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イヌニナリタイ

 さて、どうしたものか。このまま犬であることに執着し、遊園地に強行突破という方法もある。犬の散歩でも良くある、手綱を放してしまって勝手にどこかに行ってしまうアレだ。

「そんなんで騙されるかな」

 ワダジマエイミは呟く。世間は犬猫などの裸の愛玩動物には寛容で、裸の人間にはとても冷遇を強いる。外を裸で歩いただけで、犬や猫は優しく撫でられたり優しく接するが、裸の人間にはこの世のモノとは思えないような叫び声を上げ、携帯電話を取りだし警察に通報するのだ。同じ動物だというのにこの差は一体何なんだ。可愛くないからか?ボクの裸が可愛くないからなのか?確かにアイドルの裸なら寄って集って祭り上げるだろう。きっとアイドルが裸で叫び声でも上げたとしても、それは眼福だ、耳へのご馳走だとかいってうやむやにされる。

 今からでも遅くない。アイドル系犬に変身すれば、万事が解決する。

「それはないよ。ってかアイドルが犬になってしかも裸じゃ即警察行きだから」

 そうだよな。さすがにアイドルでも裸で許されるのは乙女ゲーとかBLゲーだけだよな。やはり意識変革が必要だ。裸に対する抵抗感、嫌悪感から払拭していかなくてはならない。ならば・・・・・・

「ちょっと券買ってくるワン」

 そう言葉を発すると、ボクは二足歩行を始め、首輪と犬メイクをしたままチケット売り場へ向かった。幸か不幸か、売り場には人はおらず、私とワダジマエイミしか居なかった。

「いや、それは、ちょっとまずいんじゃ」

「大丈夫だワン。案外堂々としていた方が上手くいくワン」

 そんな持論を展開し、意気揚々と歩を進めていたのだが、ふとある重要なことに気づく。

「あ、財布・・・・・・無いワン」

 裸でしかも犬であることに執念を燃やしていたボクは、財布の携帯し忘れていたのだ。当然も当然、服は着ていないからどこに財布を携帯するというのだ。

「うわー恥ずかしー」

 自信をを無くしたボクはあえなく四足歩行に戻る。

「でも、堂々としている方が乗り切れるってのは、間違ってないかもね」

 ワダジマエイミは手綱を引き、私をチケット売り場へと導く。

「すいませーん。大人2枚で」

 チケット売り場の受付嬢に声を掛ける。受付の視点から見れば、大人が2人居るとは分からないので少し訝しげに話を切り出す。あれ、受付嬢の顔が良く見えないな。

「大人2枚・・・・・・でよろしいですか?」

「はい」

「二千円です」

 ワダジマエイミが財布から千円札二枚を取り出し、受付嬢に渡す。ボクは見えない受付嬢の顔を、カウンターに手を掛け覗こうとする。しかし、ワダジマエイミの強烈な肘鉄を食らい、あえなくその野望は潰えてしまう。

「ありがとうございます。どうぞ素敵な一日を」

 無事にチケットはワダジマエイミの手に渡り、人数の他には特に怪しまれることなくチケットを買うことが出来た。

 次はゲート通過だ。必ず係員が立っており、不審者の侵入を全力で阻止しにかかる。ただ、ボクは何処をどう見ても不審者ではない。そもそも人ではない。『半犬半人』という存在なのだから、特にこの遊園地でも止める権利はないハズだ。

 ボクはワダジマエイミからチケットを貰い、ゲートに悠然と向かう。その足取りはまさしく『裸の王様』のよう。誰もこのボクを止める者は居ない。今や地球上にたった一人の『半犬半人』だから、どんな概念もボクには一切通用しない。故に無敵。故に最強。裸が遂に罪にならない日が来たのだ。全世界のヌーディストに朗報だ。今すぐネットで動画をアップロードしてこの素晴らしい方法を拡散しなければ!!

 もう頭の中ではセカイのスターになっている気になっていたボクに、ゲートに居る係の女性が声を掛けてきた。

「すいません。ちょっときてもらえますか?」

 震え声でボクの腕を掴むのは、20代と見られる茶髪ロングヘアーの女。額辺りに赤のヘアピンを付けており、耳にはリンゴのピアスを装備。肝心の掴んでいる手を見るとイチゴの指輪を右手の薬指に付けている。怯えているのか、その場から動かなくなり、二の句も告げない彼女を優しくボクは肌で包み込み、耳元で囁く。

