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昼食

 昼食のお誘いをした私。

 それにロランが変な顔をした。


「お前、俺が嫌いなんじゃないのか?」

「気に入らないだけよ。何だか見ているだけでこう、怒りが湧いてくるような」

「……アレが原因か?」


 ぽつりとつぶやいたロランだが、地獄耳の私が聞き逃すことはなかった。

 そのアレとは、


「……顔面から地面には痛かったわ。この美しい肌が傷物になったら、責任とってもらうわよ!」

「……責任とるのは良いが、いいのか? お前はそれで」

「よくないわよ! もう少し女の子に対しての扱いを学ぶべきだわ」

「マリナがもう少し女の子らしく大人しくしていれば、俺もこんな風な行動はしなくて済むんだがな」

「ぐぬぬ、ああ言えばこう言う……」

「お前が必死になって言い訳しているからだろう。というかいいのか? リフェが凄く悲しそうに籠の中のサンドイッチを見ているぞ」


 振り返るとリフェが、今にも泣きだしそうにじっと見ていて、その隣でエレンが呆れたように私達を見ている。

 それこそいつ終わるのだろう、というかのように。


「う、うぐ、分かったわよ。それで早くこっちに来なさいよ。ロラン達もこっちよ」

「……仲間はずれにはしないのか」

「一緒に戦った中でもあるからね。さっきも言ったでしょう? 少し多めに持ってきたからって」

「……相変わらずマリナは変だ」

「変てなによ、変て」

「しかもよく聞いているな。聞こえなくていい事も」


 呆れたようにロランが言う。

 そこでその様子を見ていたシルバがもう耐えられないというかのように、


「ははっ、これは大物だ。ロランがいいようにされている。これは面白い。うん、どんどんやってくれ」

「シルバ……他人事だと思って……」

「ん? いい傾向なんじゃないかな? それとも、彼女が気になる他の理由でもあるのかな?」


 シルバがにやにやして聞いてくる。

 だが私には思い当たる節がないのでロランを見るがロランは私から顔をそむけた。


「何を隠しているの」

「隠してはいない。……やはり珍獣は目で追ってしまうなと思っただけだ」

「その珍獣とは、誰の事?」

「聞く意味があると思うのか」

「ほんっとに、よくそこまで口が回るわね。もういい、ご飯を食べましょ。こっちに来て」

 

 そう言って私はロランの手を掴み引っ張った。

 それにロランが耳を赤くしたり、シルバがその様子を見てニヨニヨしているのには気づかなかった。

 だがその辺りは放っておいて、私は籠の中を見る。

 

 まず半分に切ったフランスパンに沢山の具材が入ったものが幾つかはいっていた。


「これがリフェ用ね。はい」

「ありがとうございますぅ」


 嬉しそうに食べはじめた彼女を見つつエレンにもサンドイッチを渡していると、ロランとシルバがリフェのパンを凝視していた。

 確かに始めてみたら驚くなと思うくらい大食いである。

 それを見つつも、私はロランにサンドイッチを渡すと、


「ああ、ありがとう」

「どういたしまして、ほら、シルバも」


 私が呼ぶとシルバも頷き私からサンドイッチを貰う。

 それから籠を私達が囲むような形になる様に置き、


「お変わりは自由。でも飲み物は一人一本ね、では頂きまーす」


 こうして私達は昼食をとったのだった。




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