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資源革命 マーチ・シルフィード  作者: リヴァイアス
6/6

受け継がれる意思

2ヶ月程仕事に追われながら 校正を繰り返しようやく投稿です。

大変お待たせしてしまい申し訳ないです。

――風守町 近代的で日本に多くある市町村の中でも数少ない自然エコエネルギーの取り組みに

 活発な町である。


 その経緯はまだ若い。

 

――1990年初頭

 まだインターネットもあまり普及していない時代。家内電話は受話器が取り外し可能な電話が流行り 電話ボックスも多数存在していた時代――

 1980年に起きた海外の原発事故での煽りを受け早急な環境改善と新技術の開発が望まれていた時代


 当時風守町では外宇宙航行用の大型ロケット打ち上げセンターの開発が進んでいたが 財政難により市町村の資金不足が深刻化

 せっかく埋め立てられ 滑走路が出来たばかりのロケットセンターは開発中止を余儀なくされた


 同時に世界的な電気不足に陥り町事態の存続が危うかった――。そこへひょんと現れた一人の男――『風ノ木新風』である。

 風来坊のように現れた彼は電力不足解決の為に自然エネルギーの普及を提案。プロジェクトを気に入った市長は即決でこのプロジェクトに乗り出した。

 プロジェクト当初は資金難や資材難に苦しむ新風だった。しかし発想と機転の聞く頭脳を使い独自の建設方法を使って

 次々にエコエネルギー発電機を開発していった。1990年半ばの事であった――



 時が流れるに連れ徐々に風守町の経済難や財政難は解消され 観光客による地域活性化 新風による自然エネルギー事業の確立により

 以前とは別の町へと発展していった――。


 これが革命的かそうでないかは、新資源開発の研究者らに尋ねれば全員が合致して述べよう 『資源革命』だと――。


 それからというもの、風守町の立て直し計画や見積もりを他の市町村も真似るように資源開発 エコエネルギー開発に注力した。

 ともあれば、エコエネルギー開発事業の急成長による資源開発が活発化した。

 より効率よく より多くのエネルギーを生み出すように――。日本のいたるところに風力発電や太陽光発電が設置された。


 さらには世界でも5本の指に入ってしまう程の自然エネルギー開発大国にまで成長した日本という国。かの風力発電で有名なデンマークでさえも当技術に

 一目を置いている程である。


 そんな風守町に数少ない大型の病院 その名も『県立風守病院』である。

 ネーミングは恐らく察しが付いたかもしれない。だが、この町の住民にとっては数少ない頼れる医療機関である――。

 

 そんな大病院の院内を受付を済ませ無礼にも駆け回る一人の女性――。


―― 風ノ木・S・風子

 

 ローエンから聞いた研究所襲撃事件での唯一の生存者。それは風子のかけがえのない部下であり仲間であった"三浦その子"


 奇跡的にも爆炎した車両から生還した"その子"―― その彼女の無事と生還を確かめるべく翔ける――


 院内のナースや医師の注意など耳に入らなかった。ただひたすら彼女の存在を――確かめたかった。


 受付で教えてもらった病室が見えてくると翔け足は次第に静かになっていく。病室のネームプレートには確かに"三浦その子"の字が書かれている

 躊躇している暇も惜しく堂々と室内へと入っていく。病室は6人部屋だが幸い5人分のベットにはまだ患者が運ばれていないようで探すのに

 苦労はしなかった――。


 深くカーテンに占められた一室のベット―― カーテンを開くとそこには静かに寝息を立てているその子が確かにいた――。


 外見を一見する限り、致命的な外相は見当たらず爆炎による軽い火傷や破片の傷跡が腕に防御創として痛々しく残っている――。

 だが、直ぐに緊急治療を受けたせいか一命は繋いでいるようだ。


 ほっとした風子。思えば研究所襲撃事件からかれこれ一週間近く経っていた。人生で一番長い一週間だったかもしれない


 聞けば、一度は目を覚ましたものの突然のフラッシュバックで錯乱してしまったらしくその際に鎮静剤を投与。以来ずっと眠ったままだという。

 医師の推察によれば、恐らく気絶する寸前に "なにか、とてつもなく恐ろしい物をみたせいでそれがトラウマとなり彼女を苦しめている"との事。

 その話と風子の見た"あの光景"を照らし合わせれば一目瞭然だろう。




 とりあえず、その子の無事が確かめられた為一安心する。今はゆっくり寝かせてあげよう――。



■■■



 その後、その子の担当医師に連絡先を教え 何かあった際に連絡をくれるよう頼んだ。

 帰り道 複雑な心境で帰路につく――。同時に今だ行方知らずのもう一人の同僚ついても気になるところである。

 恐らくその子なら何か知っているだろう―― それを聞き出すのは些か強引かもしれないが 選択肢が限られている。


 「考えても仕方ないわね。その子が起きてくれるまで待つしかないわ……」




 翌日――。

 時刻はまだ8時30分を過ぎたばかり――。まるで昨日の出来事が無かったかのように無邪気に駆け回る――

 いつもならため息の出る行事であったが この騒がしさに救われたような気がした風子であった――

 


