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合図をしてくれ

 その攻撃にかかる時間を問いかけてきたロラン。

 それに私はリフェ達を見て、


「彼女達次第だわ、上手く呪文を一緒に唱えることが出来たなら簡単にはなてるはず。二人とも魔力の量には申し分ないもの」

「……相手の魔力量が分かるのか。昔よりは強くなっているな」

「? 今何か付け加えなかった?」

「気のせいだ。分かった、準備が整ったら、合図をしてくれ。シルバと一緒に地面に伏せる」

「分かったわ」


 そう私が答えると同時にロランは走る。

 それに合わせるようにシルバも攻撃をを仕掛けるべく炎を生み出すが、


ギャアアアア


 不気味な唸り声を目の前の敵はあげた。

 同時に目の前に、私の身長の半分ほどの赤い魔法陣が幾つも現れて、先ほどの赤い結晶の小さいものがずるりと空間からあふれ出てくる。

 それらはこの場所に現れるとすぐに、大きな肉塊の球が泡のように集まっていくように増えようとして……そこでロランによって幾つも剣で叩き切られた。


 そこそこ魔力防御があるために一匹倒すだけでも大変なはずなのだが、紙のようにその怪物を剣で切り裂いていく。

 この敵についても知っているようだしこの強さ、彼、ロランという人物は一体何者なのだろうと私は思う。

 “聖女”としての記憶では思い当る節がない。


 それとも私の“聖女”としての知識が実は断片的で、まだ知らない何かがあるのだろうか?

 分からない。

 しかも、それだけではなく彼と一緒に居るシルバですらも、魔法に関しては一流と言ってもいい。


 次々と、敵を爆散させている。


「……見入ってしまいそうだわ。でもそれどころじゃないから、よし。まずはリフェ、エレン、私の左右に来て」

「わ、分かりました」

「分かったわ」


 そして私の右にリフェが、左にエレンがしてそこで私はまっすぐに敵に向かって指さすように杖を向ける。

 それから両方にいる二人に、


「この杖にそれぞれの杖を重ねて。特に一番上についている石が重なる様に」


 指示を出すとリフェとエレンが、杖の石が重なるようにしてくれる。

 これで準備は整った。

 後は呪文を唱えるだけ。


「これから私が唱える言葉を復唱してね。『数多の光は、眠りを……』」


 そう言って語っていく言葉を、リフェとエレンが繰り返す。

 多少の言葉のずれは補正である程度何とかなる。

 だから呟いていきながら私は、ロラン達の様子を見る。


 下僕では対処できないとこの敵は思ったのかもしれない。

 本体自体が巨大な魔法陣を描き、攻撃対象にロランを選ぶ。

 それに反応したシルバが防御の結界を張る。


 現れた巨大な炎の、太い炎の柱が降り注ぐも、結界によって消失した。

 そしてその時ようやく、私達の呪文が完成した。


「伏せて!」


 合図に、ロラン達が伏せる。

 同時に発動の言葉を私は叫んだ。


「“祝福の白き光”」


 その言葉と同時に重ね合わせた杖の前面に白い光の魔法陣が浮かび上がり、その杖の先に白い光の球が生まれる。

 かと思うと、視界一杯に白い光が広がった。

 けれどそれはすぐに止み、そして、目の前にいた敵は跡形もなく消え去り、その後ろの方の光景も変わってしまったのだった。


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