無いわ
私がそう叫んでドラゴンの方に手を向ける。
炎がやんだのはすでに確認済み。
防御用の結界を解除して解けて大きな穴まで後ほんの少しといった氷の柱に向けて、魔法を放つ。
この程度の薄い氷であれば簡単に打ち破れるのは、この冒険の日を夢見てこっそり練習した今までの努力により得られた経験だ。
案の定、私の手から伸びた無数の青い光の糸が、薄い氷を突き破って不気味なドラゴンに向かって伸びていく。
そのままその青い光がそのドラゴンに絡みついて、地面に縫い付けられる。
GUOOOEEEE
ドラゴンが咆哮を上げて、周りに炎をまき散らす。
口以外でも周囲に炎の塊のようなものを打ち込んでいるので、
「ふーむ、抵抗しているわね。じゃあしばらく結界を張って様子見をしましょうか」
というので少し暴れさせることにした。
するとそこでリフェが、
「う、うう、どうなるかと」
「だからそんなに心配することはないわ。この程度私達の敵じゃないわよ」
「……マリナは実戦の経験がおありで」
「無いわ」
はっきりとリフェに答えると(公爵令嬢なので当たり前だ)、もう何も考えたくないようだった。
そこで炎がやむ。
ようやく魔力を使い切ったのだろうか?
「リフェ、魔法の準備! これからただひたすら魔法を叩きこんで相手を倒す、私達の時間が始まるわよ!」
「もういやぁあああ、おうちにかえるぅうう」
「さあ、いくわよ、手分けして攻撃、リフェはそっちからね!」
と言って私は別方向から回り込もうとした所で、ドラゴンがこちらを睨み付けるように見た。
そして尻尾を張れつさせるような大きな音を立てて振り、私の体の半分程度のとがった石の塊が私の方に飛んできて……。
「伏せろ!」
「ぶぎゃ!」
そこで私は何者かに頭を手で押さえられ、地面に顔面から衝突したのだった。
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