メロディオンだったのに
メロディオンだったのに。
君も私も。
殺したのも殺されたのも。
あの時は、面倒ではあったけど、
確かにみんな同じ音を弾き、
同じ譜面を奏で、
同じ校舎、同じ上履き、同じ制服、同じ廊下、そして、同じ──
メロディオンだったのに。
白と黒の鍵盤は、
まだ新しくて、
ドレミファソラシドの、
どれ一つ、欠けてはいなかったのに。
明日、生きている私も、
昨日、死んだ君も──
みんな一緒に、
眩しい午後の中を、
可愛いめだかの群のように、
泳いでいたのに。
──メロディオンだったのに。
彼も彼女も。
殺したのも殺されたのも。
メロディオンだったのは、
もうずいぶんと──