気に入らないイケメン
さて、こうして町に出てきたわけだが……確かにリフェの言う通り、別荘からは自然豊かで見えなかったが、大きな町が近くにあった。
それも徒歩で移動できる圏内だったのが意外だ。
そしてやって来た町中で、リフェに野菜や地元名産のお菓子を教わったり、本などを見たり、この地方特産の織物を教えてもらったり、図書館の場所に案内してもらう。
そろそろ目的の場所について聞いてみようとリフェに、
「この辺りってダンジョンはあるの? 色々な魔法的な材料なんかがとれたり魔物がいたりするアレ」
「ありますよ。幾つか」
「その初心者用のとこってどこにあるの?」
「この道をまっすぐ行った先……い、いえ、違ったような……」
リフェが何かに感づいたらしい。
慌てて口を閉ざそうとするも、
「そちらに行けばいいわね。よし、行こうか」
「いやぁああああ」
悲鳴をあげるリフェを連れて行こうとした所で、私に一人の男がぶつかった。
けれどすぐに私はその男の腕をつかみ、
「私の財布を返して」
「! ちっ、放せ!」
「力づく? だったらこっちも力づくで……」
やり返そうとすると、男の腕が私の頭上に伸びて降り下ろされようとする。
これを躱して蹴りでも入れてやろうと思った私だが、そこで何者かがこの男の頭を殴った。
「うごっ」
うめき声をあげて倒れる男。
同時に酷く不機嫌そうな私と同じ年くらいの男性がいるのに気づく。
金髪碧眼、おそらくは都市でもめったにお目にかかれないような美形である。
剣をたづさえているから、冒険者か何かなのかもしれない。
「……大人しくしていたらどうなんだ?」
「何よ、それ」
「怪我をしそうだろう」
などと言ってくる。
後からよくよく考えれば私を心配してくれていたのは分かるけれど、その時は私だってやりかえせるわと思ったのだ。
だから、初対面とはいえ、第一印象は悪い。
イケメンだからと言って中身も清らかとは限らない典型のように見えた。
と、その金髪碧眼は眉をひそめて私を見て、
「……お前、なんだか“気に入らない”」
それはこちらの台詞だと思ったのだった。
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