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面白がっているだけだよ

 リフェが起こしに来てリフェと一緒に朝食を食べた私。

 本日の朝食は、色とりどりの芋とサラダと、ステーキ、パンだった。

 朝から元気の出そうな食事だが、リフェの場合は、さらにこの前食べていた長いフランスパンに、今日はポテトサラダを挟んだものを食べていた。


「リフェはよく食べるわね」

「はい、まずは朝食でしっかり食べないと、つかれてしまいますからね」

「……一部は魔力に変換されて蓄積されるから、これだけの量を食べても平気なのかしら。随分な量を食べているけれど……まあいいわ」

「? なにか?」

「いえ、昨日のうちにたくさんの食べ物が入った籠を朝の内に用意してもらうことにしたの。今日はお外で昼食だから」

「そうなのですか。でも、町中では飲食店が……は!」


 そこでリフェは何かに気付いたようだ。

 だが気づいた所で、すでに準備はほとんど終わっている。


「今日は、この町の近くの森に行ってみようと思うの。ええ、この前のような下手は打たないわ。今回は、ああいった物理的な攻撃を防御する道具を持っていくもの。それに初心者用なら文句が無いわよね」

「や、止めましょうよ。今の話を聞くと、昨日ここ周辺で“ブランの森”が初心者向けって話していて、まさか本当に昨日の今日でそこに行く気ですか!」


 悲鳴のような声を上げる彼女に私は笑う。

 

「当然よ。そこならギルドカードも必要なさそうだしね」

「必要がないと言っても普通の人はいかないような場所ですよ! 初心者と言っても、“冒険者”の初心者ですから、一般人じゃないですよ!」

「でも私にも貴方にも十分力はある。この力を腐らせるなんてもったいないわ」

「で、でも……」

「そもそもダンジョンの主との戦闘にならなければ、私達は大丈夫だったじゃない。忘れたの?」

「それはそうですけれど……」


 言葉を濁すリフェにそこで私はある物を取り出した。

 ピンク、緑、水色の三色の石が象徴的な、それ以外は同じ形をした杖。

 その内の緑色を、リフェに私は渡した。


「はい、これ」

「? 魔法使いの杖みたいですね」

「そうよ、三本セットのうちの一つ」


 そう答えるとリフェが青ざめた。


「あ、あと一人は誰にするつもりなのですか!」

「さあ、誰かしら。よし、食べ終わったし、早速町にでましょうね~、昨日いったあたりを見ればいいかしら」

「ま、まさか……」

「さあ、行くわよ!」

「い、いやぁあああああ」


 こうして悲鳴を上げるリフェを連れてそれから私は、町に出発したのだった。








 町に出て昨日行った場所に向かうと、運がいい事にエレンがいた。だが、


「あのロラン達も一緒ね。何かを探しているのかしら。あら、丁度、ロラン達がエレンから離れていくわ。……今よ」

「! や、止めましょう!」


 などとリフェが言うが私は聞く耳を持たない。

 そして私達が現れると怪訝な顔をしたエレンが、


「マリナ様、でしたか? リフェもどうしたの?」

「今日は一緒に貴方には冒険に行ってもらおうかと」

「……何故?」

「私のメイドの友達だからよ! よし、ロランに見つかる前に行くわよ」

「ちょ、え? 引っ張らないでくださいませ!」


 エレンがそう声を上げるけれど私は無視した。

 そして上手くエレンをロラン達に気付かれずにつれていけたと私は思ったけれど、


「……元気の良いお嬢さんだね、ロラン」

「……シルバ、それは皮肉か?」

「僕はただ面白がっているだけだよ」

「……行くぞ」


 シルバの問いかけに、離れた場所で一部始終を見ていたロランは、マリナ達を追いかけ始めたのだった。


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