかめっ面をした。


こいつ、マジで言ってるのか?


「これで戦うのはちょっと無理がないか?インテリアだろこれ」


その武器はやや短めの剣なのだか、妙に金色や銀色が多く、赤色やら青色やらの宝石類がいくつもついていた。


見た目だけでも重そうで、戦いに使ったりしたら簡単に折れてしまいそうだ。


「おや、戦闘用でしたか!これは失礼しました。女の子が使うとしたら⋯⋯こちらでしょうか」


そう言って彼が差し出したのは短めの剣だった。俺の中では力の弱い子は短剣を使うイメージだったのだが⋯⋯。


敢えて小剣を選ぶ辺り何か理由があるのだと思うが、なんだろうか?


「なんでソレなのか、聞かせてもらっていいか?軽さなら短剣の方が軽いじゃないか」


ノエルが短剣を持っているのも、そういう理由でフレイが渡したのだろう。

俺だってノエルの様な使い魔を持ったら短剣を渡していたと思うし。


「短剣の方が確かに軽いです。ですが、短剣を扱うにはフットワークがとても大事なんです」


なるほど、確かにあの子がどのくらい力があるのか、身軽なのか、正直まだ分かっていない。


「小剣は程よい重さに、短すぎない刀身。実際このぐらいの長さならあまり力が無くても力が伝わりやすいんですよ」


力が伝わりやすい、か。確かにその通りかもしれないな。


「弱いモンスター程度なら、これを持ってブンブン振り回してるだけで怖気づいて逃げていくことも少なくありませんし。どうですか?」


やはり武器屋なだけあって、俺なんかより断然詳しい。シルヴィに渡すならこの小剣でもいいかもな。


「じゃあそれを貰おうか。幾らだ?」


値段を尋ねると、店員は剣が並ぶ方を指さした。どうやら長くなれば長くなるほど値段も上がっていくようだ。


小剣は短剣の次に長く、値段も抑えめ。これぐらいなら買っても懐が寒くなったりはしなさそうだ。


俺は財布から金を出し、その小剣を購入した。


「ありがとうございました!」


元気そうな店員に俺もありがとなと返事を返すと、店の扉を開けて外へと出た。


さて、と。買ったはいいけど、もしも来なかったら無駄金になるんだよなぁ。


賢い選択とは言えなかったかもしれないが、今更言ったってあとの祭りだ。


「ジャスティさーん!!」


青色の髪、ぴょこぴょこした耳、そしてさん付け。


あそこで手を振っているのはノエルだな。その横には寝ぼけた顔をしたフレイが立っていた。


俺が宿を出る時はまだフレイは寝ていて、ノエルに武器屋に行ってくると伝えたんだ。


しかし、まさかフレイがねぼすけだとは思わなかった。人は見かけによらないと言うけれど、まさにその通りかもな。


「随分遅かったな?」


俺が二人に歩み寄ると、ノエルは嬉しそうに笑い、フレイは苦笑いをした。


「本当はボクも着いていきたかったんですけど、ご主人様が全く起きてくれなくて」


「ご主人様がこんなじゃ使い魔も大変だな?」

「返す言葉もない⋯⋯」


フレイはこんなだけど、俺は朝は別に弱くはない。シルヴィが来たとしてもこんな風に使い魔に迷惑をかける事は無いな。うん。


「ところで武器屋に行くって言ってましたけど、武器の新調じゃ無かったんですね。それ誰のですか?」


手に持った小剣を見て、ノエルは不思議そうな顔をした。


誰が見たってこの小剣は俺が使う為に買ったとは思わないだろう。


「これは――いや、すぐ分かるさ。とりあえず街の出口に行こうぜ」


東口に向かう為、俺は体を東に向けた。

ノエルの横では未だに眠そうなフレイが背を伸ばした。


「ん――っ⋯⋯よし、ファルシアに向かおう。早く出るに越したことはないしね」


俺の前を歩いていこうとするフレイの肩を掴み、こちらへと振り向かせる。


「東口で待ってるから、お前は一旦宿に戻って顔を洗ってこい!そんな寝ぼけた様子でモンスターと出会ったりしたら困るからな」


数秒間の沈黙が続き、フレイはようやく言葉を理解したようだ。こんな調子で大丈夫なのか?


「⋯⋯分かったよ。ちゃんと待っててよ?」

「分かってるって」


「ボクもご主人様と行きますよ」


宿に戻ろうとするフレイの背中を追いかけようとするノエル。今度はその肩を掴んで引き止めた。


「ノエルは俺と一緒に来ような。迷惑をかけた罰ということで、一人で行かせよう」

「あっ⋯⋯はい、分かりました」


ノエルはフレイに背中を向け、二人で東口へと向かう。


僅かだがノエルの肩は沈んでおり、顔も心なしか心細そうだ。


やっぱりフレイを主人として信頼してるんだな。

知らない世界を主人以外の人と歩くなんて、心細いに決まってる。


ノエルには少し悪いことしちゃったな。


「⋯⋯?ジャスティさん、なんだかあっちが騒がしくないですか?」


そう言ってノエルが指差したのは街の東口の方だった。


東口といえばファルシアに向かう為の道。そして昨日シルヴィと会う約束をした場所だ。


⋯⋯なんだか嫌な予感がする。


「ノエル、急いで向かうぞ。何かあってからじゃ遅いからな」


ノエルの返事を待つ前に俺は走り出した。嫌な予感が的中しなければ良いが⋯⋯。


「はい?何かって何ですか?って、待ってくださーい!」


後ろを追いかけてくる音を聴きながら、小剣を手に持って俺は騒がしい方へと走り続けた。

この物語全然話が進まねぇなぁ!?

そこんとこどうなんだい作者さんよぉ!!

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