「そんなにボクのバナナが欲しいのかい?」

 その言葉に体を痙攣させ、その場に倒れ込んでしまった。

「おや、刺激が強すぎたかな」

「今のうちよ。行きましょ」

 そんな光景に目もくれず、ワダジマエイミはボクの手を引き、ゲートを通過させた。


 何とかゲートを通過した二人であったが、肝心なことを思い出す。

「そういえばアンタ裸なのよね。アトラクションに乗ったらめちゃくちゃ寒いんじゃないの?」

「大丈夫だ。普段から裸だから問題ない」

 すると、安心したのか再び笑顔を取り戻し、『こっちこっち!』と手招きをしてはしゃいでいる。

 導かれた先は、遊園地の定番であるジェットコースターだった。ここのジェットコースターは世界最狂を謳っており、途中で線路が無くなり完全に宙に浮くという。安全面で大丈夫かと言いたくなる。

「これ、本当に大丈夫だよね」

 不意に不安になったのか、ボクの手を握ってくる。手の平から汗がにじみ出ている。ボクはその手を握り返し、笑顔で応える。

「大丈夫だ。安心しろ。何かあったらボクが守ってやるさ」

 そう言い放つと、ボクはワダジマエイミを抱きかかえ、堂々とお姫様だっこでジェットコースターに乗り込む。

 スタッフが苦笑いしつつ、座席につきシートベルトを着用する。やがて発車のブザーが鳴り、恐怖への坂道を登り始める。

「ほ、ほんとにだいじょうぶ、だ、だ、だよね」

 目の前に広がる線路の無い青空に、死すら覚悟し震えているワダジマエイミをそっとボクは抱きしめる。

「大丈夫だ。さっきも言っただろ」

「し、信じてるから」

 いよいよ下り坂に差し掛かろうとしたその時。ワダジマエイミのシートベルトが壊れていたらしく、ロックが解除されてしまった。シートベルトで押さえ込まれていたGは解き放たれ、あっという間にワダジマエイミの体を浮き上がらせた。

「キャアアァァッァアアアアア!!!!!!」

 ボクはすぐさまシートベルトを外し、ワダジマエイミの腰を両腕で掴む。ジェットコースターから離れかけていた体を抱き寄せ、無事着席させる。しかし、ジェットコースターの性質上これだけでは終わらない。第二波、第三波がやってくる。このままでは同じことが繰り返される。何か手を打たなければ、ワダジマエイミが放り出され、地球とお友達になってしまう。・・・・・・そうだ、シートベルトが壊れているのなら、ボクがシートベルトになれば良いのだ。

 着席させているワダジマエイミの腹部に顔を寄せ、腰に腕を密着させる。両手は座席の背もたれの根元を掴んでいる。ボクも落ちては元も子もないので床に四つん這いスタイルで屈んでいる。

「もうちょっと、しっかりロックしてよ」

 ボクの頭を押さえつけ、更に密着させる。スカートに付けていると思われる洗濯糊の匂いが一層強くなる。太もものふわふわとした柔らかな感触もより伝わってくる。振動で微かに双丘が頭をボクシングしてくる。なんだこのドリームランドは。ここにもテーマパークがあったというのか。

「は、はひぃ」

 その後の記憶があまりなく、気がつくと遊園地のベンチで膝枕されていた。

 

 次はどこに連れて行かれるのかなと勘案していると、遊園地のステージで開催されているヒーローショーに導かれた。

 ヒーローショーは既に始まっており、最前列にちびっ子達が群がっている。それと対照的に後方列は閑散としており、寂しい風景が広がっている。

「ずっと見たかったんだよね~、ヒーローショー」

 ワダジマエイミは最後方の列の席にハンカチを敷き、スカートを揺らめかせて座る。それに続いてボクも隣にちょこんと座る。尻からは冷え切った席の手荒い歓迎が伝わってきた。

「ヒーロー、好きなんだ」

「うん、大好き。好きすぎてアタシがなっちゃおうかなって思うくらい」

 無邪気にヒーローに手を振るワダジマエイミ。その姿を眺めて悦に浸っているボク。ボクを見て俄然やる気が入るヒーロー。ここに幸せの永久機関が成立した。

『キャー助けてー』

 いよいよヒーローショーも終盤にさしかかり、悪役が卑劣な手段を使ってヒーローを苦しめ始める。悪役は台本通り、司会をしているお姉さんをさらい、人質にする。『なんて卑怯な・・・・・・』とヒーローが呟き、懐から必殺武器を取り出す。いつものヒーローショーで良く見る、テンプレートパターンに入っている。この後は間違いなく武器を使おうとするが、敵にやられて挫けそうになる。『もうダメだ』みたいなことを言い出して、司会のお姉さんの掛け声で子供達が『がんばれー!』とエールを送ると、ヒーローが再び奮起し、見事人質を助け出し、敵も木っ端みじんに粉砕する・・・・・・みたいな筋書きだろう。

