超強力な魔力
広い場所。
正確にはドーム状になった洞窟だ。
周りは青白く壁面が光っていて、地面と壁の境目には鉱物やキノコ、草などが生えている。
濃厚な魔力の“香り”。
肌が痺れるようなそんな感覚。
その魔力が渦巻くようにして、この部屋の中心に集まっている。
おぼろげながらも何かを形作ろうとしているようで、時折、翼のようなものが見える。
「うーん、あの形は図鑑で見たことがあるドラゴンの形に似ているわね。特にあの鍵爪の部分が……」
「ド、ドラゴン、危険で凶悪な魔物じゃないですか! で、でも初心者用のダンジョンにそんなものが現れたりするのですか!?」
「聞いた事がない……あ、でも一つだけ例外は聞いた事があるかも」
「れ、例外、ですか?」
「そう、あまり人が通らなくて、魔力が溜まりすぎて過飽和状態になった所で、巨大な魔力を持つ冒険者が来るとそれに反応して凶悪な魔物、場合によってはドラゴンが生まれるとか」
「きょ、強力な冒険者……だったらいないので大丈夫ですよね」
リフェが安堵したようにそう呟いた。
だがそれに私は、
「何を言っているの? 私とリフェがいるじゃない」
「……え?」
「超強力な魔力を持つ、私と、リフェ(はーと)」
「いやぁああああああ」
リフェの悲鳴が響き、同時にその靄がひときわ強く光ったのだった。
リフェとマリナを追っていたロラン達。
そこでロランが、
「凶悪な魔物の生まれる気配がする」
「それは大変だ。何かやらかしていないと良いね~」
気楽そうなシルバの問いに、ロランは答えない。
代わりにエレンが、
「そ、そんな、二人は大丈夫ですか?」
「大丈夫だと思いたい。ダンジョン内の魔物も次々倒しているし、気配を追っても怪我をした様子もないし、それに……」
「それに?」
けれどロランはそれきり答えず黙る。
そこで、リフェの悲鳴が小さく聞こえたのだった。
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