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ブサイクな俺だけど

作者: 琥珀

俺は斉藤夜(さいとうよる)

自分でいうのは悲しくなるがブサイクだ

性格も暗くて陰キャラで

学校ではオタ友達と教室の隅っこで話して家にかえってからは部屋に篭ってネットばかりだ


ノックがして扉が開いた 


夜?ご飯できたよ 


すぐいくさ


まーたこんな暗い部屋でネットばかりして

だから目悪くなって眼鏡するようになるんだから

電気つけるよ


つけなくていい


ねー夜


部屋に入ってくるな、朝

お前もこんなブサイクな顔なんかみたくないだろ


斉藤朝(さいとうあさ)

双子の弟だが俺と違って顔もよく性格も明るく運動もできて人望もある

俺とは正反対の弟  

だからよくからかわれたものだ

お前ら本当に兄弟か?と言われるのも慣れるくらいだ

両親も俺らのいないところでいってた



お腹にいるとき朝が夜の分まで栄養とっていたのね

いいところは全部朝にいって

夜がかわいそう、あんな惨めな子になって


そうだな


どーしたの?夜

お母さんらに見つかると怒られるよ


トイレは終わったのか?


うん、ごめんね、夜

いきなり起こして、やっぱり怖くて


・・・いいよ、別に

見つからないうちに戻るぞ


うん


10歳ながらにショックだった

親にさえそう思われていたのなら余程俺は惨めなのだろう

俺は誰にも期待しないことをきめた



僕は夜のことが好きだよ

同情とかじゃくて・・・

夜は優しいから

顔だけじゃないと思うんだよね、俺は

夜の優しさに俺は助けられたんだから


俺は歪んでるから笑っていう朝が俺を見下してるんじゃないかと

つい思ってしまう

朝は俺を見下すようなことはしないから


ご飯一緒にたべよ


・・・あぁ



父は仕事で県外にいる

母も行こうかどうかまよっていたけど高校生とはいえほおっておけないので残ることになって現在は3人で住んでいる


夜、朝、はいこれ


母は赤いラッピングがしている小さな箱を俺達にわたした


母さん、なにこれ?


不思議そうに朝は尋ねた


明日はバレンタインでしょ

お母さんから

明日でもよかったんだけど他の子から貰ったらお母さんのが埋もれちゃうからね


毎年朝はたくさんもらう

それで毎年チョコの食べ過ぎで苦しんでいるのをみる

最初は俺に一緒にたべようとかいってきたけど断った


お前のために準備したものを他の奴に渡すなんてあげた子がかわいそうだ


朝は納得して俺にお礼までいってきた


そうだね、俺全く考えなかったよ

やっぱり夜はすごいね

ありがとう


ちなみに俺は母以外に貰ったことがない

別に気にしてないが



次の日、朝の机には落ちそうなくらいの箱があった

本人に渡すものもいてすでに抱えきれなくなるほど持っていた

それは昼休みでも例外ではなく他のクラスの奴が入れ代わり入ってきて騒いでる

うるささに耐え切れなくなった俺は校内を散歩することに決めた

一つ思うんだがなんで双子なのにクラスが同じなのか

そーいう場合は普通別々にするべきではないのか

あいつと同じクラスになると自分が惨めに思うから嫌なんだ

俺の気持ちをなにも知らない夜は同じクラスになって喜んでいる

なにが嬉しいのかさっぱりわからないが


さ、斉藤君!


後ろから俺を呼んでいる声が聞こえた

振り返るとかわいい女の子がピンクの袋を持っていた

これだけでなにかわかってしまった

この子は朝にこれを渡してと頼むのだろう

こーいうことはよくあった

自分で渡せばいいものの俺に渡してと頼んでくる 


あ、あの・・・


自分で渡したほうがいいんじやないのか?


え?


こーいうものは自分で渡したほうがあいつも喜ぶと思うよ


ち、違うの、これ、さいと・・・よ、夜君のなの


は?


これにはさすがに驚いた

でもまたわかってしまった

この子は俺をからかっているか俺を通して朝と仲良くなりたいのだろう


悪いけど俺を利用しようとするのだけはやめてくれないか 

朝と仲良くなりたいのなら本人のところにいけばいい

俺をもてあそびたいんならバレバレだからやめておけ


夜君が好きです!!


はい?


冗談とか遊びじゃなくて夜君が好きです

付き合ってください


いやいやおかしいだろ

朝の代わりってこと?

でも俺と朝は見た目全く違うし・・・


朝君とか関係なしに夜君が好きなんです


見た感じ真剣なんだと分かる

だけど理由がわからない、なにを好んでこんなブサイクを


私、隣のクラスの2年6組七本凜架(ななもとりんか)っていいます

へ、返事はまた今度でいいので・・・

し、失礼します!!


女の子、七本さんは風のように走って消えていった


な、なんなんだ


残された俺はただ見つめることしかできなかった



その日の夜、滅多に行かない朝の部屋にいった


なぁ朝


珍しいね、夜が俺の部屋に来るなんて

どーしたの?