「ちょっと、初めて見るんだから余計なこと考えないで」

 そうだった、そもそもワダジマエイミにとっては初めて見るものなんだ。余計なことを『考えて』しまうと意図しなくても伝わってしまうのだ。

 邪険な顔で見つめてくるワダジマエイミの手をそっと握り、ボクは満面の笑みを浮かべ語りかける。

「世の中台本通りに上手くいくことなんかほとんど無い。ボクが証明してあげるよ」

 そう格好良く台詞を吐き捨てると、一直線にステージへ急行する。子供達が必死に応援しているところを無理矢理掻き分け、ステージの縁に手を掛ける。

 ステージ外の異変にいち早く気づいた司会者の女性は、ボクのあられもない姿を見て一瞬凍り付いたようにも見えたが、さすが舞台慣れしているだけあって直ぐに気を取り戻し、叫び声を上げ始めた。

『キャー!!!怪人の仲間よ!みんなで追い払って!』

 そう呼びかけると、子供達はボクに群がり始め、様々な部分を掴んでは離し、殴る蹴るの暴行を加え始めた。だが子供の力ではこのボクを止めることは出来ない。子供達の痛気持ちいいマッサージを名残惜しみつつ、掴んでいたステージの縁を強く握り、よじ登った。

 その瞬間、舞台袖に控えていた警備員らしき人物が出没し、ボクを床に倒し取り押さえようとする。しかし、僕の体は全身犬ペイントを施していたため手が滑ってしまうようで、上手く押さえ込むことが出来ないようだ。

 そんなボクを見て、ワダジマエイミだけは遠くから『がんばれー!』と声援を送ってくれる。無垢な笑顔を浮かべ、楽しそうにこちらに手を振る姿は、まるで現世に降り立った天使のようだ。

 据え膳食わぬは男の恥。女の子に応援されているのだ。ここで負けることは決して許されない。ボクは内に秘めたるリビドーを解放し、筋肉に活力を与える。すると、今までへこたれていた体が見る見るうちに奮起し、押さえつけている警備員を突き飛ばせるまでになった。何が起こっているのか状況の整理がつかない怪人役は、そのまま呆然と立ち尽くしている。それとは打って変わって、司会者の女性は舞台裏に急行し、マネージャーらしき人物と何やら話し込んでいる。当のヒーローというと、ボクの姿を指をくわえて見つめている。

「何をしているんだ!ヒーローだろ!早くなんとかしろ!」

 突き飛ばされた警備員が、ヒーローに罵声を浴びせる。そんな姿を見るに堪えなかったのか、その場を立ち去り始める親子や、泣き出し始めてしまっている始末。最早ヒーローショーどころではない。

 大騒動になり始めている気配を察知したボクは、ステージを一瞬の隙を突いて抜け出し、ワダジマエイミの手を取り逃げ出した。もうこの遊園地に居たら直ぐに捕まってしまうと思い、遊園地の隣の温泉に逃げ込むことにした。温泉は遊園地と共通券なのでゲートでの検問は一切無い。

「はあ・・・・・・はあ、すごく・・・・・・面白かったよ」

 息を切らし、苦しそうな表情ながらも、歯を見せボクに親指を立てて微笑んでいる。

「そう・・・・・・それはよかった」

 必死に足掻いた甲斐があった。汗でにじんだ犬メイクが、ワダジマエイミの掴んでいる腕に一滴落ちる。

「と、とりあえず、お風呂、入ろう。背中ぐらい流すよ」

 か細い声で、ワダジマエイミはこの温泉に備え付けの『家族風呂』に導く。

 汗でべっとりとなった体をさっぱりするには、やはりお風呂だ。女の子の汗も服を絞って飲んでみたいものだ。使用しているシャンプーの香り、体にさりげなく付けている芳香剤の香り、衣服から漂う洗剤の香り、汗と皮膚の成分が混じり合い滲み出す体臭、どれをとっても格別だ。

 ちょっと待て。香りとかそんな話の前に、気にすることがあるだろ。『家族風呂』・・・・・・だと?現世に残る唯一合法的に混浴が出来る夢のような施設。その『家族風呂』に・・・・・・さ、誘われているのかこのボクが?ダメだ・・・・・・あ、頭がスパークして何も考えられない。こんな幸運が突然降って湧いてくるなんて、ボクの人生じゃもう二度と無いかも知れない。覚悟を決めろ。そうだ、風呂はボクのホームグラウンドみたいなものだ。裸が真の意味で許される場所。裸で居ることが正しいとされる場所だ。自信を持つんだ。アウェーなんかじゃない。堂々と踏み出せば良い。地上の楽園、『家族風呂』へ。

 はやる気持ちを抑え、ボクは『家族風呂』の扉を叩く。既にワダジマエイミが受付を済ませ、鍵を手にし中で脱衣をしている。さすがにいきなり全裸を見られるのは抵抗があるということで、時間差で風呂に入ることにした。かくいうボクは脱衣の必要は無いので、先に入って待っている方が理想的な時間の使い方ではあるが、彼女曰く『女が先に待っていた方が嬉しいでしょ』と持論を展開した。別に先でも後でも『芸術』を見られることに変わりは無い。だが、こう待たされていると想像が妙に膨らんでしまう。どんな体型なんだろう、どんな○○なんだろうかと、際限なくあふれ出てきてしまう。

