フラグっぽいし
ほんの少し魔力の動きがおかしい。
壁に伝う魔力が薄くなっている。
ダンジョン内に染み渡る魔力層の厚さがここだけ道になっている分“薄い”のだろう。
そう思いながらまず、私が作り出した“探査映像図”に映し出された地図を確認する。
確かに私が感じている場所と、地図は一致している。
「後はこの扉を壊すだけね“火球”」
そう言って私は魔法を生み出す。
球状の炎が燃え上がり、壁に向かって打ち付けられる。
風系でもいいのだが、この炎の魔法は当たると爆発する。
その方が威力があって壁が壊しやすい気もするのだ。
もっとも風系の魔法を強化してぶつける方法もあるが、そうすると呪文を唱える時間が少し長くなるので私は楽な方を選択した。
そして崩れた先に続く明るい洞窟。
魔力が濃いのもあるのか、光が他よりもつよい。
そして、調べタイル口が何処につながっているのかを見ると、
「主みたいな靄がある部屋につながっているわね。でもまだ出てこないから大丈夫っと」
「う、うう……止めましょうよ」
リフェがそう言うも私はそんな気にすらならなかったので、
「“探査&罠解除”っと」
そこで魔力で探査し罠を解除する魔法を使う。
“聖女”の力だ。
離れた場所で何かが幾つか壊れる音がして、私は笑う。
「この無敵な私を阻めるものなどいないのだよ!」
「……こうやって調子に乗っていると、失敗がありそうで怖い」
「……そうね、フラグっぽいし。止めましょう」
「ふらぐ?」
「……まさか~はないだろう、と言ったら起こったりする出来事のようなものです。少ない可能性に遭遇する感じかな」
「物語でありますよね……注意しましょう」
そう私はリフェと話して頷き、その道のダンジョン内へと潜入を開始したのだった。
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