回復薬、完成!
こうして私はリフェに、鍋に入れた必要な草の種類を説明しつつ、
「今後はお手伝いをしてもらうから、よく覚えておいてね」
「……あの踊りを私もこれからやるのですか?」
「大丈夫よ、私もやるもの」
「そういう問題じゃないです! 貴族令嬢が何てことを……」
「現実は非情でした。さて、それでまだ必要な材料があるから覚えておいてね」
「……はい」
というわけでメイドのリフェに、他に必要な鉱物であったり、とある南方の木の実から採れる水などを煮ている間に見せて説明する。
時々、これってすごく高級なものでは、と彼女に言われたりする。
「意外にいろいろなものを知っているわね。よし、もっと仕込みましょう」
「うう……何でこんな事に」
切なげにつぶやくリフェと一緒に私は鍋の状況を見る。
丁度いい具合に煮えてきたのでそろそろと私は思いながら、小さく呪文を唱える。
その言葉が私から紡がれるたびに、鍋の中の液体が微かに揺れ、液体の中に小さな光が浮かぶ。
それは徐々に浮かび上がり、そして消えるもまた浮かび、やがてその光はどんどん多くなっていく。
やがて鍋の全てにその光の粒が満たされるようになってから私は、
「“癒しは歌うように、満たされる”」
締めとなる言葉を呟くと、鍋の中にある液体がひときわ大きく輝く。
その光の眩しさに一瞬私は目を閉じる。
けれどそれはすぐに終わり、
「出来たわ。よし、リフェ、これからこの液体を瓶詰にするから手伝って。光によって変質しやすいから、褐色の瓶ね」
「はい、分かりました」
疲れたようにリフェが言うのを聞きながら、まだ準備はあるのよねと私は心の中で思ったのだった。
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