明日の予定が決まったわ
こうして私は次々と魔物を倒して、ダンジョンから脱出を果たした。
私の実力でこの程度どうにかなる。
「何よ、私だって一人でここまで出来るもの。何も考えずに来ているわけではない」
とはいえ、あのロランの言っていることも一理あるのは分かる。
素人には危険だ、というのも分かる。
心配をしてくれているのも分かる。
私への扱いがちょっと雑な気もしたが。
彼の能力や一緒に居たシルバの戦闘に慣れている様子は、私だって剣はそこそこ扱えるので分かる。
だが私の場合は色々と魔法を使えるわけで、でも、
「確かにあの尻尾で岩石を吹き飛ばしてくるとは思わなかったわね。……不測の事態に対して、備えを用意しておく、そう、私はただ単に、準備を怠ってしまったのよ」
「それが未熟で素人なだけです~、そんな素人がいきなりダンジョンに~、なんて危険な~」
「リフェ、大丈夫そうではないわね」
「そうですよ、初心者用と言ってもダンジョンはもっと戦闘になれた人達が行くものです。本当の冒険初心者系は、この町の近くにある森、“ブランの森”に行くはずですから~」
「説明的な情報をありがとう、リフェ。じゃあ明日はその森に行きましょうね」
「! そ、そんな!」
「それに森に遊びに行くくらいなら、ギルドカードも何も必要ないわよね」
「そ、それは」
「さあ明日の予定が決まったわ!」
「いやぁあああああ」
「リフェは悲鳴を上げてばかりねぇ~」
こうして、私達の小さな冒険()は終了したのだった。
所変わって、マリナとリフェに逃げられたロランは、エレンとシルバと一緒に、エレンの屋敷に戻ってきていた。
現在客人としてこの屋敷に滞在しているロランは、ある目的もあったのだが……。
そこで憂鬱そうに座っているロランにシルバが話しかける。
「どうしたんだい? 憂鬱そうだね? あの元気の良い少女に逃げられたのが悔しかったのかな?」
「……」
「図星みたいだね。でも珍しいね、君が気に入るなんて」
「……見た目が可愛いからな」
「ああいった活発な子に振り回されるのが君は好きだからね」
「……人を悪趣味な性癖を持っているように言うな」
「自覚ないんだ、ふむ。これは面白いから観察しよう。それでもここまで初対面で君が気に入るのは珍しいね。他に彼女に関して、何が気になっているのかな?」
そう言いだしたシルバに、同い年の乳兄弟である彼にロランは隠しておけないなと思いながら、
「“見えなかったんだ”」
「それは名前? 能力?」
「能力だ。俺の目にも見えないように隠していた。だが名前だけははっきりとわかっている。マリナ、公爵令嬢だ。悪役令嬢とも呼ばれている人物だ」
「ああ、あの……こんな場所であれば彼女の悪名も届いてこないだろうしね。当然かな」
「そうだな」
「それで他にも何か隠していますね。やけに気に入っているようですが」
鋭い質問にロランは沈黙した。
そしてそれにシルバはそれ以上追求せずに代わりに、
「明日はどうしますか?」
「エレンに頼んでもう少し町を案内してもらう。この古い町をもう少し調べる必要があるからな」
ロランはそう答えたのだった。
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