量が多いから
大変な話をしている間に、お腹が鳴る音がした。
その方向を見るとリフェが赤い顔をして固まっていた。
確かに今の魔法はかなりの魔力を消費するのでお腹は空くだろう。
しかも現在はお昼に近い。
丁度お腹が空く時間帯だ。
とりあえず倒すものは倒したので私は、
「とりあえずお昼にしましょう。お腹が空いては戦は出来ぬって言うし?」
「……この状況で、よく食事をしようと言えるな」
呆れたようにロランが言う。
確かにこの破壊されたこの周囲の光景は、異常な光景であり、私がここで食事をするのは一見おかしく見えるだろう。
だが、ここで再び今まで訓練した魔法を使えばいいのである!
「“大地は緑に覆われ、癒しをはぐくむ……”」
「……まさかこの周辺を“再生”させる気か!?」
私の唱え始めた呪文に、ロランがどんな効果があるのか気づいたようだ。
確かに一般的な魔法使いではここ周辺を以前の緑豊かな森と花畑に戻すことは、出来ないだろう。
常識的に考えてもおかしい。
しかも先ほどはなった強力な魔法は、魔力を多量に使用するものだ。
そんな現状回復の魔法など普通は使えるはずがない、のだが。
“聖女”以前に我が公爵家の人間は、元々魔力の埋蔵量が凄く多いのである。
さらにさらに、そんな中でも才能ありと言われた私の魔力は魔力は 飛び抜けた量なのです。
もっとも“聖女”であることを気づかれないように能力を抑えてなお、それだけの歴代トップの力を秘めていたのである。
というわけでそこで呪文を唱え終わった私は、
「“緑の癒し”」
言葉を言い、手を空に向ける。
私の手から風が生まれ、周りに吹き付ける。
するとすぐに芽が出て、どんどん大きくなり木々の生い茂る森と花畑になる。
その間、10秒程度。
“彼等”がここに現れて私達が戦闘の爪痕を残した……などと言っても絶対に信じてくれないような状態である。
この状態では何かあったか聞かれても、何かあったんですか? と聞き返せばどうにかなる。
そう、まるで初めから何もなかったかのような光景が現在広がっているのだ。
これでは私達を疑いようがない。と、
「見事な証拠隠滅だな」
「悪い?」
「……危険な事には近づかないようにしろよ」
「冒険がしたいから無理ね」
私がそう言い返すと、深々とロランがため息をついてから、
「分かった。今回の件もあるし、お前が“彼等”の関係で巻き込まれている可能性がある。だから俺はお前と一緒に行動する」
「え~、私が“彼等”に狙われるとか思い当たらないわ」
「気づかないうちに、接触していたらどうする気だ?」
そう言われてしまえば私も断れない。
“彼等”の狙いが私である。
完全にないとは言い切れないというか、油断できない相手なのだ。
そうなるとロラン達の力を借りた方がいいけれど……ロランはなんだか気に入らないし。
どうしようと思った私は、
「お腹が空いて考えるのが辛いからご飯を食べましょう。量が多いから、ロランとシルバにもご馳走するから、来て」
そう私は二人に、昼食のお誘いをしたのだった。
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