「こらっ!朝会なんだから静かにしなさい!」


 風子の怒鳴り声で彼らの一日が始まった――






――風守環境工学校の入学について規定はなく、普通の学校と同じように入学する事が可能だ。


 近年のZ.L.Fによる襲撃事件は無差別に行われている。特定の企業を狙ったテロ行為にとどまらず公共の場での破壊活動も

 珍しくはない。この数十年の間で公共機関や教育機関が幾度もなくその被害を被っている。


 そこで各国の政府は対Z.L.F対策資金をこのような公共機関や教育機関の警備や防衛設備に費やす事を決めた。


 その前段階としてこの風守環境工学校を例として様々な優遇を施している。これにはかの校長 "マナミ"も深く関わっている。


――で、あるならば もちろんこの風守環境工学校も今後の学校警備に向けての資料作成や対策案などの実例を挙げて報告する事が義務付けられる。

 故に、Z.L.Fから我が子の安全性を飛躍的に高める事が出来るある種の”名門校”のような扱いである。


 この危ないご時世 これだけの設備と防衛力を持った学校に喉から手が出るほど我が子を入学させたいと思うだろう。

 ある人は、裏入学として島が一つ買える程の金額を提示してくる大富豪の親もいたらしいが――?


 やがて、1時間目の授業が終わり一旦教員室へと赴く風子――。


 そこへやって来たのはヒノトとみらい。


 先ほどの授業でのプリントを集めて持ってきてくれたようだ

「風子先生」

 手元にあったプリントをポンと渡す――


「ありがとう二人共」

「先生、昨日は大丈夫だったの?」

「心配してくれてありがとう。少し込み入った話をしてただけよ 安心して」

 そういって二人を安心させると廊下の先へと消えていった――。



■■■



「なぁヒロミツ 俺の機体はまだかよ」

「そう急かすな。こちらも現状人手不足で連日休み無しで技術者を動かしているんだ」


 Z.L.Fの海上移動拠点となるタンカーの中で機体の修理と開発が行われている。限られた環境下と

 資材を使いながら各機への修理に当てている――


「悪名高いZ.L.Fも人手不足ねぇ……本部からの補給はまだなの?」


 空のドリンクに刺さったストローで遊ぶネイ。退屈そうに残った氷をかき回している――

 BARの外側は溶接の火花と騒音が鳴り響きそれに負けじと技術班が大声で連携を取りながら修復していく。

 これだけの大型E.Lを数日で修復 改修を行える企業は現状類を見ない。卓越したその技術はZ.L.Fの技術が、現在の科学や技術を

 先行っているという事を物語っているのだ。


「本部は現在、近海にいる国連の船が邪魔で浮上は無理なようだ。あと3日もすれば補給も届くだろうから待つのだ――」

「えっー もう2日もレーションと水だけじゃない…… あたしハンバーグが食べたい!」

「ワガママを言ったらダメよネイ。みんな同じご飯を食べているんだから我慢しなさい」

「だってぇ姉さん……」

 カウンターに倒れこむネイ――


「肉のハンバーグは無理だけど、倉庫に余ってた鯖缶を使ってハンバーグ作ってあげるから我慢してね?」

「えぇっ! 姉さんそんな事できるの?!」」 

 それには隣にいたヒロミツ ダイテツも驚いている。


「伊達に 喫茶店のマスターをしているわけじゃないのよ 料理も工夫次第ってこと―― じゃ、今日は内緒で作りましょう」

 カナタは笑顔で食料庫へと向かっていった。


 すると、入れ違いのように今度はジーニアスが入ってくる。

「全員、いるか――?」

「今、姉さんが食料庫へ食材を取りに…直ぐに戻ってくると思いますので少々お待ちを――」 

「いや、今は急を要する。 この3人だけで構わん 後でお前たちが共有してくれればいい」


そういって、ジーニアスはテーブルへと腰を掛けたのだった――



■■■



 風森環境工学校地下――

 元は宇宙開発ロケットを発射する為に建造されたとも言われる当校は、外形こそ環境工学の名残のある創りではあるが内部は今だ

 ロケットサイロの状態が残っている。とはいえ、そのままの状態では使い物にならないのでマナミを含め複数の技術者等の連携により

 巨大なハンガーへと成り代わった。


 ここの存在を知れるのは一部の教員らのみに限定されており、校内にある特別区画を通り抜け さらに指紋認証などの厳重なセキュリティ

 を通過せねばならない為、関係者以外が到達することは不可能だ――。


