止めましょう
こうして無事食事を終えた私は、再び新たな冒険に出ようとした。
のだが。
「え~、まだ行くのですかぁ」
「そうよ、これから私の新たな冒険が……何よ」
そこで冷たい目で私はロランに見られた。
なんでそんな目で見るのよと思いつつ私は一歩後ずさっていると、
「そうですわ。今日はこの辺で帰りましょう。あのような危険な魔物とも遭遇したわけですし」
エレンがそう私に言ってくる。
確かにこんな場所に“彼等”がいるとは思わなかったが、そう何度もあちらだって“弾”が無いと思うのだ。
だからこれからは普通の冒険が出来るはずなのだ。
そう私は思って、
「きっと一番危険な奴は倒したから、これからは普通の冒険が出来ると思うの! だから行きましょう」
「……止めましょう」
エレンは嘆息するように一言私に答えた。
なんでと私が思いつつそこで今度はリフェが、
「私も帰りたいです。あんな怖い物初めて見ました」
「う……確かにアレは普通は接触しないものだけれど、ほら、あんな怖いものを見た後は普通の魔物は比較するとそこまで怖くないはず!」
「……いえ、戦うのに疲れましたのでご飯も食べたし帰りたいです」
「た、食べたら食後の運動はあった方がいいと思うの。美容と健康のために」
「大丈夫です。私、食べても太らないので。さあ、帰りましょう」
といったように私のメイドのリフェも私の敵に回った。
ご主人様は私なのに、そう私が思っているとそこでロランが、
「どこからともなく魔物が襲ってくるかもしれないぞ」
「それは大丈夫よ、見て!」
そう言って、以前エレンに見せたマップを見せる。
ロランが遠くを見るような目になり、
「そういえばそんな技があったな」
「私達を見ていたなら気づいたでしょう! この力があればどこに魔物がいるか分かるもの! だから準備ができるわ」
自信満々に私が答えるとそこで私の地図を見てシルバが、
「凄い魔法だな。教えてもらえないかな?」
「企業秘密です」
「難しい魔法だから仕方がないか。でもそういった自分の能力を“過信”しすぎると危険だから、今日は帰った方がいいんじゃないかな」
そこでにこりと笑いシルバが私にそう言う。
お弁当を分けた恩を忘れおってと私が思っているとロランが、
「それで、マリナは戻る気が全くないのか?」
「そうよ、せっかくここまで来たんだもの、この先には向かいたいわ」
「……そうか、どうやっても行く気か」
「もちろんよ。……え、ちょ、何を……」
そこで近づいてきたロラン。
何をする気なのよと思っていると、足払いをかけられた。
酷い! と思った私だがそこで、体が宙に浮く。
何が起こったと思って、次に気付いたのは私がロランにお姫様抱っこをされているという事実。
「な、なんでこんな……」
「うん、普通の女の子のような反応もするんだな」
「あ、当たり前じゃない。降ろしなさいよ」
「……意外にマリナは重いんだな」
「……重いなら地面におろしてください」
「降ろすと冒険に行ってしまいそうだから、このまま帰ろう」
そうロランは楽しそうに私に言う。
しかもじたばたすると落ちるぞ、とも言われてしまう。
結局それから私は、ロランに抱き上げられたまま森の外まで連れていかれてしまったのだった。
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