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新たなお友達を手に入れた!

 新たなお友達を手に入れた!

 というわけで、私はエレナを連れて、昨日のうちに調べておいた“ブランの森”に向かっていく。

 今の所あのロラン達の気配はない。


 そう思ってしばらく移動した私は、先ほどからやけにエレナとリフェが静かだなと気づく。

 そこで風を切る音がした。

 すぐさま私は横に半歩ずれるも、その風の音の原因となった手は、わたしの頬の横を通り過ぎる。


 だがこの程度の動きで私を捕らえられるわけがない。

 すると今度はそこで、


「ご、ごめんなさ~い!」


 と言ってリフェが私に向かって杖を振り下ろそうとするが、それを私は別の杖で押さえる。

 だがその状態で更に攻撃してこようとする二人を、上手く私はそのまま抑えつけた。


「うふふふ、この私に勝とうなんて百年早いわ」

「うみゃ、ギブです、ギブアップです、無理無理」

「く、体術といったものにも心得があるようですね。……一応は戦闘能力があるという事ですか。昨日のダンジョンにもぐりこめただけの事はありますわね」


 リフェとエレンがそう口々に私に答えるのを聞きながら、私は笑う。


「それでこれだけの実力を見せたのだから、一緒に来てもらうわ」

「……ですがどうして私を?」


 エレンが不思議そうに聞くので私は、


「私のメイドの友達だから、私のものなのよ!」

「無茶な理論ですわね」

「でも貴方は“強そう”な気配がするもの。だったら冒険仲間として今のうちに捕まえておこうかって思ったの!」


 私の気持ちを正直に話すと、エレンは目を瞬かせた。

 次に訝し気に私を見て、


「貴方、冒険者になりたいの?」

「そうよ」

「ギルドに行って、それなら依頼を見てきた方がいいのでは? 依頼を見ることでどんなものがその場所に居たり、とれたりするのかが分かるわよ」

「なるほど、そういった使い方が出来ると」


 私が新たな情報を手に入れていると更にエレンは訝し気な表情になり、


「貴方……もしかしてマリナはギルドカードを持っていませんの?」

「うん」

「だったらまずはギルドカードを作りに行ってきた方がいいのでは?」

「それはその内。まずはどんなことが出来るか挑戦してみたいの」


 といった話にしておく。

 だってギルドカードを作ったら私が、公爵令嬢とバレたり、“聖女”と気づかれたりしそうな気がするのだ。

 確かに能力測定をして、おお! と言われてみたい気もするが、それよりも気づかれるリスクの方が高い。


 だがギルドの情報は欲しい。

 そうなると行ってもギルドカードも作らずにうろついているという、怪しい人物と思われるのも困るので、このリフェにそのうちギルドカードを作らせて私は一緒に居るだけみたいな形にしてもいい。

 そうだ、そうしようと私が考えていると、エレンが嘆息した。


「箱入りの貴族令嬢は、冒険者に夢を見すぎですわ」

「……別に箱入りではないわ」

「……では少しくらいは一緒にいってあげましょう。この周辺の森に私は少し詳しいですし、ギルドカードも持っていますから」

「でも貴方も貴族令嬢でしょう?」

「辺境貴族の嗜みですわ」


 エレンがそう言うので、そういうものなのかと私は思う。

 そして一緒に来てくれるというので私は杖を渡した。

 

「これは?」

「三人で同時に使うと必殺技が打てるの」

「“遊び”ですわね。……仕方がありません、少しくらいはお付き合いしますわ」


 そう、嘆息するようにエレンは言ったのだった。

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