 もう耐えきれない。扉に手を伸ばしたその時。

「どうぞ」

 桃色に包まれたその声が、更衣室越しに聞こえてくる。いよいよ禁断の花園への切符を手にした。恐る恐るその扉を開く。

 まず目に入ってきたのは、風呂の内部を映すガラスだ。残念ながらそれは磨りガラスのため、中は輪郭しか把握することが出来ない。既に体を洗い始めているのか、シャワーの音が湯船の音に混じり微かに聞こえてくる。であれば、彼女が脱衣所に感心が向くことはあまりない。・・・・・・遂に来た。この『ゴールデンタイム』が。

 ありがとう!ホットスプリング!この時を待っていた。女子更衣室は男のパラダイスとは言ったものだ。常に男の歴史は、この女子の領域にいかに侵入するかということで試行錯誤を続けて来た。ある時はのぞき穴、またあるときは風呂の壁からの越境、あるいは脱衣所に盗撮カメラを仕掛ける、極めつけは女装。ありとあらゆる手段で女のセカイへの侵入を試みてきた。大概の企みは失敗しあえなく説教あるいは警察行きを命じられることになる。

 だが、この家族風呂は『家族』という言葉を有効活用し、異性が風呂を共にする口実を得ている。『家族』という言葉は異性が一つの場所に居ることを合法化する強力な武器になる。本来男女の壁は存在しないハズであるから、この『家族』というものは、本来の人間の暮らし方に回帰した姿とも言えるのかも知れない。つまり、この家族風呂は合法的に混浴でき、かつのぞき見、テイスティングし放題のワンダーランドなのである。

 早速ボクは玄関にちょこんと置かれている、ワダジマエイミの靴に手を掛ける。走っていた直後だから、たっぷりとエキスが染み込んでいるに違いない。ゆっくりと鼻を近づけ、靴の中の匂いを嗅ぐ。汗の臭いと思われる甘酸っぱい匂いが鼻腔を駆け巡る。全身に広がる多幸感にボクの顔は意識もせず頬を緩ませていた。匂いを味わった次は味だ。テイスティングは匂いと味で決まる。革靴は汗が染み込めば染み込むほどダシが出るというものだ。恐る恐る舌を中敷きに伸ばし、丁寧になめ回す。合皮のビニール臭と汗の塩辛さ、更に肌から発せられる女の子の匂いが混ざり合い、極上のグルメと化している。このまま鍋に入れて調理して食べてもいいくらいだ。

 前菜である靴をある程度味わった次は、メインディッシュである服のテイスティングだ。脱衣所の籠に綺麗に畳んである制服と、その上に置かれている下着達に手を伸ばす。既に制服に関してはジェットコースターの段階で味わい尽くしているので、今回は下着を中心にしゃぶっていこう。

 今まで下着については拝むことが出来なかったので、とても新鮮な気持ちで挑むことが出来る。ご覧下さい、この輝くまでに汗で濡れている桃色の下着を。ボクはそれを手に取りじっくりと味わう。少し酸味がかっている。喉を潤す汗の雫。エキスを絞り、ボクはいよいよ頂点に達する。もうここまでじっくりテイスティングしたんだ。生身が素晴らしくない訳がない。

 風呂場の扉に手を掛け、スライドさせる。そこにはタオルを胴体に巻いたワダジマエイミが居た。

「随分遅かったね。どうしたの?」

「え、あ、いや・・・・・・」

 言葉を探しどもっていると湯船に浸かっていたワダジマエイミは、立ち上がりボクに近づき始める。

「どうせアタシの下着でもクンカクンカしてたんじゃないの?」

「そ、それは、否定できない」

「さすが『HENTAI』ね」

 ボクを洗い場の椅子に誘導し、着席させる。

「今日はありがとう。たのしかったよ」

 背中から抱きつかれる。その体温から愛の形が伝わってくる。

「そう。それは良かった」

 何かもっと気の利く言葉があるはずだろ!男なんだから、色々巻き込んで済まないくらい言わなきゃカッコつかないだろ。いや、ダンディーならここでは君の笑顔が見れて良かったよぐらいのキザな台詞を言わなきゃいけないだろ。

「もう『聞こえてる』から十分だよ」

 そうだった。彼女には言わなくても伝わるのだ。言葉なんて要らないかも知れない。でも、言葉にしなければ伝わらないこともきっとあるはずだ。

「君の笑顔を見れて、本当に良かった」

 面と向かってこんな言葉を言わせるのも彼女の能力なのかも知れない。

 

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