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その原因の全ては

 目の前の少年は、驚いているようだった。

 この程度の知識も断絶している……それはどういう意味だろうと思って、彼に効こうとした私はそこで気づいた。


「そういえばあなたの名前を聞いていないわ」

「クレナイ、だ。赤い色を意味する」

「クレナイ、私はマリナ。そして……」

「俺はロランだ」


 ロランは自分で名前を言う。

 すると他の全員も自分の名前を告げる。

 そこでクレナイが、


「自己紹介ありがとう。それで、“祝福”に関しての話は全然知らないのか? もしかしたなら別の名前で呼ばれているかもしれないが……」

「うーん、過去の魔法文明の“因子”が今に受け継がれてどーのこーのといったような話はうっすらとは聞いたか読んだことがあるようなない様な程度かな」

「“彼等”に関しては?」

「人類の敵のような物。虐殺と殺戮を好み、けれど隠れるのを好む者達」

「他には?」


 そこで今度はロランが手を上げる。


「この世界の“崩壊”に関わる敵。この世界に潜む“病”でもある。それでいいか?」

「……なるほど、危険な敵である事は分かっているのか。だが、“祝福”と“因子”に関する話はほとんど伝わってないのか?」


 そう問いかけるクレナイにロランがシルバに、


「シルバは何か知っているか?」

「いえ、それ以上の事は……。調べますか?」

「そうしてくれ」


 そう言って、シルバが一冊の本を取り出した。

 それに何か魔法をかけると、


「国の図書館の書物全てと情報を同期しました。……禁書や封印されたものは一部、見れませんが検索を開始します。……現状では、“彼等”の情報は先ほどの物と同程度しか分かりません。……“彼等”の情報自体が、“秘匿”されたものですし、情報があると分かれば彼らはそれを消しにやってきますから」


 シルバのその答えに、クレナイは納得したらしかった。


「その魔法がどういうものか俺にはよく分からないが、そう簡単に“彼等”の情報が広まっては困る。国民に公表したがために“彼等”によって国ごと消滅させられたものもあるからな」

「その話も俺達は知らない」


 ロランがそう答える。

 けれど私は全てではないが、その滅ぼされた国の記憶が“聖女”としてある。

 つまり、


「“メルサ国”?」

「! それだ、知っているのか?」

「“彼等”に滅ぼされた国とだけ」

「そうか……やはり中途半端だな」


 呻くようにクレナイが答える。

 だが私はそこである事に気付く。


「“聖女”の事? “祝福”って」

「違う。“祝福”は“祝福”だ。“聖女”は確かに、“祝福”の一部と言っても差し支えないかもしれないが、我々の間では“最終兵器”という意味合いが近い」

「“最終兵器”?」

「そうだ。……お前達は、どうして魔法文明が過去に滅んだか知っているのか?」


 そこでクレナイがそんな事を言い出す。

 けれど知らない私は首を横に振る。

 他の皆もそうだ。


 それを見て深々とクレイナイはため息をつき、静かな声で、


「その原因の全ては、“彼等”だ」


 そう、私達に真剣な表情で答えたのだった。


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