2年6組の七本さんって知ってるか?


あぁー凜架ちゃん?

知ってるよ


たまにこいつは学校全員を知っているのではないかと思う


その子はさぁ人を弄ぶような人なのか?


それはないでしょ、凜架ちゃんに限って

凜架ちゃんは優しい子だし裏がないからね


なんで裏がないとか分かるんだよ


分かるよ、自慢じゃないけど俺、その人がどーいう人かは大抵分かるんだ 

なんてゆーのかな、勘??


まぁこいつがここまでいうのならあれは嘘ではないということだ

だけどいくら考えても理由がわからない

 

どーしたの?いきなり凜架ちゃんのこと聞いて

もしかして貰ったチョコって凜架ちゃんからなの?


・・・


なにも言えずにいると朝はそうか~と嬉しそうにいった

 


翌日、廊下で七本さんをみた

多分彼女はこちらに気づいてない

なぜだろう、七本さんを見つけると目で追ってしまう

やはり気になってるのだろう


凜架ちゃん!


朝が七本さんに話かけた


昨日渡たしたんだ


うん


ありがとうね、夜も喜んでいたと思うよ

だけど本当によかったの?

なんかゴメンね


朝君が謝ることないよ


俺今回のことで夜も自信がつくと思うんだよね 

だからありがとう


そーいうことか・・・

あの告白は朝が頼んだものだったのだ

やっぱりあいつは俺を見下している

自覚はなくてもきっとそーなんだ

 

俺は二人に近づいた  


そーいうことだったんだな


よ、夜?


あれは全部お前が企んだことだったのだろう?朝


何の話?


とぼけても無駄だ

隠れて俺を馬鹿にしてたんだろう

いつもおまえはそうだ俺を見下してそんなに楽しいか?!

七本さんもごめんね、いくら朝のお願いだからってこんな俺に告白紛いのことして・・・


よ、夜君?


もういいから


違うよ!


なにが違うっていうんだ、なら


私は本当に夜君が好きで


俺のなにがいいっていうんだ


人に期待しても無駄って分かってたのに舞い上がってしまった自分が馬鹿らしい

いつのまにか周りは人で囲まれていた

皆おれらを見ている

最悪だ

 

セブンって名前覚えてませんか?ナイトさん


いきなり七本さんがいった


ナイト・・・それはネット上の俺のハンドルネーム

そーいや三ヶ月前までセブンと名乗る人とチャットをしていた

セブンとは話すうちに同級生と分かって悩みなど聞いたものだ


(セブン)私、高校入学したんですけど知り合いとかいなくて・・・

入学式の日風邪で休んでて学校に行ったときにはもうグループの輪ができていて・・・

かといって話かける勇気がなくて

どーすればいいと思います?ナイトさん


(ナイト)そうだな、ひとまずは話かけられたら話に入っていくことだと思うよ

一回も話かけられないことはそうそうないから話かけられたら話を続けて輪の中に入っていく

そうすれば自然に輪の中に入れるから


(セブン)ナイトさんのいったとおりでした!

友達ができましたよ!!

本当にありがとうございます


(ナイト)俺はなにもしてないよ

全部セブンが頑張ったからだと思うよ

よく頑張ったね


(セブン)また相談とかどーでもいい話してもいいですか?


(ナイト)もちろん

 


セブンは私です

私はナイトさんの言葉に救われました

ナイトさんは私にとって恩人でした

三ヶ月前、あるファミレスで夜君を見ました

朝君と知り合っていたので夜君のことも知ってました

その時友達と話していた夜君の言葉を聞いてビックリしました

夜君がナイトさんだと知ったからです


そーいやファミレスでそんな話をしたこともあるとぼんやり考えていた


ネットの中の付き合いだったので本人が身近にいると思わなかったので私は夜君とのチャットを消去しました

だけど夜君をいつしか目で追うようになって夜君の優しさがわかりました

気づいたときには夜君のことが好きになっていました

朝君に相談したらぜひいってくれと励まされました

私は言うつもりなんかなかったんですが何度も何度も言われてバレンタインの日夜君に告白しました

だから朝君は悪くないのです

私のことはどう思ってくれても結構です

だけど朝君のことは信じてあげてください


嬉しかったんだよ


朝がいった


俺以外に夜の優しさをしってくれる子がいることに

なら幸せになってほしいとおもうじゃん

お節介だと思ったよ

だけどやっぱり夜が心配だから・・・


朝、ごめんな、ありがとう

俺は覚悟を決めた 


俺は七本さんが好きです

付き合ってください


七本さんは驚いた顔で


はい!!


といってくれた


顔だけじゃないと思うんだよね  


朝の言った言葉を思いだした

確かにそうだ

顔だけじゃなかった

現に七本さんはこんな俺の告白を受け取ってくれた

これだけで十分だった

ブサイクな俺だけど綺麗な彼女がいて俺を思ってくれるカッコイイ弟がいる

それだけあれば幸せなんだ










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