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誰にもバレずに人類の頂点になりました  作者: 足森悠里
第一章
7/15

苦悩と不安

魔王討伐をあと1ヶ月に控えた夜、俺は久しぶりに魔物の討伐をしていた


「せいっ!!」


俺が振った剣で魔物が倒される


この世界では魔物を倒すと、倒された魔物は淡い光に包まれて消えていく。そして、経験値が入ってくるという仕組みになっている



すると、頭の中でファンファーレが鳴った


「レベルアップか」


この世界では、レベルアップするとファンファーレが鳴る


ちなみに、最初はLv0らしく何も表記されていなかったのはそのせいだった


今の俺のステータスは

____________________________________

【文月 七河】

Lv 15

体力500/500

魔力480/480

攻撃力430

防御力450

知力520

魅力50

____________________________________


これでようやく皆の足手纏いにならないレベルだ。

もちろん魅力には触れない。


だっておかしいじゃん!!レベル15でようやく凡人なみって!!なんなの!?イジメ?どんだけ俺をイジメれば気が済むんですかぁぁぁぁ……

自虐してもしょうがない、早く部屋に戻ろう


そう思っていたら


………………神無が中庭で壁に頭突きをしていた


…………え!?何してんの!?


「おい、どうしたんだよ!?神無」


我に帰った俺は、神無を止める


「離してよ!………って………な、七河?」

「なんだよ。そんなに俺が珍しいのか?」


神無の額は赤く腫れていた。早速俺は

『ヒール』

と唱えた


『ヒール』は初歩的な回復魔法だ。だが、このくらいの傷は直ぐに治る。少し魔力を上げると、神無の傷が治まった。さすが異世界。元の世界ではあり得ないことをやってのける‼


「どうしたんだ。話くらい聞くぞ」


俺たちは、中庭のベンチに腰かけた

………………沈黙が続く

が、


「な、七河…」


神無が口を開く


「私のお姉ちゃんのこと、覚えてる?」

「……ああ、覚えているよ」


こいつには、姉がいる。たしか、名前は六羽(ろくばね) 水無(みな)だったはずだ。彼女は………


「私、早く元の世界に帰りたい」


………彼女は、生まれつき体が弱く、いつも寝たきりの生活を送っている。俺も直接会ったのは数回だけだ。水無は、今まで神無が着きっきりで看病をしていた。そして、


「私が早く戻らないと、お姉ちゃんが………」


水無は、あと数ヶ月の命だった。

もう数ヶ月も経ってしまったから、まだ生きているかは分からない。でも、俺はまだ生きていると信じている。彼女が簡単に死ぬはずがないと………


「最近、夢を見るんだ。元の世界に帰って、急いで家に帰ったら、お姉ちゃんが死んでいた夢………。もう、嫌だよ………今こうやって話している時にも、万が一お姉ちゃんに何かあったら………」


俺は何も言えなかった


「なんで、なんでこうなっちゃったんだろうね……教えてよ、七河ぁ」


神無はそう言って俺の胸にしがみつき、泣き出してしまった


……俺は、神無の問いに解を出すことが出来なかった


どう接することが彼女の問いに対しての解なのだろうか

。そもそも、この問いは、他人が簡単に解を出して良い問いではない。


だから、俺は考えるのを止めた。


解は出さない。解を出すのは、彼女自身。教師と同じだ。生徒に解を求められたら、すぐに答えるのではなく、その解に辿り着くまでの方法を示す。


「俺には、どうしてこうなったのか全く分からない。

けれど、水無さんは大丈夫だと思う」

「………どうしてそう言えるの」

「お前が、そう信じているからだよ」


神無が目を開く


「神無は、言ったよな。『万が一、お姉ちゃんに何かあったら』って」

「………………………うん」

「万が一ってことは、一万回の可能性の中の一回ってことだろ。ってことは、それ以外の九千九百九十九回は、何も起きないことになる。

確実ではないが、水無さんに何かある可能性はゼロに限りなく近いんだよ。お前は本能的にそう思ったんだ」


少し無理に近いが、神無に希望を持たせる


「もちろん、俺はまだ生きていると信じている。お前が信じなくてどうすんだよ!生きていてほしいんだろ!」

「………………………うん」


…………道は示した。背中は押した。あとは、彼女次第だ


「………………………そうだよね。うん、お姉ちゃんは生きている!!私はそう信じる!!」


これで、良かったのだろう。一件落着か


「七河!!」

「…………………どうした」



「ありがとう」

「……………………ああ」


そう言うと、神無は自分の部屋に帰っていった


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