悪趣味ね
こうして三人そろって必殺技を打ち込んだわけだが、威力の制御を少し誤ったようだった。
正確には敵の能力がもっと恐ろしいものだと判断してしまったのだ。
だが、獅子は兎相手でも全力を出す、というのでそれはそれでいいのだと思う。
私は間違っていなかった。
冷汗の垂れる自分にそう言い聞かせた私は目の前の惨状を見た。
半分近くえぐれた花畑はまだいいとして、その先の森の一部が綺麗に消失していた。
あのあたりは緑色の木々が深く生い茂っていたはずだが、荒野のようになっている。
先ほどの敵を倒しただけでは攻撃が相殺されず、残りの力が丸っとその背面に進んでしまったらしい。
今度から即座に放出ではなく、ターゲットを測定し威力の調節が為されるように設定をしなければと私は思った。
これでは地味に人間にも被害が出てしまいそうだから。
その辺りは人間に当たっても大丈夫なよう補正をかけている。
そう“普通”の人間には。
“彼等”の仲間でも人間はいるが、“普通”ではないのでその辺りの問題はどうにかなるはず……などと私が考えているとそこでロランが、
「凄い技を使ったな。まさかここまでとは」
「そ、そうよ、これほどの力があるのよ!」
「……それで周囲の影響についてどう思う?」
「……多少の犠牲は仕方がなかったの。だってあの敵は凄く危険だもの! 油断をしたら殺されちゃうし!」
私は言い訳した。
けれど言い訳と言ってもこれは事実なのだ。
“彼等”の事を知っているであろうロランならその意味がすぐに分かったはずなのだ。
するとロランが深々とため息をついて、
「どうやらお前は“彼等”について詳しいようだな。どうしてかは分からないが」
「……聞かないの?」
「お前が“彼等”側でないと分かれば十分だ」
「そんなのどうやって分かるのよ」
「この剣が教えてくれるし……それに“彼等”ならばもっと穏便に事を運ぼうとするからな。周りとの関係もほどほどで目立たず、影の薄い人物……そうして自身の行動を隠す、そういった性質がある」
「確かにね。そしていざとなるとこうやって危険な魔獣を呼び出して……でも何でこんな場所で」
「俺か……もしくはお前を狙っていたのか、後はデモストレーションじゃないのか? こういう目に遭うぞっていう」
「悪趣味ね」
「“彼等”はいつもそうだ。でもお前が狙われているとしたらどうしてなんだ?」
「それは無いと思うわ。“彼等”については私がたまたま知っていただけで、面識はないと思うし」
「“彼等”は知られるのを嫌がる」
「でも“彼等”に私が知っていると“知られている”とは思えないのよね」
今は“聖女”であるのすらも隠しているのだから。
そう私が思っているとそこでロランが、
「そうなると俺を狙った可能性もあるのか、後はこういった辺境ではすぐに対応できないだろうから狙ったのか……」
考え込むロランの横顔。
それを見ていた私はどこかでそれを見たことがある気がしたがそこで、ぐぅうううっと、誰かのお腹が鳴る音が聞こえたのだった。
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