乙女ゲームのヒロイン
ドアが叩かれた。
誰だろう? とりあえず、
「どちら様でしょう?」
「あの、私は新しく入ったメイドのリフェと言います。よろしいでしょうか」
「どうぞ」
と言って私は入るよう促したのだが……。
「ピンク色の髪に、青い瞳のリフェ。どこからどう見てもあのリフェよね」
「あ、あのマリナ様、どうかされたのですか?」
「貴方、都市の方に行くのではなかったかしら」
私はそう問いかける。
この乙女ゲームのヒロインであったはずのリフェは、確か都市に行っているはずだったのだ。
なのに何でこんな片田舎に?
だがその私の疑問にリフェはすぐに答えた。
「こちらで就職口が見つかりましたので、エレンちゃんには、あんたみたいのがドジっ子メイドをやっても先方が困るだけだからうちのメイドになりなさいよ、と言われたのですが……こちらの方が御給金が良かったので」
「そう」
私は、とりあえずどうしようかと思った。
けれど、あの王子たちも寝盗り女も気に入らないので、最終鬼畜平気とも言うべき王子を落とす絶対的な? 存在であるリフェを放り込んでみようとも思う。
だがそれには準備が必要だ。
だから私はリフェの方を見て微笑み、
「これから私付きのメイドだから、私に従ってもらうわ。どんな命令を出しても、ね」
「な、何をする気なのでしょうか?」
「そうね……まずは、ガーデェニングからかしら。魔法での治療に頼っていると、はぐれた時や私が倒れた時困る物ね」
「あ、あの、マリナ様、一体何を……」
恐る恐るというかのようにリフェが聞いてきたので私は、
「私の個人的な目的も兼ねて、貴方を教育してあげるわ」
そう告げた時のリフェの顔は青ざめていたのだった。
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