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冒険者が行きそうな所

 こうして私はロランにお姫様抱っこされて、森の外に連れてこられてしまった。

 私の本日の冒険は終了してしまったわけだが、森の外から町までもロランはついてきて、エレン達と一緒に連行されるかのように別荘まで見送られてしまった。

 これでは再度、森に行こうという気分すらもなくなる。


 だって、近いとは言っても、あの森はそこそこ私の別荘からは距離がある。

 一度戻ると面倒になってしまう。

 まさか、そこまで彼は計算していたのだろうか?


「く、悔しい。ロランに良いようにされた!」

「マリナ様、流石にその言い方はちょっと。ロラン様はマリナ様の事を心配してくださったわけですし」


 呆れたようにリフェに私は言われてしまった。

 でも私としては、


「それは分かっているけれど、まだまだ余裕だったのに!」

「余裕があるうちに引き返すのも大事なのでは? そもそもあの花畑に、あんな恐ろしいものがいるなんて、マリナ様のあの地図? には表示されていなかったじゃないですか」


 そうリフェが珍しく指摘する。

 痛い所をつつかれて私は呻いた。

 確かにそれは事実だ。


 だが“彼等”は隠すのがとても上手い。

 それこそ“聖女”である私が“聖女”と気づかれる程度の力を発揮しないといけない。

 それはそれで平穏な冒険ライフが遅れないのでお断りである。


 私がそう考えているとそこでリフェが、


「もうやめませんか? 普通の貴族令嬢になりましょう! 私もあんな怖いのと戦う羽目になるのは嫌ですし」

「? リフェは元々あれらと戦うは目にもなったはずだけれど」

「……え?」

「接触程度だったけれど、あれと戦う羽目になっていたはずなのよね。その内。援護って形だったようなそうでないような……」

「な、何の話ですか?」


 不安そうに聞いてくるリフェ。

 私は周りを見回して誰もいない事を確認してから、どう話そうかと考えて“嗤う”。


「それが貴方の“運命”なの。貴方の持ってしまったその巨大な力は、貴方が平穏を望もうとも否応なく……」

「何かの冒険ものの物語の一節ですか? まったくもう、驚かせないでください」


 よかったというように安堵するリフェを見ながら、やっぱり一度くらいあの怪物たちが大量に住まう城に突っ込んでみた方が楽しそうと私は思った。

 そうすれば私と一緒に冒険したことが役に立つ、と気づくだろうと考える。

 考えながらそう言えば次の冒険に向かってもいいけれど、その前にあのロランの強さが気になるから調べておこうかなとも思う。


 祝福のような呪いのような……あれは何だろう?

 しかもなんだかすごく引っかかる気がする。

 でもあれだけ強い力なら珍しい何かだろうから一緒に行動して探るのもいいのか……お断りしたいなと思いつつ私はそこで思い出す。


「あのロランが一緒なら冒険に行っていいと言うのよね。う~、出来ればエレンも連れて行きたいし、というか、ロランと一緒に行動して私の実力を見せつけた方が早いかしら」

「! まだあきらめていないのですか!? ぼ、冒険の場所はもう私は絶対にいいませんから」


 そういい返してくるリフェを見ながら、分かってないわね、と小さく笑いちょうど目の前にやって来たこの屋敷のメイドの一人に、


「すみません、ここ周辺で冒険者が行きそうな所は、どこですか?」


 そう問いかけたのだった。

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