 ハンガーの片隅には先日の戦闘でメンテナンスを受けているE.L "ウィンター・ラビット"がデッキに囲まれている――

 コントロールパネルには風子が整備長の男と話し込んでいる。


「風子ちゃん、整備はあらかた終わったよ。コックピット内の配線 各部位のネットワーク接続通信網の改善 あとは風子ちゃんが内部調整

 しといてくれよ」


「ありがとうおじさん」

「しかし、こんなに立派なE.Lは始めてみたなぁ――」


 整備長が見上げるE.L――。

 正式名称を『全地形対応移動型環境改善対策機。(All-terrain Walking Mobile Environment Improvement Measures)』という――。

 無論、この事は既にユフィーからの情報でわかったことだ。

 

「ごきげんようミス風子」


 帰路の前に現れたマナミ校長


「校長! どうしてこんな所に…?」

「あなたに伝えたい事があるからよ。悪いけど、外してくれる?」


 ――突然の訪問者 それは学校最高権力者であった。整備長があらよとハンガーを後にし二人だけの空間が生まれる――。


「やはり、あなたが受け継いだのね――」

「えっ」



 唐突なマナミの切り出し――

「"ウィンターラビット" 元は環境改善を目的に構想された三世代型"エコ・ロイド" 当時は多目的な活動を目的とし

 環境改善他、人命救助など様々な試みを託された一大プロジェクト――」

「当時こそ、一大プロジェクトとして世間では期待されていた。しかし、中にはそれを悪い事に利用する人も少なからず居てね」


 "軍事利用" 軍事力の無い日本にとってそれは大きな抑止力――


「防衛省のお偉方さんにはとても魅力的だったのでしょうね。圧倒的戦力 未知なる資源エネルギーの可能性」


 マナミの昔話に沈黙して話に聞き耳を立てる――


■■■


 それは、肌寒い冬の時期――当時のマナミと新風は共にプロジェクトに関わる研究者仲間だった――。

「――そうだな……この機体には名前が必要だ――」

「名前?」

「そうさ。ただの"次世代環境改善型E.L"じゃつまらねーからな……」

 研究所の外には雪が積もっておりその雪原の中を白い小動物がぴょんぴょんと跳ねる――

 既に昼前だというのに曇り空の影響で薄暗い 白い粒の雪がゆらゆらと地上へと舞い落ちる――



 ――【ウサギ】――

 ウサギは、世界各国でその逸話や伝承にまつわるシンボルとして描写される事が多い。

 例えば、"月にはウサギが住んでいる"と言えば誰もが童話や昔話を思い出すだろう――。

 また、一部の地域では多産・豊穣等のシンボルとしても有名だ。海外のイースターエッグもまたウサギにちなんだ独自の習慣である。

 

「かのウサギは、"冬に失われた生命が復活し草木が芽吹き花々が咲く再生の春のシンボル"だ ならば、我々が今陥っている

 この資源枯渇という"冬"の環境下も、いずれは技術が発達しその芽を開花させやがて"未来"へと繋ぐ架け橋となるだろう――」


 新風は意気揚々に語る――そして――


「"ウィンター・ラビット" たとえどんなに辛く険しい冬が来ても、人は乗り越え芽生えの春を迎える――」


 直訳すると"冬兎"――

 端末機のネーム欄にある空白に打ち込む新風。


「いかなる資源も無限ではない 限りある資源を有効活用し新たな道を示せ そして資源と共に共存する世界を――」 

「あなたらしいわね――」



■■■



 大きく佇むE.L――"ウィンター・ラビット" 白銀の巨人は無言で風子の胸に語りかけてくる


 風子はハンガー越しから見上げる"ウィンター・ラビット"に内なる想いを浮かべる

 それは今まで自分の経験した事もない 出来事――ましてや、数週間前はただの一般人だったというのに――。

「ミス風子、これからZ.L.Fの攻撃はより一層激しくなるでしょう 成り行きとはいえ、"ウィンター・ラビット"に選ばれた

 唯一の存在――」

「わかっています。それに、日頃からどんな出来事が起きようと、私の覚悟はいつも決まっていますよ」


 しかし、そんな事は既に風子の中で既に覚悟が決まっていた。

 大人として クラスの担任として 何より子どもたちの目標となる理想の大人像として振舞う風子の眼差しは真摯――

 

 それが杞憂だということはマナミにも十分伝わっていただろう―― 今日はもう遅い 放課後から約数時間程経ち外は暗くなっていた――。

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