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魔法の杖

 こうしてその日の夜は、この私がいいようにされてしまうなんて、と震えながらすぐに眠った。

 そして朝早く目を覚ました私は、『早起きは三文の得』という諺が頭に浮かんですぐに消えた。

 朝起きてしばらくはぼうっとしているものの、私はすぐに覚醒した。

 

 正確には閃いてしまったのだ。


「そうよ、アレがあったわ。何で作ったのに私としたことが忘れてしまったのかしら」


 そう小さく呟いて、アレを思い出す。

 “聖女”としての才能あふれる私は、あたかも玩具を作っているように見せかけて、ある物の作成をしていた。

 つまり、


「三人の力を合わせて、特に何の練習もなく必殺技が打ててしまうという、“超兵器”、魔法の杖を三本ほどのものがあったわね。それで確か五本で撃てるものもあったはずだけれど……何処にしまったっけ」


 そう私は呟いて、そばに置いてあったアクセサリーなどが入っている宝石箱……の上の部分を取り、その下にある異空間を覗き込む。

 文字通り異空間になっているそこには、私がこれまで作ってきた魔道具や薬が詰まっている。

 ただ回復薬の類は保存性の問題もある。


 また、魔道具も経年劣化を考えると……と言いたいところだが、強力な魔道具の場合はあまり関係がない。

 しかも自動回復能力をつけておいたので、ちょっとやそっとでは壊れない。


「敵が来たら殴ってどうにかなるようだものね。さてと、今度は魔法防御だけではなく物理防御機能のある物も持ってこないと。あれ、普通に壊れた岩を投げてきただけだったから、“魔力”、つまり魔法に反応しての結界の発動が起こらなかったのよね」


 私は小さく呟いた。

 先日の件は、魔法ではなく、あのドラゴンの尻尾で岩を投げられたことが敗因だったのだ。

 防御の結界と言ってもいつでも発動するのであればそれはそれで、動くのがめんどくさい。


 その壁に何度も当たりかけるからだ。

 そうすると発動条件の変更が必要になってくるのだが、


「私の周囲を索敵して、はじく、という方法があるけれどそうなると設定が難しいのよね」


 例えば私の周囲、半径が数メートルを調べて防御したとして、それをどう敵味方を判断するのかだ。

 下手をすると仲間すらも物体の攻撃と認識しかねない。

 そうなるとできるだけ私の周囲に広がる索敵を少なくして、攻撃が来た場合、それを破壊するようにすればいいのだが……。

 

 その攻撃がどれくらいの大きさの岩の塊にするのか、といった問題も会う。

 それこそ岩と言っても手の先の爪の十分の一くらいであれば、はじくと他の人に当たって他の人がいたい思いをしそうではある。

 だからとりあえず私は、爪くらいの大きさを設定してその範囲異常のものが当たりそうになったら防御、つまりはじくよう設定した腕輪を用意した。


「飛んできたらよければいい、と思っていた私がいけなかったわ。剣にはちょっと自信があったからね。昔は男の恰好をして抜け出して、外で暴れてたこともあったし。そういえば……昔一緒に遊んだ大人しくて優しいあの男の子の名前、何だっけ? ……あのいけ好かないロランと髪と目の色は同じだったけれど、なんだか顔がよく思い出せないな」


 私にしては珍しいが、大昔の事だから忘れてしまったのだろうと私は思う。

 そこで、リフェが私を起こしに部屋の扉の外で、起きてくださーい、というのが聞こえたのだった。


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