羞恥心を生贄に
青くなって、これから何をさせられるのだろうと震えるリフェ。
私そんなに怖い事を言ったつもりはないんだけれどな~(棒)、と思いつつ私はまず、
「これからある準備をするから、手伝って欲しいの」
「ここに来てすぐに、ですか?」
「ええ、ここでは私を知る物はほぼ誰もいないもの。というわけで準備をしたいの」
「な、何をなさるのかお聞きしてもよろしいでしょうか」
か細い声でリフェが聞いてくる。
先ほどの私の発言で不安を覚えたのだろう。
だが問題ない。
「大したことはないわ。さっき言ったでしょう? ガーデニングだって。ただ……ちょっと特殊な方法が必要でね。まずはこの、白い服を着て」
「? どうやって着るのですか?」
「着方は教えてあげるわ」
というわけで私は、前世ではテレビでしか見たことがなかった、“白装束”を取り出した。
まずは白い着物に私とリフェが着替えるも、
「リフェ、貴方の方が胸が大きいみたいね。強調するように着せてやるわ」
「! な、なんで!」
ちょっと涙目だが問題ない、うむ。
でも結構リフェはスタイルがいいので、後で着せ替え人形状態にして楽しもうと思う。
それは置いておくとして、
「それで頭に蝋燭を布で固定して、片手にはトンカチ、片手には藁人形を持つの」
「……何だか嫌なのですが」
「儀式だから仕方がないの。さあ、早く」
「うう……」
それからその格好で庭に出て、一角に丸い円を描く。
その中に必要な種をパラパラと私が撒いて、
「これから私と同じようにリフェにも踊り狂ってもらうわ」
「はい……」
リフェは諦めたらしかった。
そして踊り始める私達。
どう考えてもアレな人にしか見えないが、これをやると聖女の力が増幅され、約1000倍の速度と高品質さが手に入るのである。
そのために多少の羞恥心は生贄に捧げるしかない。
こうして踊る私達、
「リフェ、足が上がっていない!」
「はい!」
「リフェ、もっと恥ずかしがらずに手を伸ばして!」
「はい!」
「リフェ、そこは手が波打つようにもっと!」
「こうですか!」
「そうよ、貴方、筋がいいわ!」
といったようにやっていき、最後に、
「“開放!”」
その言葉と共に、にょきりと地面から双葉が芽吹いたのだった。
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